Re:童話姫たちの殺し合いゲーム
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竹林の国の物語(終)
お金、宝石、金塊。
桃源郷、現世のことなんて忘れてしまうような極上の娯楽地。
それはどのようなものなのでしょう―。
今までどのお姉さま方も現世の誰も行ったことのない娯楽地を造りたい、ですが…中々いい案が浮かばず頭を悩ませ続ける毎日を送っていました、ある日のことです。
『かぐやお姉チャン、あーそーぼーなの♪』
「あら。いらっしゃい、ラプンツェル」
世界にたった一人。目に入れても痛くない、むしろ食べてしまいたいくらいに、可愛い私の妹、ラプンツェルが遊びに来てくれました。
姉妹で一番長い髪を持つラプンツェル。今日は野山でも駆け回ったのでしょう、髪の毛に木の葉がついてます。
『あそぼーなの! はやくーなの!』と遊びたくてたまらない、ラプンツェルを「はいはい」と言いながらおさえ髪をクシで梳かし、木の葉をとってあげます。ラプンツェルにとってはいい迷惑なのかもしれませんけど。
悪戯、お遊びが大好き、育ち盛りのラプンツェル。
「…そうです! その手がありましたっ」
『なーにーなの? いきなり大きな声出さないでなの』
「あ。ごめんなさい。ラプンツェル、ちょっといいかしら」
「……?」
そして千年後…出来ました、ついに出来たのです。
「私の城、千年魔京…嗚呼 なんて美しいのでしょう」
竹で出来た城
千本はくだらない 桜の木。枯れる事のない 桜の木。
舞い散る 桜吹雪は本当に幻想的で素敵です。
ゲヘナ中から集めた美男美女が美味しい酒を注ぎ、美味しい料理を一緒に食べ、最後は自らをデザートに捧げる遊郭。
最後まで悩んだ娯楽施設は、ラプンツェルの協力で賭博場になりました。
私の持てる権力・財力、全てを駆使して用意した、遊戯場。
ええ、そうです。問題は中身、箱や名前なんてステーキを引き立てるためのポテトでしかありません。
メインのステーキ。それは
『メエエエエェェ!!』
『キャハハッ♪ ほらモット鳴いてなの♪』
ラプンツェルのたっての希望で、拷問・処刑場を兼ね備えた遊戯にしました。
"敗者には清く死を―”だなんて、なんて美しい言葉なのでしょう。敗者に贈られるは死、勝者に贈られる物は生? いいえ違います。欲望の沼に沈んでいくだけです。底なしの沼にズルズルと、ゆっくりと、引きずり込まれ、沈んでいく、ただそれだけ、なのです。
「さあ― 私の、私の達の桃源郷、千年魔京の開店です―」
『おぉぉぉおおお!!』と十匹の獣が鳴き声をあげました。
これは始めの第一歩。ここから、決まるのです。私は必ず、千年魔京をゲヘナで一番の娯楽地にしてみせ―
―ようと思っていましたのに…どうしてでしょう。
『………』
千年魔京に来るのお客様はほとんどいないのです。唯一来る客といっても、うわふわ浮いている人魂だけ。
人魂は食事をしません。酒は飲みません。男も女もめでることはありません。お金を欲しません。遊戯なんてしません。
彼ら(人魂)が私の千年魔京へやって来るのは、生前の記憶故に。現世で行っていた行動の再現をしようとしているだけです。
「嗚呼 なんてつまらないのでしょう」
これでは商売あがったりというものです。せっかく、ラプンツェルが遊びに来てくれたのに『つまらないの』と言われ帰ってしまいました。
どうしてくれるのでしょう。十匹の獣たちの毛を一本、一本抜いていくだけでは怒りが収まりません。
「どうすれば、この怒りは収まるのでしょうか。
どうすれば、まともなお客様が来てくださるのでしょうか」
千年魔京が開店して早々、私はまた新たな悩みが種が出来てしまい、頭を悩ませる日々に逆戻りなのでした。
せっかくゲヘナで一番の娯楽施設、千年魔京を作り上げたというのに、肝心のお客様が来ないのです。
どうしてなのでしょう。
お酒も 美男美女も 美味しいお料理も 楽しい遊戯も 全て揃っているというのに…。
私は何かいい案はないかと、東の領地を出てふらふらとお散歩です。今のところ何も思い浮かんではいませんが、きっと何かいい案が浮かぶはずですわ!
「あら? あれは…」
川沿いに沿って歩いていると、海をぼんやり眺めている???お姉さまと出会いました。
夕暮れ時、夕日が沈む海を見ながら黄昏がれている???お姉さま。う~ん、絵になります。羨ましい限りです。
「ごきげんよう。???お姉さま。海を見てなにをしていますの」
『………』
答えは帰ってきません。ええ、分かっていましたとも。???お姉さまはとてもマイペースなお方、まともにお話をしようとする方が無理なのです。
だから私も勝手に話しかけます。
「この間、ゲヘナで一番の娯楽地を作りましたの。名前は千年魔京。千本の桜の木がありますのよ?」
『………』
「なのに、なぜかお客が来ないのです。来ると言っても魂ばかり、それではつまらないのです」
『……魂以外に誰がくるの?』
あら。食いつきましたわ。まさか話にのってくるとは思っておりませんでした。
でもこれはある意味チャンスです。このまま、相談してみましょう。
「魂では私を苛んだり、虐めてくれたりしません。それでは駄目なのです、私よりも強くて私を虐めてくださるご主人様も探したいのです」
『……』
そしてまた無言になる???お姉さま。やはり難しいお方…
『これ』
「はい?」
お姉さまがわきから取り出したものは
「黒い…羊の着ぐるみ…?」
『あげる』
あげると、言われましても…それをどうしろと…? 困ったいるのが伝わったのでしょうか、???は
『これに魂込めて』
とおっしゃり私はたまたま、お弁当に持ってきていた魂を黒い羊の着ぐるみの中へ入れてみました。
すると、どうでしょう!
『べ…ベェー』
ただの黒い羊の着ぐるみだった物が鳴き声をあげ、動き出したのです。まだ魂が上手く定着していないせいか、動きはぎこちないないですがこれは、上手く使えば……いけます! いけますわ!!
「なんて素晴らしいのでしょう! とても素晴らしいですわ、???お姉さま♪」
『ん』
???お姉さまにお礼を申し上げた後、早速千年魔京へと帰り、貰った黒い羊の着ぐるみ達に食糧庫にため込んでいた罪人の魂を放り込みますわ!!
『ベェー』『ベェー』と次々に生まれゆく新しい生命体。私のお客様♪
―それからの毎日はとても楽しいものでした
千年魔京は瞬く間に大繫盛し、毎日ひっきりなしにお客様が、来られて常に長蛇の列がうまれます。
―そして賭博場では
『や、やめ、ぁぁ…ああああああっ!!!』
『マタ…一人…お亡くなりになりましたね…竹美姫サマ』
千年魔京の随一の賭博場。そこで賭ける対象はもちろん自分の命(魂)負けた者には清く死をもって代金を支払ってもらいますわ。
己の命を賭けたスリル満点の勝負! 負けた敗者たちが見せる恐怖と絶望の表情!
死の間際に見せる美しい光景 そして断末魔!
―嗚呼 なんて素晴らしくて 素敵なのでしょう
あれを毎日、毎日聞かされていたら…私は…私はもう…
―絶望の虜ですわ
誰かに己を支配され 虐められることが 至極の快楽だった かぐや姫
自分を倒し蹂躪してくれるご主人様を長年探し求めていた かぐや姫
だがしかし 彼女が辿り辿り着き 出した答えは
『ベェェェェェェ』
「うふふふっ。さあもっと! もっとです! 私に貴方の美しいデスパレットをみせてくださいまし♪」
毎日 毎日 参六五日行われる 惨い 拷問 惨い 処刑
<被虐>のお姫様は今日も 誰かを殺す 陰惨な笑みで
<被虐END>
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