恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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770部分:第六十二話 三姉妹、書から離れるのことその七
第六十二話 三姉妹、書から離れるのことその七
「じゃあまた」
「ああ、はじめような」
テリーが笑顔で応えだった。演奏をはじめた。するとだ。
歌と演奏でだ。何もかもが変わった。殺伐なものは完全に消えて。そうしてそのうえで和が世界を支配した。そしてその和は。
三姉妹にも届いていた。それを聴いて最初に張宝が言った。
「この歌を聴いてると」
「何よ、あの連中追い出したくないっていうの!?」
「ええ」
その通りだとだ。張宝は張梁に答えた。
「聴いているだけで」
「何言ってるのよ!ここで諦めたら!」
張梁の顔が変わっていた。その顔は。
ドス黒く険のある顔になってだ。そうして姉妹に言うのだった。
「終わりなのよ、あたし達!」
「けれどもう」
「駄目よ、まだ!」
その顔でだ。妹に言う。
「こんなところで!」
「姉さん」
妹が次姉を止めようとする。そうして。
張角はその音楽を聴いていた。それと共に。
これまでのことを思い出すのだった。
幼い時に三人で仲良く歌いはじめた時のこと。旅芸人をはじめた時、そして人気が出て応援する者達と楽しくやっていた時、そうしたことを思い出して。
そのうえでだ。こう妹達に言った。
「もういいじゃない」
「えっ、どういうことよ!」
「姉さん、一体」
「この歌、邪魔できないから」
まずは劉備の歌について言った。
「それにね」
「それに!?」
「それに」
「今こうして暴れるのって。私達の欲しいものじゃないから」
そのことも言うのであった。
「だから。もう止めましょう」
「な、何言ってるのよ!」
張梁は姉に対しても言った。
「姉さん、今諦めたら」
「皆を巻き込んで。何かをするのってよくないわ」
だが、だった。張角の言葉は変わらない。あくまでこう穏やかに言うのだった。
「だからね」
「それでって」
「いいっていうの」
「そうよ。もう」
「だから駄目よ!」
まだ言う張梁だった。その顔はさらに険しいものになる。
「あたし達、絶対・・・・・・」
「姉さん・・・・・・」
ところがだった。ここでだった。
張梁は急に力を失いだ。前に倒れていく。その彼女を張角が受け止めた。
「まさか」
「そうね。あの書の力で」
姉妹で次姉を支えながら話す。
「地和ちゃん、おかしくなっていたのね」
「じゃああの書は」
「元々。私達が持ったらいけないものだったのよ」
張角は目を伏せてこう言った。
「あの書は」
「じゃあやっぱり」
「ええ」
こう張宝に応えてだ。意を決した顔になってだ。
宝貝を手にだ。こう言うのだった。
「皆、聞いて!」
「あれっ、天和ちゃん」
「何だ?」
「どうしたんだ?」
皆その彼女に顔を向ける。そしてその言葉を聞く。
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