レインボークラウン
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第四百六十六話
第四百六十六話 錬金術とは何か
博士は午後に研究をする錬金術について小田切君に話した。
「実は金を生み出すなぞな」
「錬金術の目的でもですね」
「些細なものじゃ」
「目的の一つですか」
「究極の目的ではない」
実はそうだというのだ。
「途中の通過点と言ってもいい」
「じゃあその目的は」
「果てしがない、新たな生命を生み出すこともな」
「ホムンクルスですね」
「それもじゃ」
中世の欧州の伝説にあるこれもというのだ。
「そのうちの一つじゃ」
「科学と同じですね」
「むしろ科学との違いはな」
博士は小田切君にこのことについても話した。
「わしがいつも言っておるな」
「殆どないですよね」
「魔術もじゃ」
そちらもだちょいうのだ。
「研究していくとじゃ」
「もう違いはない、ですね」
「世の多くの者はそれがわかっておらぬ」
「博士は二百億歳ですからね」
「それ位普通にわかっておるわ」
ビッグバンの時から宇宙にいる、それならばこうしたことは最早その程度と言っていい位のものなのだ。
「だからじゃ」
「錬金術も科学と同じで」
「何処までも進化していくものじゃ」
「終わりはないんですね」
「そもそも学問に終わりはない」
博士は学者としてこうも言った。
「どの分野の学問も終わりがない」
「果てしなく続くもので」
「錬金術も学問じゃ」
やはり科学と同じくというのだ。
「それならばな」
「終わりがないんですね」
「金を生み出すなぞ小さい小さい」
博士は錬金術の奥義を一笑に付した。
「それ位で横論でいては駄目じゃ」
「博士はその遥か先を行っていますね」
「錬金術もな」
こう言ってであった、そのうえで。
博士は小田切君にだ、あらためて言った。
「では今からな」
「はい、その研究ですね」
小田切君も応え研究室に入った、そうして最先端の錬金術の研究をするのだった。
第四百六十六話 完
2017・7・26
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