武闘派ガール
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第一章
武闘派ガール
西長堀美紀はマーシャルアーツを嗜んでいる、この格闘技は彼女が幼い頃より励んでいるものである。
それで喧嘩も強いと言われているが美紀自身は喧嘩についてはこう言うだけだった。
「格闘技は喧嘩じゃないから」
「しないの」
「美紀ちゃんは」
「ええ、喧嘩とか弱いものいじめとかそういう暴力はね」
決してというのだ。
「しないの」
「そうなの」
「暴力は嫌いなのね」
「それ先生にも言われたの」
こう友人達に話した。
「暴力は格闘技じゃないってね」
「ううん、それで喧嘩しないの」
「強いって言われてるのに」
「それでもなの」
「そう、それにね」
さらに言う美紀だった。
「マーシャルアーツって軍隊格闘技でしょ」
「ああ、アメリカ軍でね」
「あの軍隊の格闘技ね」
「そうだったわね」
「実戦の格闘技だから」
要するに殺し合いだ、その時に使う格闘技だからとだ。美紀は友人達に対してあえてこのことを話した。
「余計によ」
「喧嘩とかじゃ使えないのね」
「大変なことになりかねないから」
「そうなの」
「急所とか普通に狙うし」
それがマーシャルアーツだというのだ。
「余計にしないの」
「そうよね、喧嘩で殺人術とか使ったら」
「洒落になってないわよ」
「本当に死ぬからね」
「そうした時は」
「相手が襲って来ても」
その場合もというのだ。
「手加減をしないと」
「相手が死ぬ」
「かえってなの」
「そうなるの」
「そう、だからよ」
それでというのだ。
「私はしないから」
「ちゃんとした理由があるのね」
「美紀ちゃんが喧嘩しない理由は」
「そうだったのね」
「本当に死ぬからね」
またこう言う美紀だった、とにかくだ。
美紀は喧嘩はせず弱いものいじめなぞもっての他だった、だがその彼女はある日こんな話を聞いてだった。
クラスで友人の一人にだ、こっそりと聞いた。
「あの娘いじめられてるの」
「そうみたい、同級生にね」
「そうなの」
同じ美化委員の後輩の話を聞いて尋ねたのだ。
「噂は本当だったの」
「そう、そしてね」
「そのいじめの内容も」
「相当に酷いから」
「噂通りに」
「机や教科書、ノートに楽書きとかされてね」
「暴力も受けてよね」
「おトイレでボロボロにされたり」
連れ込まれてだ。
「おトイレの便器のお水飲まされたりとかゴミお口に突っ込まれたりとかね」
「酷過ぎるわね」
美紀はその話を聞いて思わず眉を顰めさせた。
「それは」
「毎日ズタズタになってるのよ」
「その状況だと」
美紀はいじめられている娘を本気で心配して言った。
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