心桜「つっちゃー」
七夏「なぁに? ここちゃー」
心桜「何読んでんの?」
七夏「あ、えっと『トライアングル・トライ』です♪」
心桜「おぉー! トラトラかぁー。しかも、つっちゃーから滑らかな英単語が出てきたよ!」
七夏「もぅ・・・英語も頑張ります!」
心桜「あははー。ゴメンッ!」
七夏「トラトラの主人公さん・・・恋の行方が気になります!」
心桜「んー・・・でもさ、トラトラって、いわゆる三角関係物でしょ。だから、正確に言うと『トラトラトラ』になるんじゃないのかなー」
七夏「え?」
心桜「トラトラトラァー!!!『皇国ノ興廃、コノ一戦ニ在リ』ってヤツですか!?」
七夏「何のお話です?」
心桜「ん?『海これ』」
七夏「かいこれ?」
心桜「そう! 海これ・・・海軍これくしょん」
七夏「はぅぁー・・・ここちゃーから『皇国』なんて言葉が出てきたから、またお爺ちゃんの影響かと思いました」
心桜「そう! 真珠湾を押さえし者が、この戦いを制するって・・・」
七夏「何のお話です???」
心桜「まっ、それはともかくとして、トラトラの話!」
七夏「えっと、恋の行方が気になるお話!?」
心桜「そ。トラトラは、主人公の女の子とライバルの女の子が、一人の男の子を奪い合う三角関係物なんだけど」
七夏「う、奪い合うって・・・」
心桜「実際、そうだよ。んで、あたしが思うに、この二人の女の子って見た目も性格も結構違うでしょ・・・と言うよりも、ほぼ真逆だよね」
七夏「そうですね。お互いに、自分には無い相手の魅力に、いつも悩まされています・・・その気持ち、分かります!」
心桜「主人公の女の子はロングヘアで控えめ、ライバルの女の子はショートヘアで積極的・・・んー、どこかで見たような・・・って言うか、つっちゃーと、あたし?」
七夏「え!?」
心桜「さて、ここで問題の男の子・・・二人の女の子の魅力に惑わされている訳だけど、この形式の三角関係の場合、一発で男の子の好みが分かる方法があるよ」
七夏「え? ええ!?」
心桜「知りたい??」
七夏「はい☆ とても気になります!」
笹夜「私も気になります!!」
心桜「うわぁ!!!」
七夏「あ、笹夜先輩! こんにちわです☆」
笹夜「はい☆ こんにちは。七夏ちゃん♪ 心桜さん♪」
心桜「さ、笹夜先輩!!! まさかの『本編より先に、こっちに登場』ですかっ!」
笹夜「? 本編? こっち? 何のお話かしら?」
心桜「あ、いや・・・そ、そのうち分かるかなー・・・なんて。・・・あー焦った・・・焦って挨拶忘れてたよ・・・笹夜先輩! こんちわっ!」
笹夜「はい☆ こんにちは♪ 心桜さん♪」
七夏「ここちゃー」
心桜「ん? なーに? つっちゃー」
七夏「えっと・・・さっきのお話・・・」
心桜「ん?」
七夏「トラトラの・・・」
心桜「あっ! 笹夜先輩の不意打ちで忘れかけてたよ・・・笹夜先輩、全然気配が分からなかったんですけど、なんかステルスパーツとか付けてたり?」
七夏「こ、ここちゃー!! 笹夜先輩、すみませんっ!」
笹夜「いえいえ。お二人のお話が気になって・・・私の方こそ、お話に割り込んでしまって、すみません」
心桜「ところで、つっちゃー」
七夏「はい!?」
心桜「あたしが言ったステルスパーツって、意味分かんの?」
七夏「え・・・えっと、分からないですけど・・・なんとなく笹夜先輩に謝らなきゃって」
心桜「そういう感覚って、英語よりも大切かもねー。ある意味才能だよ」
七夏「もう・・・」
笹夜「心桜さん!!」
心桜「は、はいっ!」
笹夜「その・・・トラトラの・・・」
心桜「わぁービックリした・・・てっきり注意されるのかと・・・」
七夏「ここちゃー。自覚あるのなら、ちょっとは・・・」
心桜「あははー」
笹夜「まあ、心桜さんは自覚あるの、私も分かってますから」
心桜「笹夜先輩には敵わないなぁー」
七夏「だって先輩ですから♪」
心桜「つっちゃー『だって』の意味が分かんない」
笹夜「まあまあ、お二人とも・・・それで、その方法とは!?」
心桜「その方法とは・・・」
七夏「・・・・・」
笹夜「・・・・・」
心桜「CMの後でっ! ・・・って言ったら怒る?」
七夏「こ、ここちゃー!!!」
心桜「つっちゃー、CMの意味は!?」
七夏「えっと、コマーシャルです!!」
心桜「おぉー、つっちゃー正解!!!」
七夏「そのくらいは・・・分かります☆」
笹夜「七夏ちゃん、CMはコマーシャルではなくて、コマーシャル・メッセージの略です」
七夏「え? そうなのですか?」
心桜「あらら・・・つっちゃー残念!!!」
笹夜「心桜さんも・・・です」
心桜「う・・・。CMってコ・マーシャルじゃ無かったんだ」
笹夜「その『コ』って何かしら?」
心桜「え? コ・ドライバーみたいな?」
笹夜「???」
心桜「つまり、自動車の運転手の横に居て、地図を見て運転手に道案内をする人で、確かコ・ドライバーの『コ』って『尊敬する』って意味合いがあったような・・・」
笹夜「そうなの・・・ですか?」
心桜「まあ、いいや。それにしても、そこを突っ込めるあたり、流石! 笹夜先輩!!」
七夏「私、もっと英語頑張ります!!」
笹夜「そう言えば、テレビ放送を見ていて、『続きはCMの後で』って言われると、何故だか、どおして、とても、たいへん、この上なく、極めて、非常に、がっかりしますよねー」
心桜「うぅ、すみません・・・」
笹夜「わ、私はテレビ放送のお話で、心桜さんの事ではなくって・・・」
心桜「いやいやいや。このままだと、つっちゃーや笹夜先輩は許してくれても、第三者様は無理でしょ!」
七夏「ここちゃー、その手の動き・・・」
心桜「今でし・・・じゃなくて、無理でしょジェスチャー!!!」
七夏「はぅぁ・・・」
心桜「さて、ここで、トラトラの話に戻して、その方法とは---」
七夏「・・・・・」
笹夜「・・・・・」
心桜「二人の女の子の心・・・つまり人格が入れ替わる事!!」
七夏「え!?」
笹夜「まあ! トラトラって、この先そのような展開になるのですか!?」
心桜「あ、いやいや。笹夜先輩、そういう事じゃなくて」
笹夜「え・・・あ、すみません」
心桜「つまりさ。人の好みって単純に考えると半分は外見で、半分は性格って事になるでしょ?」
七夏「そうなの?」
心桜「単純に考えると・・・なんだけどね。実際、初対面での好みは、外見100%から始まって、徐々に性格の方に%が割り振られて行く事になるよね」
笹夜「なるほど・・・分かります!」
心桜「トラトラの男の子が、二人の女の子の間で揺れているという事は、外見はライバルの女の子の方が好みで、性格は主人公の女の子の方が好みって事が考えられない? あ、逆の可能性もあるかな・・・」
七夏「それで二人の女の子の心が入れ替わると?」
心桜「外見と性格が100%好みの女の子と、0%好みの女の子が誕生する!!!」
笹夜「ぜ、0%好みの女の子って・・・」
心桜「はっきり言えば『タイプじゃない』」
七夏「こ、ここちゃー」
心桜「あ、でも『0%好み』は恋の対象にならないだけで『嫌い』とはまた違うからね」
笹夜「では『100%好みじゃない』という言い方も、できますよね」
心桜「笹夜先輩。それ、ツンデレ」
七夏「え?」
心桜「『勘違いしてよね! あんたの事なんて、100%好みじゃないんだからねっ!』」
笹夜「言い回しにとても歪みを覚えます」
心桜「まさに、次世代のツンデレだねー」
七夏「そうなの?」
心桜「まあ、ツンデレは置いといて、トラトラの結論としては100%好みになった方と恋が実るって事」
笹夜「そうですけど、トラトラは女の子の人格や心が入れ替わるお話ではないのですよね?」
心桜「んー、今の所は・・・」
七夏「今の所って・・・入れ替わってほしくないです・・・」
心桜「先の事は分からないよー」
七夏「それは否定できませんけど・・・」
心桜「でもさ、今あたしが話した性格が入れ替わるお話・・・これ、結構重要な要素なんだよ」
七夏「え!? どういうことなの?」
笹夜「見た目や性格は演じる事が出来る・・・かしら?」
心桜「さすが! 笹夜先輩!! つまり、ライバルの女の子にしかない要素を自分に加えてみて、男の子の反応を見ると、答えが見つかる・・・かもね!」
七夏「でもそれって、失敗したら0%に近づく可能性も・・・」
笹夜「七夏ちゃん」
七夏「はい!?」
笹夜「相手の男の子の事が本当に好きなら、その好みは分かるはず・・・いえ、分かってあげなくては、恋人にはなれないです」
七夏「そ、そうですよね・・・私・・・」
心桜「だからさ、つっちゃー。案外、諸刃の剣ではないって事だよ」
七夏「よかった・・・」
心桜「だけどさー、ひとつ大きな問題があるんだよねー」
笹夜「問題・・・ですか!?」
心桜「その問題とは・・・またしても、ここでCMで~す!!!」
七夏「はい☆ ちょっとお話が長くなりましたので、少し休憩です☆」
心桜「あ、あら~食いつかれなかった・・・ちょっと予想外~」
七夏「私、お茶煎れて、まいりますね」
笹夜「ありがと。七夏ちゃん☆」
心桜「ありがとー。つっちゃー」
笹夜「七夏ちゃんも流石な所、ありますよね」
心桜「つっちゃーの場合、天然な時もあるから、正直分かんないよ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
七夏「お待たせです☆ はい、どうぞ♪」
心桜「ありがとー。つっちゃー」
笹夜「ありがと。七夏ちゃん♪」
心桜「さて、その問題とは、見た目も性格も100%好みの女の子が、新たに登場する事!これで、完全に持ってかれるねー」
七夏「・・・・・」
笹夜「・・・・・」
心桜「あ、あれ!?」
七夏「私、神様はそんな問題を起こさないと思います!」
笹夜「七夏ちゃんと同じく・・・」
心桜「えー!? なんで? じゃあさ、その神様とやらにとって、三角関係は問題じゃないの? 想定内って事!?」
笹夜「なぜって・・・それではトラトラ(三角関係)にならないです」
七夏「トラトラの世界・・・三角関係の神様が見守るお話だから」
心桜「んー、そういうことか。ま、そうやってトラトラ星人の一生は、トラトラ神のきまぐれとやらに弄ばれて、終わって行くのかぁー」
七夏「せ、星人・・・って」
笹夜「い、一生・・・って」
心桜「あ、三角関係に限って言えば、決着が付いたら、トラトラ神とやらは別の所で三角関係を発生させる訳か・・・」
($)
七夏「ど、どんな訳です?」
心桜「たわけっ!!!」
笹夜「ま、まさか、それが言いたかっただけで、こんな長い仕込を・・・」
心桜「そんな訳ないです!!」
D.S.($に戻る)
心桜「・・・って、永久ループに入りかけたよ・・・」
七夏「ここちゃー、大丈夫?」
心桜「ま、トラトラに限らず、三角関係に関しては、他にも物申したい事があるんだ」
笹夜「どんな事かしら?」
心桜「んー、三角関係って『恋のトライアングル』って言うけど・・・」
七夏「とらいあんぐる・・・」
笹夜「打楽器ですね♪」
心桜「トライアングルってさぁ・・・一箇所だけ切れ目あるよね!?」
七夏「切れ目・・・」
笹夜「はい。ありますね」
心桜「って事はさ、切れ目に居る人が振られるって事にならない!?」
七夏「もし、その切れ目に、恋の対象の男の子が居たら?」
心桜「いつまでも優柔不断な男の子に愛想を尽かして、女の子二人とも去って行くという、どんでん返し!!!」
笹夜「まあ!!!」
心桜「・・・って事で、登場人物の人気は確保されて、めでたし、めでたしぃ~」
七夏「そんな・・・」
笹夜「トラトラじゃないような・・・」
心桜「まっ、普通に考えれば、どっちかの女の子に、切れ目フラグが立ってるんだけど、それを覆せるかどうか・・・」
笹夜「心桜さん!」
心桜「なんですか? 笹夜先輩?」
笹夜「トライアングルって、切れ目があるから、綺麗な響きが得られるのです♪」
心桜「!!!!!」
七夏「!!!!!」
心桜「・・・って事は!!! 切れ目フラグはもしかして!?」
笹夜「まだ、諦めてはダメ・・・という事ですね☆」
心桜「そうかー・・・そうだよねっ! すっきりしたよ!」
七夏「笹夜先輩! さすがです!」
心桜「笹夜先輩! ありがとー!」
笹夜「いえいえ、こちらこそ。楽しかったです♪」
心桜「トラトラの女の子も応援するよ!」
七夏「ここちゃー、お疲れ様です☆」
心桜「笹夜先輩って鋭いから、緊張したぁ~」
笹夜「す、すみません」
心桜「いえいえ。今後の為にも、鋭い突込み耐性を上げておきます!!」
七夏「ここちゃーは、今でも耐性あると思います☆」
心桜「つっちゃー、それ褒め貶し?」
七夏「え!?」
心桜「・・・な、訳ないか。という訳で、私たちの三角関係(?)は、これからも続きますので、応援よろしくねっ!!」
笹夜「私、応援いたします!」
心桜「ありがとー。笹夜先輩!」
七夏「お便りも待ってますね♪」
心桜「ではでは、今回は私たち『ココナッツ』と・・・」
七夏「素敵な笹夜先輩で、お届けいたしました☆」
幕間四 完
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幕間四をお読みくださり、ありがとうございました!
本編の方も、どうぞよろしくお願い申しあげます!