恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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667部分:第五十二話 パヤパヤ、噛まれるのことその六
第五十二話 パヤパヤ、噛まれるのことその六
「それはあるのだ?」
「あるにゃ。それは」
「それはなのだ?」
「美以が言うからその通りなのだ」
これが彼女の返答だった。
「それ以外に何の理由があるのだ」
「そんなの理由にならないのだ」
張飛は孟獲の言葉にむっとして返す。
「この象?は鈴々に懐いているのだ。だから鈴々のものなのだ」
「そんなの出鱈目にゃ」
「出鱈目だというのだ?」
「そうにゃ。美以のものだと言ったらそうなのだ」
孟獲も負けてはいない。
「だから早く返すのだ」
「嫌なのだ」
張飛はパヤパヤを意地でも返そうとはしない。その手に強く持ってだ。
「何があっても返さないのだ」
「返すにゃ!」
「嫌なのだ!」
何時しかだ。二人はパヤパヤを手に取ってだ。両端から引っ張りだした・
「これは美以の象にゃ!」
「鈴益々のものなのだ!」
「これは一体どうなんでしょうか」
劉備が象を引っ張り合う二人を見て話をする。
「あの、このまま終わりそうにないですけれど」
「そうだな。これはな」
関羽も難しい顔で劉備に応える。
「鈴々もあれで意固地なところがあるからな」
「そうですよね。困ったことになっちゃいましたね」
「いえ、これは」
「大丈夫です」
しかしだった。軍師二人は落ち着いた声でこう劉備に言うのだった。
「このことはすぐに終わります」
「それも簡単に」
「簡単にですか」
「はい、もうすぐです」
「終わります」
二人はまた劉備に述べた。
「まあ見ていて下さい」
「安心していいです」
「そうなんですか」
「はい、ですから」
「ここは」
こう話してであった。二人は劉備だけでなく一行にここは静かに見るように話した。一行はその間にも状況を見るしかなかった。
二人はだ。その間にも引っ張り合う。そうしてパヤパヤは。
「パヤ!?」
左右から引っ張られだ。目を丸くさせる。
張飛が前足から、孟獲が後ろ足から引っ張り合いだ。それぞれ言い合う。
「返すにゃ!」
「鈴々のものなのだ!」
こう言い合い続けてだった。
「ええい、パヤパヤは美以のものにゃ!」
「それは間違いなのだ!」
「パヤ!」
次第にだ。パヤパヤの身体がきつくなる。伸びはじめていた。
伸びながらだ。苦しんでいた。それを見てだった。
馬超がだ。怪訝な顔で仲間達に言った。
「あの象、あのままだとな」
「そうね」
「危険ですね」
ミナと月が彼女のその言葉に応える。
「身体が伸びだしていますから」
「あのまま続けば」
「真っ二つか?」
馬超は最悪の事態を想定しだした。
「そうなったらどうするんだよ」
「流石にそんな漫画みたいな展開はないでしょうけれど」
神楽は現実的な案を述べた。
「けれど。このままいったら」
「間接外れるんじゃないの?」
馬岱が考えた事態はこれだった。
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