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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0164話『矢矧と坊ノ岬沖組の思い』

 
前書き
更新します。
昨日の続き? 

 


なにやら朧と秋月が私達……おもに大和、雪風、浜風、磯風、初霜、霞、朝霜、そして私、矢矧を話したい事があるというので執務室に集まるようにとの連絡を受けたわね。
私達を招集するというのはどういう事かは分かるものは分かる……。
大日本帝国海軍の終戦に近い海戦の一つである『坊ノ岬沖海戦』のメンバーであるというのを……。
私の隣を歩く雪風が少し緊張した面持ちで歩いていた。
だから私はそんな雪風に対して、

「雪風、大丈夫よ。私達を意味もなく呼ぶ提督ではないわ。それに提督は信頼できるお方……だから特攻して来いなんて命令なんて絶対しないわ」
「そ、そうですよね! しれぇがそんな事を言う訳はないと思います。ですが、それでも不安になってしまうんです……」

それで雪風はやはりどこか緊張がとれない顔だった。
やっぱり最後まで生き残ってしまったのをどこかで重く受け止めているのね。可愛そうに……。
それを言うと初霜もそうね。
そう言う初霜はどこかそわそわしているけどそんなに緊張はしていない様子だった。

「初霜は平気なの……?」
「はい。私は提督の事を信じていますから」

やっぱり真面目な性格をしているのよね、初霜は。
そして他の面々にもそれぞれ声をかけてみた。
磯風はというと「決戦なら来るなら来い」という感想を持っていた。
浜風はというと「やれるだけやりたいです」ともう戦闘思考に入っていた。
二人とも好戦的な性格だから仕方ないか……。
礼号組でもある霞と朝霜はというと、

「もしも決戦だったら……今度こそ守りたいわね」と霞。
「あたいは今度は足を引っ張りたくないね」と過去を後悔している朝霜。

みんながみんな、どこかで戦闘を行うのを想定して考えているわね。
それは少しいけないと思うわ。
だから私がそこら辺を話そうとしたのだけど、最後に大和がそっと言葉を出した。

「みなさん、落ち着いてください。提督がこのメンバーを集めたからと言って何も戦闘を行うとは限りませんよ。もっと前向きな事を考えないと……」

やはり大和はすごいな。
私が言いたいことを言ってくれた。
だから私はそれに続くことにした。

「大和の言う通りよ。みんな、少し落ち着きなさい。まだ大規模作戦が終了してそんなに経過していないんだからそんな大それた任務は来ないと思うから、だからもっと柔軟な考え方をしていきましょう」

私がそう言葉を出すとみんなも「そうですね……」と言って少し緊張が抜けてきていたので良かったと思う。
それは私もこのメンバーを招集すると聞いた時にはとうとう来たのか……?という思いをしたが、だけどまだそんなに国は切羽詰まっていない。
だから状況的にはもっといい話だと私は予測したのであって。
それで私も少し緊張しながらも執務室の前まで到着したので大和が代表として扉をノックする。

「提督。大和以下坊ノ岬沖組のメンバーを連れてい参りました。入ってもよろしいでしょうか?」

大和がそう言うと執務室の中から『入ってくれ』という声がかかったのでそれで私達は中に入らせてもらった。
中には提督の隣に朧と秋月の二人が立っていた。
この組み合わせはなんだろうと私は思いながらも状況を見守る事にした。
そして提督が話し出した。

「わざわざ集まってもらってありがとうな、みんな。今回は朧と秋月の願いあってみんなを集めさせてもらったんだ。今回の私の役割は見守り任みたいなものだよ」

提督はそう言った。
よかった……。どうやら懸念していた戦闘事ではない事に私は心の中で安堵をしていた。
それは皆も同様で一様に安堵のため息を吐いていた。

「それでは朧さんに秋月さん。私達になんのご用でしょうか?」

大和がそう話を切り出した。
すると秋月が少し緊張をしながらも一歩前に出てきて、口を少し震わせながらも何かを言おうとして、でもどこか緊張しているのかまだ何も言わない。
そんな秋月の肩に朧が優しく手を置いて「ほら」と言って笑みを浮かべると秋月の顔から緊張が取れてきたみたいで改めて秋月は話をし出す。

「そうそうたる皆さんの前で言うのは緊張しますが言わせていただきます。まだこの事を知っている人はごく僅かなのですが大和さん達には伝えた方がよろしいかと思いますたので司令にこの場を準備してもらいました」
「なんだよ秋月? 前置きはいいからもったいぶらずにあたい達になにかを教えてくれよ?」
「朝霜さん、シィーッですよ!」

朝霜のヤジに雪風が黙るように指を立てている。
でも秋月がここまでもったいぶるのには少し私も予想が出来たかもしれない。
私達と秋月の間で関係している事と言えばおのずと限られてくるからね。
もしかしてという期待を持ちながらも私は秋月が言うのを待っていた。

「はい。もったいぶった言い方ですみません。それでですが、秋月型が待っていたと同時に坊ノ岬沖組の皆さんも待っていたとある子が次の秋の作戦で艦隊に合流するという話です」
「もしかして!」

それで雪風が笑顔になった。
他のみんなもそれで笑顔になる。

「はい。ついに涼月が艦隊に合流するという話です」

秋月がそう言った瞬間に執務室の中はどっと騒がしくなった。
初霜とか霞などは涙を流しているほどだからね。
かくいう私も嬉しさがこみ上げてきていてつい提督に話を振った。

「提督……。秋月の言った事は本当なのですか?」
「ああ、本当だ」

提督はそれで肯定の言葉を述べていた。
ああ……涼月がついにやってくるのね。
彼女達も終戦まで生き残った組だ。
今も船体が防波堤として冬月等とともに九州に残されているのだから未だに日本を守っているのだろう……。
そんな彼女が艦娘として顕現するという事はとても喜ばしい事だ。
みんなの喜びの最中に大和が強気な笑みを浮かべながらも、

「提督! おそらくですが涼月は作戦の最終海域での報酬艦となると私は予測します。よって、大和以下一同は万全の態勢で挑みたいと思います! ですからそれまでにさらなる練度の向上をお願いいたしますね」
「わかった。大和達の期待に応えられるように秋の作戦も頑張ってやっていくとするよ」
「はい!」

それで大和も笑顔になる。

「それでは浜風もそろそろ練度を上げておかないとな? この中ではまだまだ低いのは浜風だけだからな」

磯風がそう言うと浜風が前に出ていき、

「提督。秋の作戦までにご期待に応えられるようにご指導ご鞭撻よろしくお願いします」
「わかった。浜風も早いうちに練度を上げられる態勢に持っていくことにするよ」
「ありがとうございます!」

それでわいわいと騒いだみんなはそれで他のみんなにも涼月の事を教えにそれぞれ動いていった。
今日中にはもう全艦娘に伝わっている事でしょうね。
それなので、

「提督。私、矢矧も必ず力になるから期待しておいてね」
「うん。期待しているよ矢矧」

提督の太鼓判も押してもらったので秋の作戦までには練度を現在の80から理想では90までには上げていきたいわね。
そろそろ軽巡の先輩方もいい練度になってきているから私達阿賀野型も、という期待を持った。


 
 

 
後書き
涼月の話題でくどいと言われようと書きます。

ちなみに阿賀野型も含めて軽巡は全員練度は80を越えています。
坊ノ岬沖海戦がモチーフのイベントはまだまだ先でしょうけどね。
涼月と冬月、それと桃型駆逐艦の柳とともに今も防波堤として利用されていると聞きます。見に行きたいですね。




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