言えない告白
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第四章
「だからね」
「もうですか」
「そう、ここにいることはね」
最早というのだ。
「ないから君ともね」
「これで、ですか」
「お別れよ、気持ちは受け取ったけれど」
それでもというのだ。
「応えられないわ」
「そうですか」
「悪いけれどね」
「いえ」
徹二は里奈の言葉と返事を受け取った、そうしてだった。
晴れ渡った顔になってだ、里奈に言った。
「有り難うございます」
「お礼を言ってくれることは」
「気持ち、聞いて受け取ってくれましたから」
だからだというのだ。
「ですから」
「それでなのね」
「お礼言わせて頂きました」
「そうなのね」
「じゃあ」
「ええ、これで」
こう言ってだ、そしてだった。
徹二は里奈から深々と頭を下げてだ、それからだった。彼女の前を去った。もう振り向きはしなかった。
そのうえでクラスメイト達のところに戻ってだ、彼は微笑んで言った。
「言ってきたよ」
「そうか、そうしてきたんだな」
「そうしてきたか」
「ああ、振られたさ」
あえて笑って話した。
「もうな」
「そうか、じゃあ卒業パーティーだ」
「パーティーに行こうな」
「カラオケボックスでな」
「そこで楽しもうな」
「それじゃあ」
こう話してだ、そしてだった。
徹二はクラスメイト達と共にカラオケボックスで卒業パーティーを楽しんだ、そうして全てを忘れた。そのうえで新しい門出に向かった。覚悟を決めたその後で。
言えない告白 完
2017・4・23
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