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動物園の過去

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第一章

               動物園の過去
 天王寺美沙子は子供の頃よく天王寺動物園に行っていた、それは成長した今も変わっておらず遊びに行こうという話になれば絶対にこう言った。
「じゃあ動物園に行きましょう」
「天王寺のね」
「あそこになのね」
「そう、行きましょう」
 こう言うのだった。
「そうしましょう」
「そこに行くの」
「そうするの」
「また動物園なの」
「あそこで動物見て回るのね」
「私動物園大好きだし」
 元々動物好きだ、子供の頃から変わらないことだ、
「それにあそこの雰囲気っていいでしょ」
「まあね」
「色々な動物いてね」
「のどかだし」
「そうでしょ、だからね」
 美沙子は皆にあらためて言った。
「今回も行きましょう」
「何かいつもなのよね」
「美沙子って動物園なのよね」
「何処かに行こうって話になったら」
「那波とか梅田とかじゃなくて」
「動物園なのよね」
「あそこなのよね」 
 皆やれやれという感じで美沙子に言う、しかし。
 美沙子は皆が別にと言うとそれ以上は言わないで皆に合わせる、そうした娘なので皆で動物園に行く時もある。
 それは今回だった、皆で最近行ってないし経営も助ける為にとなって天王寺動物園に行った。そしてだった。
 動物園の中にいる象やキリン、ライオン達を見ていく。他にはコアラもいれば鳥達もいて爬虫類にアシカ達もいる。
 美沙子はペンギンのコーナーに行ってだ、ペンギン達を見つつそのうえで一緒に見ている皆に言った。
「私昔ペンギンって北極にいるって思ってたの」
「南極だけれどね」
「そこ勘違いするわよね」
「北極と南極ってね」
「間違えるわよね」
「それでなのよ」
 こう皆に話すのだった。
「ついついね」
「そうしたことってあるわよね」
「あとシロクマもね」
 ホッキョクグマもというのだ。
「南極にいるって思ったりね」
「そうしたことあるわよね」
「どうしてもね」
「子供の頃はね」
「北極と南極って同じって思って」
「実際は全然違う場所なのに」
「地球で一番遠く同士にあるのにね」
 北極と南極ではだ。
「だからペンギンもね」
「北極にいるってね」
「そうだって思って」
「勘違いするのよね」
「そうなのよね、アフリカに虎がいるとか」
 美沙子はこの動物の話もした。
「思ったりね」
「実際は虎ってアフリカにはいないのよね」
「あそこにはね」
「豹やライオンはアフリカにいるけれど」
「それでもね」
 皆でこうした話をしつつだった、動物園の中を見て回った。美沙子はその中で色々な動物達を見てはしゃいでいた。
 しかしだ、ふとだった。
 動物園の慰霊碑の前に来るとだ、こんなことを言った。
「ここ、知ってるわよね」
「だから何度も来てるじゃない」
「あんたと付き合ってね」
「じゃあ知ってるわよ」
「ここのこともね」
「そうよね、ここはね」
 その慰霊碑を見て言う美沙子だった。
「昔はね」
「大戦中よね」
「動物に御飯をあげられなくなってね」
「戦争で食糧難で」
「空襲で檻が壊されて猛獣が外に出たらともなって」
 それでというのだ。 
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