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女子の学級委員

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第二章

「それが女の子よ」
「そうなんですか」
「そう、女の子ってそうじゃない娘もいるけれど」
「自然になの」
「やらないお仕事があるとね」
 それを言われたり目の前にあったりすると、というのだ。
「自然と動くのよ」
「それもきついお仕事の方になの」
「そういうものよ」
「そうだったの」
「だって子供産んで育てるのよ」
 母は娘を見つつその娘に話した。
「だったら何もしないとね」
「お仕事が溜まって」
「それもきついのがね」
「だからなのね」
「それならね」
 その仕事が溜まって後で大変な思いをするよりはとなってというのだ。
「最初からね」
「しておこうってなって」
「動くのよ」
「自然になのね」
「そうよ、それが女の子なのよ」
「それで女の人なの」
「だから美紀ちゃんもね」
 彼女にしてもというのだ。
「女の子だっていうことよ」
「そういうことでもあるの」
「そう、女の子だからそうした風に動くのよ」
「クラス委員だからじゃなくて」
「お母さんもどうもね」
「そういえば」
 美紀は母のその言葉で母の日常に気付いた。
「パートのお仕事もして」
「それでよね」
「家事をしていて」
「まずはきついお仕事からしてるでしょ」
「自分からね」
「さもないと後が大変だから」
 主婦であり母親であるからだ。
「最初からね」
「自然になのね」
「なってるのよ」
「女の子は」
「そうよ、美紀ちゃんは自然なのよ」
 女の子として、というのだ。
「女の子はそうじゃない娘もいるけれど」
「お仕事があったら」
「自然と動くの」
「それもきついお仕事の方に」
「そうしたものなのなのよ」
「成程ね、じゃあ明日もクラスで」
「お勉強と部活とね」
 それに加えてというのだ。
「クラス委員のお仕事もね」
「やってくわ」
「自分からね」
「そうして動いていくわ」
 こう言ってだ、美紀は席を立って自分の部屋に戻った。そのうえで予習と復習得意な数学や理科のそれをしたのだった。


女子の学級委員   完


                 2017・8・30 
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