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ランブリング!!

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【RB1】
  【RB第十一話】

 
前書き
超久々な更新っす 

 
 週明けの月曜日、春の陽光が島全体を暖かく包み込み、小鳥の囀ずりが心地好いハーモニーを奏でていた。

 だが、そのハーモニーを掻き消す第一声が轟く。


「決闘だ!! 有川来栖!」

「…………」


 気だるげにしているクルスを他所に、目が血走り、周りから見れば今まさに喧嘩が始まる気負いの畠山海。

 突然の事態場の空気は張り詰めていた。


「に、兄さん……いきなり決闘って言われてますけど……。心当たりあるのですか?」

「……いや、特に理由は見当たらないが?」


 クルス自身身に覚えのない事に傾げ、由加もいきなりの事に戸惑いを見せていた。

 一方のアリス、昨日遊びに誘ってくれた男子という事に気が付いていたのだが何故クルスに決闘をと言ったのかわからなかった。


「決闘は構わねぇが、俺はお前に何かしたのか? あっ?」

「……!?」


 クルスの迫力に押し負けそうになる海――だが恋する男は負けない。

 例え言い掛かりだと言われても、好きになった加川有栖とお近づきになるためならばと――。


「何かした訳じゃない! だけどッ! 君が有栖さんに対して無下な対応するのが許せないとだけ言っておこう!」

「あん? 無下な対応……?」


 アリスをチラッと見る――特に無下な対応した覚えなどなく、首を傾げる。

 一方のアリスはクルスと目が合い、高鳴る鼓動を抑えようと胸に手を当てた。

 由加自身それを見て面白いとは思わなかった。

 義兄に近付く悪い虫第一号であるアリスは由加にとって目の上のたんこぶ。

 じっと見つめる由加だが、それよりもクルスの態度が気に入らないのか海は憤りを見せた。


「そういう態度が許せないんだ! 君が曖昧に有栖さんと関わり、弄ぼうと――」

「あぁっ!? 誰がアリスで弄ぼうとしてるだと? 寝ぼけてんじゃねぇよ、ボケが!」


 眉間に皺がより、眼光鋭く畠山海を睨み付けるクルス。

 一触即発の雰囲気に周りもハラハラするのだが、クルスは一旦ため息を吐くと気だるげに口を開く――。


「けっ……こいつ相手に弄ぼうとか思った事はねぇが。売られた喧嘩は買うのが俺流だ。その決闘、受けてやるよ」


 クルスの申し出に畠山海は勝ち誇ったように小さく鼻で笑う。


「フフンッ。俺の方が彼女に相応しいという事を君に教えてあげよう。決闘は今週の土曜日。試合時間は後々連絡を入れてやろう」


 唐突な上から目線の海、それも最新鋭のRBを持っている自負があるからだろう。

 だがクルスはそんな畠山海の言葉は気にも止めない。

 それどころか何が相応しいのやらと内心毒づくクルス。

 一方のアリスはというと、まさか自分を巡ってこんな決闘になるとは夢にも思わなかった。


「俺の勝利は目に見えているが。俺が勝ったら今後君は加川有栖さんと一切関わらない事だ!」

「けっ……。んじゃ、俺が勝ったらお前は俺のパシり確定だぜ?」

「良いだろう! まあ俺が負ける事は万にひとつの可能性もないがね! 最新機である火影・五式の力を君にとくと見せつけてあげよう!」


 鼻息荒くそう告げて立ち去った畠山海に、クルスは小さく欠伸を漏らした。

 慌ただしい朝に起きた出来事、有川来栖と畠山海の決闘の話は一気に学園全体に広まったのは言うまでもなかった。

 学園専用のSNSで拡散する一年生同士の決闘に、心踊るのはライダーズの面々だった。

 いきなりの決闘に、義妹である由加は心配そうにクルスを見つめていた。


「に、兄さん……」

「あん? 決闘の心配ならいらねぇよ由加。今週の土曜日なら時間はまだあるしな」


 クルスの側に寄り添う由加、アリスはそれを見てチクりと心臓が締め付けられるが――。


「ご、ごめんねクルス! あ、あたしのせいで……」

「あ? 別にお前のせいじゃないだろ? 売られた喧嘩を買っただけだしな」

「クルス……」


 いつもと変わらないクルスの態度。

 だがもし、クルスが負けたらどうするのだろうという思いに心が支配されようとしていたアリス。

 好きな幼なじみが自分に近付いたらダメという――もしクルスが負けるような事があっても、アリス自身から話し掛けるつもりなのだがやはり負ける姿は見たくないのが本音。

 一方で由加は兄に近づく虫を排除できる機会だが、だからといって兄の負ける姿を見たいとは思わなかった。

 妙な所でシンクロする辺り、この二人は根っこで繋がってるのかもしれない。

 クルスはクルスで決闘の約束などどうでも良かった。

 アリスと話す話さないは此方が決めること、アイツが好きならてめぇでもっとアプローチすればいいだけの話。

 だがそんな事よりも早々にランブリングバトルが出来る喜びが勝り、ニィッと凶悪な笑顔を見せたクルス。

 早速メンテナーズの誰かに昨日の機体を見せようと考え、意気揚々とライダーズの教室へと向かうのだった。

 教室へと着いたクルスを出迎えたのはクラスメイト達だった。


「おっ!? 有川! お前土曜日に畠山海と決闘なんだろ!?」

「よく決闘受けたな! てかあいつ最新鋭機持ってるけど大丈夫か!?」

「有川は機体レンタルでやりあうのか!? 地形使えば上手くいきそうだけど、五式の性能は高いからなぁ……」


 入るなりクラスメイトに取り囲まれたクルス、広まった決闘の話やら畠山海の事、RBの事など質問攻めに合う。


「なあなあ、あの畠山海に勝つ自信はあるのか?」

「あん? けっ……負けるつもりで決闘受けるやつはいねえだろ? 機体は昨日面白いのを見つけたからそれを修復して挑むさ」

「うぇ!? 修復してってまさか破壊されたRB回収したのかよ!? 止めとけって、まだ中古のRB使う方が信頼性あるんだし!」


 クラスメイトの一人がそう告げる、そもそも放棄されたRBだから不具合が多々ある可能性のが高い。

 RBは中古モジュールでもちゃんとショップ内で動作基準チェックを行っているのだから信頼性はある。

 だが破棄されたRBのモジュールでは動作不良を起こしかねない――。


「ああ、だから昼休みにメンテナーズの教室に行って機体の整備を頼むんだよ」

「ふぅん……。てかそんな破棄された機体見てくれる物好きがいるのか怪しそうだがな」


 決闘自体はクラスメイトも見たいのだが、クルスが乗る機体がまさか廃棄品を直す物だとは思っていなかったらしく、土曜日の試合の勝者が畠山海になるのが容易く予想できた。

 だがクルスは負けることなど考えていなかった。

 予鈴が鳴ると自身の周りに集まったクラスメイトは蜘蛛の子を散らす様に自分の席へと戻る。

 クルスも席に座ると暫くして教室のスライドドアが開き、佐久間八恵が現れた。


「おはよう諸君、朝から決闘の話で我がライダーズ全体に活気があるのは良いことだ。クルス、受けた決闘だ。遅れる事なく体調を整えるのだぞ」

「けっ……」


 感染したように広がった決闘の話、嫌が応でも土曜日の決闘は観客でいっぱいになるのは明白だった。 
 

 
後書き
次辺り一人出る予定かも( ´艸`)

てかちゃんと此方も書かないと……φ(..) 
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