恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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785部分:第六十三話 劉備、牧になるのことその十
第六十三話 劉備、牧になるのことその十
「そのタイミングでの接吻は」
「ないのでは」
「美羽様、またお会いしたら」
郭嘉はとろんとした目になって両手で袁術を抱き締めてだ。そうして話すのだった。
「宜しく御願いします」
「う、うむ」
袁術本人もだ。これには唖然となっていた。
そしてその唖然となっている顔でだ。郭嘉に応えていた。
「そうじゃな。わらわもな」
「文を送りますので」
「わらわもじゃ」
戸惑いながらも応える袁術だった。とりあえず顔は今は蒼白だ。驚きによってだ。
だがそれが次第に赤くなりながらだ。こう言うのであった。
「送るぞ。ただじゃ」
「ただ?」
「わらわの唇に接吻したのはじゃ」
それをだ。郭嘉本人に話す。
「凛がはじめてじゃぞ」
「私はですか?」
「そうじゃ。凛がじゃ」
こう言うのである。
「ううむ、しかし」
「しかしなんですか」
「接吻とは。よいものじゃな」
真っ赤な顔になっていた。そのうえでの今の言葉だった。
「凛、よいぞ」
「私も接吻ははじめてでした」
「ではお互いはじめて同士じゃな」
「はい、そうですね」
「さらによいぞ。わらわ達の仲は永遠じゃ」
こんな有様になってしまっていた。
それを見て。落ち着きを取り戻した曹操が言う。
「これはねえ」
「何といいますかですね」
「ええ、そうね」
こう張勲に応える。二人とも笑顔が引きつっている。
「凛はまだ全然手をつけていなかったけれど」
「そうだったのですね」
「何か全部美羽に取られちゃったわね」
「そうなってしまいましたね」
「仕方ないわね」
今度は困った笑顔になる曹操だった。
「こうなったらね」
「ですが主従関係は続けられますね」
「ええ、それはね」
続けるというのである。
「けれど。褥はね」
「諦めるしかありませんか」
「残念だけれどね」
また言う彼女だった。
「けれど。あの二人は」
「異常に仲がいいと仰るのですね」
「ええ。貴女も入れてね」
さりげなく張勲を見ることも忘れない。
「それはまたどうしてかしら」
「色々とありまして」
にこりと笑って話す張勲だった。
「私達には」
「三人で、よね」
「はい、私達三人は」
まさにそうだというのである。
「他の世界でもです」
「それを言うと複雑そうね」
「偶像支配者という世界で」
「おい、それ英語読みしたらどうなるんだ?」
ヘヴィ=Dが思わず突っ込みを入れた。
「洒落にならないだろうが」
「確かにそうかも知れませんね」
張勲はにこりと笑って返す。
「ですからそれはあえて言わないということで」
「それでもあの二人は凄いな」
「そうだな」
ラッキーとブライアンもそれを話す。
「っていうかこの世界ってな」
「女同士もいいのか」
「別に男同士でもいいわよ」
それを言うのは曹操だった。
「とはいってもあんた達はそっちの趣味はないのね」
「俺はな。そういうのには興味はないな」
ヘヴィ=Dが答える。
「特にな」
「そうね。ただそういうことに縛りはないから」
「そのことはか」
「覚えておいてね」
「一応わかった」
多少ぶっきらぼうに返すヘヴィ=Dだった。
「それはな」
「俺もな。一応はな」
「わかった」
ラッキーとブライアンも応える。
「まあ乱もすぐに終わったしな」
「何よりだったな」
「そうね。それはね」
そのことは素直に喜んでいる曹操だった。
「処罰も軽いもので済んだし」
「では国に帰りましたら」
「すぐにですね」
「ええ。政治よ」
こう夏侯姉妹に返す。
「また忙しくなるわね」
「はい、ではそちらにも」
「励みましょう」
相変わらずの袁術と郭嘉を見ながら話すのであった。黄巾の乱は完全に終わった。しかしであった。それは新たな乱のはじまりでもあった。
第六十三話 完
2011・2・15
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