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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0149話『ろーとユーの過去のいざこざ』

 
前書き
更新します。 

 



私とユーちゃんは同型の艦娘だけどこの鎮守府では提督には別人扱いとして受け取ってもらっていますって。
それはなんでかって?
うーん……そうだね。
どうにも私とユーちゃんは改装前と改装後では性格が違うように感じるんだって。
おかしいよね。
ただろーちゃんはもっとみんなと一緒に楽しくやりたいだけだから頑張って前向きになっただけなのにね。
別にユーちゃんを過去の自分を見ているように見ているわけじゃないんだ。
ユーちゃんはユーちゃん。ろーちゃんはろーちゃんですって。

「ねぇねぇ、ユーちゃん。今日はどんな遊びをしよっか……?」
「……ん。そうだね……でっちや他の皆さんとまた一緒にプールに入りたいかな……? まだ鎮守府のプールは閉まっていないから……」
「それ、とてもいい考えですって!」

ユーちゃんの発言でろーちゃんも賛成したので二人で提督にプールに入っていいか?って言いに行こうと思っていたんだ。
最近秋も近くなってきたんでそろそろ肌寒くなってきたからプールを使う人も減ってきたんだけど潜水艦のろーちゃん達には関係ない事だしね。
毎日、どこかしらの海域に潜っているわけだし。
それで執務室へと向かっていたんだけど、そこでちょっとろーちゃん的にも苦手意識を持っている人たちと遭遇してしまった……。

「あっ……」

ゆーちゃんも気づいたのか少しろーちゃんの後ろに隠れてしまった。

「ひっ!? Uボートか!」
「ああ……。アークロイヤル、そんなに怖がらないでいいわよ。そうよね、まだこの子達とはあなたは挨拶していなかったわね」

その相手とはウォースパイトさんにアークロイヤルさんだった。
アークロイヤルさんはろーちゃん達を目に入れると恐怖の表情をしてウォースパイトさんの後ろに隠れてしまった。
そして日本の潜水艦としての記憶があるろーちゃんはまだしもユーちゃんはユーちゃんで申し訳ない気持ちがあるのか小声で「ごめんなさい、ごめんなさい……」とまるで壊れたレコーダーのように繰り返しているから。
それで少し困ったろーちゃんはどうしようと思っていると、以前からこの鎮守府で知り合いだったこともあるのでウォースパイトさんが何度かアイコンタクトをしてろーちゃんが気づいたのを確認して分かりやすく話しかけてきた。

「……そうね。過去の遺恨をそのままにしておくのも癪だからこの際、このメンバーでお茶会でもしましょうか」
「それはとてもいい提案ですって!」
「その……プール……」
「ごめん、ユーちゃん。また今度でいいかな? やっておかないと今後に響くと思うですって」
「……わかった」

それでなんとかユーちゃんも納得してくれたので四人で談話室に向かった。
ふと、このメンバーでいるところをビスマルク姉さんに見られたらどう思われるだろうと考えて、やめた……。
きっと、とても面倒なことになるからと思ったから。
それでろーちゃんの後ろに隠れるようにユーちゃんが、そしてウォースパイトさんの後ろに隠れるようにアークロイヤルさんが着いてきた。
うーん……やっぱり色々と不安だよね。
ろーちゃんも不安に感じているから……。
提督が仲裁に入ってくれればって思うけどもうこのメンバーでやる事は確定みたいだし……うー、やっぱり辛い。
そんな事を考えているうちに談話室に到着したので四人で中に入る事にした。
中には数名の艦娘の人達がいたけど、

「みなさん。少しこの部屋を貸しきってもらわさせて構わないかしら?」

ウォースパイトさんの言葉とメンバーでなんとなく事情が分かったのかみんなはそそくさと部屋を出ていった。
ミユキさんが出ていく際に小声で話しかけてきて、

「……頑張れよー、ろーちゃんにユーちゃん。後で愚痴でもなんでも聞いてやるからさ」
「ありがとうですって」
「うん……」

それで談話室の中にはろーちゃん達だけが残された。

「さて……」

ろーちゃん達が全員席に着いたのを確認したのかウォースパイトさんが最初の発言をしたですって。
この中では一番落ち着いているから任せるのもいいかもって思うの。

「……まずは一言、こうして艦娘として新たな生を得た身としては過去の事については根掘り葉掘り掘り起こさない方がいいと思うのよ。ね、ろーさん?」
「それがいいですって。アークロイヤルさんを沈めた事は確かに事実だけど、それは戦争だったからって言い訳もできるけどあまり触れたくはないですって……」

ろーちゃんとウォースパイトさんでそんな会話をしている時でした。
ダンッ!とテーブルを叩く音がして見るとアークロイヤルさんが少し厳しい表情で震えていました。
その表情に思わずユーちゃんも「ひっ!?」と声を漏らしてしまうほどでした。

「確かにそれも、いいと思う。だが、私が許してしまったらともに沈んでしまった船員たちの気持ちはどうなるんだ? 今は深海棲艦と戦う仲間だという認識で間違いないだろうが、それでも私は心の底からお前たちの事を許せそうにないんだ……」

それでアークロイヤルさんは言い切ったのだろう黙り切ってしまった。
それでウォースパイトさんと顔を見合わせてどうしたものかと思っていたんだけど、そこでユーちゃんが独り言のように話し出した。

「……その、アークロイヤルさん……ごめんなさい……ユーが過去にしたことは確かに忘れられないと思う……ユーも決して忘れたわけじゃない、から……でも、もう戦争は終わったの……憎しみは連鎖させちゃいけないの……」
「…………」

少し涙目ながらもユーちゃんは語りを続ける。
アークロイヤルさんもそんな健気なユーちゃんの姿になにかを想ったのか口を挟まないでいてくれている。
だからユーちゃんはなお言葉を続けた。

「だからね……もう、喧嘩はしたくない……ユー、アークロイヤルさんと友達になりたい……」
「そ、それは……」
「ダメ……?」
「うっ!?」

ユーちゃんの必死の上目遣いでそれでアークロイヤルさんは顔を赤くさせてしまった。
ろーちゃんとおんなじ顔だけどユーちゃんは可愛いですって!
だけどそれでとうとうアークロイヤルさんも観念したのか、

「わかった……過去のあれこれを言うのもこれで最後にしよう。私も、いつまでも引きずっていては他のものに示しがつかないからな」

そう言ってアークロイヤルさんはユーちゃんに手を差し出してきた。

「これからはともに戦う仲間で、そして友達だ」
「うん……」

それで二人は互いに笑みを浮かべながら握手を交わしていた。
とてもいい画ですって!

「……これでいいのだろう? ウォースパイト?」
「ふふっ……ええ。それでいいのよ、アークロイヤル」
「ろーちゃんも嬉しいですって」

それで四人で笑顔を浮かべている時でした。
なにかドタドタと足音が聞こえてきて談話室の扉が思いっきり開かれて、

「ユーにろー! 無事!?」
「ビスマルク姉さん!?」
「どうしたの……?」
「どうしたのって……なにかウォースパイトとアークロイヤルに部屋に連れ込まれたって聞いたから脅されているんじゃないかって急いで来たのよ!」
「ああ、ビスマルク。安心しろ、もう過去のあれこれについては解決したからな」
「はっ……?」

ビスマルク姉さんはそれでどこか抜けたような表情になっていた。

「それよりお前の方から来てくれるなんて嬉しいじゃないかビスマルク。さぁ、遊ぼうか!」
「嫌よ! グラーフ! グラーフ! 直掩機を! 急いで!!」

そう叫びながらもアークロイヤルさんとビスマルク姉さんはどこかに行ってしまった……。

「ふふ。この様子だともう安心ね」
「はい。ろ-ちゃんもビスマルク姉さんが楽しそうでなによりですって」
「ユーも……嬉しい……」

そんな会話をしながらももうこれでユーちゃんが謝罪しないで済むと思って嬉しく思ったですって。


 
 

 
後書き
今回はアークロイヤルとろーちゃん達のお話でした。
過去に沈められたとはいえもう一緒に戦う仲間ですから険悪な仲の解消はしておいた方がいいですしね。



それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。 
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