オズのジュリア=ジャム
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第六幕その五
「有り難いことにね、ではね」
「はい、頂きます」
「そうさせて頂きます」
五人は笑顔で応えてでした、そのうえで。
それぞれテーブルに着きました。食べる必要のないかかし達も同席していつも通り食べて楽しんでいる時の皆の笑顔を心の栄養にするのでした。
実際にです、そのお菓子や蜂蜜を付けたパンやそれを入れたお茶を飲みますと。
「これは」
「もう何ていうか」
「普通の蜂蜜とは別格」
「とんでもなく美味しくて」
「嘘みたい」
そこまで美味しいというのです。
「何ていうか」
「この味だと」
「目が覚めそう」
「とんでもなく甘くてそれでいてお口に入れたらすっきりして」
「普通の蜂蜜とは違う感じね」
「これがトンホイさんの蜂蜜なの」
ジュリアも食べてうっとりとなっています、そのお顔で五人に言うのです。
「素晴らしいでしょ」
「はい、本当に」
「こんな蜂蜜ははじめてです」
「幾らでも食べられそうです」
「魔法を使っているみたいですね」
「そんな美味しさですね」
「僕は魔法は使えないよ」
魔法と聞いてです、トンホイさんは笑顔で否定しました。
「そうしたことは一切知らないよ」
「けれどこの蜂蜜の味は」
「何ていいますか」
「そんな感じがします」
「魔法を使っている様な」
「そうした美味しさです」
「そう言ってくれるんだ、だったらね」
五人の言葉に笑顔になってです、トンホイさんは彼等にこうも言いました。
「どんどん食べて舐めてね」
「お菓子も蜂蜜も」
「そうしていいんですね」
「うん、蜂蜜はパンだけじゃなくてお菓子にも入れていいから」
当然紅茶にも入れています、それも皆が。
「どんどんご馳走になってね」
「ですが」
神宝はここで怪訝なお顔になって言ってきました。
「そんなに食べたら」
「蜂蜜もお菓子もだね」
「なくなりませんか?」
「安心していいよ」
「そのことはですか」
「そうだよ、沢山あるしいつも採れるからね」
蜂蜜、それがというのです。
「だからね」
「いつも採れるんですか」
「そうだよ、決まった時にしか採れるという訳じゃないからね」
このこともオズの国の特徴です、田畑の作物もどの季節で出来るかではなく種を蒔いて育てているとそれぞれの作物の実る期間で生えて食べられる様になるのです。
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