恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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675部分:第五十三話 孟獲、七度捕らえられるのこと二
第五十三話 孟獲、七度捕らえられるのこと二
「孟獲さんならこれで」
「絶対に捕まりますから」
「だといいのだがな」
「本当に上手くいくかしら」
「孟獲さんの知力はどうやら鈴々ちゃんや文醜さんと同じ位です」
「夏侯惇さんにもひけを取りません」
あまりいい意味でないのは間違いなかった。
「ですからこれで」
「確実に捕まえられます」
「だといいがな」
「捕まるんならね」
魏延と馬岱だけでなく他の面々も捕まえられるとは思っていなかった。しかしだった。
孟獲が来た。そしてだった。
「あっ、バナナにゃ!」
その罠のバナナに飛びつく。その瞬間だった。
「はい、それじゃあ」
「こうして」
孔明と鳳統が縄を引っ張るとだった。それで終わりだった。
「にゃ!?急に真っ暗になったにゃ!」
ザルの中から孟獲の声がする。
「どういうことにゃ!何が起こったにゃ!」
「ほら、言った通りになりましたね」
「無事捕まえられました」
軍師二人はにこやかに笑う。まさに少女の屈託のない笑みだった。
しかしだ。その孟獲を見てだ。他の面々は唖然となっていた。
「嘘だ、これは」
「まさかと思ったけれど」
「あれで捕まるか」
「お猿さんじゃない」
まさにそのレベルであった。孟獲はだ。
そしてその頃だ。許昌ではだ。
その夏侯惇がだ。檻の中にいた。そのうえで吼えていた。
「こら!何だこれは!」
「姉者、何をやっているのだ」
その木の檻の前に夏侯淵がいる。彼女は呆れた顔で姉を見ながら言うのだった。
「まさか捕まるとは思わなかったぞ」
「うう、饅頭がある空手に取ってみればこれか」
「いい加減書類の仕事をしてもらいたくて罠を張って捕まえようと思ったが」
「本当に捕まるなんてね」
「思わなかったわ」
曹仁と曹洪もいる。二人も呆れている。
「こんなのお猿さんでもないとね」
「捕まらないわよ」
「私が猿だというのか!」
本人は檻の柵を両手で掴みながら抗議する。
「聞き捨てならんぞその言葉は!」
「そう言いたいならばだ」
「何だ、秋蘭」
「せめて捕まらないでくれ」
これが妹の言葉だった。
「こちらも驚いているのだ」
「うう、何という不覚」
「けれどそれでもこれでね」
「書類の仕事してもらえるわね」
曹洪と曹仁はこのことを素直に喜んでいた。
「じゃあ。名前を書いてもらうだけの仕事だから」
「春蘭、頼むわよ」
「だからだ。私はそんな仕事はだ」
ムキになって言う夏侯惇だった。
「絶対に嫌だ!そうした仕事をするとだ!」
「身体中に蕁麻疹ができるのだな」
「そうだ。だから嫌だ!」
「それはわかるがそうも言っていられんのだ」
妹は今は心を鬼にしていた。
「だからだ。今は仕事をしてくれ」
「うう。何ということだ」
「あの文醜殿ですら書類の仕事はしているのだぞ」
「何っ、あいつがか」
「嫌々だがな」
それでもだというのである。
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