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歌集「春雪花」

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 星明り

  零るる空の

    淋しきは

 秋虫の呼ぶ

   小夜の夢かな



 無数の星々が瞬く…そんな夜空を見ていると、無性に淋しさが込み上げてくる…。

 この淋しさは…星が降らせているのだろうか…。

 いや…これはきっと、あちこちで鳴いている秋虫が呼び寄せた…切ない夢なのかも知れない…。


 彼にはもう会えない…そう言い聞かせる自分に…何と詫びよう…。



 月影に

  見るもなかりき

    長月の

 君を想いて

    独りかも寝む



 月明かりの中…会えない彼のことばかり考えている…。

 もう九月…随分と彼には会っていないのだと実感し、深い溜め息をついた…。

 全て諦められれば…きっと楽なのだろう…。


 だが…眠りにつく時、やはり彼を想い…淋しく思うのだ…。



 
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