| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

668部分:第五十二話 パヤパヤ、噛まれるのことその七


第五十二話 パヤパヤ、噛まれるのことその七

「足とか背骨の関節が」
「そうなったら同じよ」
 黄忠も怪訝な顔で話す。
「間接が外れたら」
「ううん、この状況は」
「まずいな」
 神楽も趙雲も楽観視していない。
「二人共必死で気付いていないけれど」
「このままでは」
「いかんな、止めよう」
 関羽が前に出ようとする。
「象の取り合いで象が死んでは話にならない」
「そうだよね。この状況じゃ」
「美以様にとってもよくないし」
「ここは」
「止めましょう」
 トラ、ミケ、シャムに続いて劉備も出ようとする。
「象さんが本当に」
「いえ、大丈夫です」
「もうすぐですから」
 しかしだった。軍師二人はここでも一行を止めるのだった。
 その二人にだ。関羽がたまりかねた口調で言う。
「しかしこのままでは象がだ」
「ですからその前にです」
「話は決まりますから」
「そうなるというのか」
「はい、御安心下さい」
「是非」
 二人だけが動じていない。実に落ち着いたものだった。そしてその中でだった。二人の引っ張り合いがまだ続いているのだった。
 だが、だった。パヤパヤが叫んだところでだった。
「パヤーーーーーーーーッ!?」
「!?パヤパヤ!」
 それを見てだった。孟獲が咄嗟に動いた。その動作は。
 手を離したのだ。その両手をだ。
 必死に引っ張っていた張飛はもう一方の力がなくなり急に後ろに倒れていった。そうしてそのまま尻餅をついてしまったのであった。
 だがその手にはだ。パヤパヤがある。それを手にしてだった。
「やったのだ!鈴々のものなのだ!」
「ち、違うにゃ!」
「鈴益々のものになったのだ!これで勝ちなのだ!」
「いえ、そうはなりません」
「それは違います」
 孔明と鳳統がだ。張飛のところに来てこう言うのであった。
「その象さんは孟獲さんのものです」
「そのことは間違いありません」
「何故そう言うのだ」
「手を放されたからです」
「だからです」
 だからだとだ。二人は起き上がってきた張飛に対して述べるのだった。
「それでなのです」
「その象さんは鈴々さんのものではありません」
「手を放したからなのだ」
「はい」
「何故なら」
 その理由もだ。二人は話すのだった。
「このまま引っ張り合いを続けていれば象さんが苦しみます」
「孟獲さんはそれを見られたからです」
「だからだというのだ」
「はい、象さんが可哀想になって止められた」
「それこそが」
 二人はそれぞれ羽根の扇と帽子を手に取ってだ。前にかざして宣言した。
「孟獲さんが象さんの主である何よりの証です」
「その通りです」
「うう、そうなるのだ」
「じゃあこれではっきりしたにゃ」
 張飛は口を波線にさせてうなだれ孟獲jは晴れやかな顔になっていた。二人の表情はまさに正反対のものになってしまっていた。
「パヤパヤは美以のものにゃ」
「うう、残念なのだ」
「話はこれで一件落着ですね」
「これで」
 二人は今度はにこやかに笑って放した。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧