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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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657部分:第五十一話 孫尚香、立ち上がるのことその六


第五十一話 孫尚香、立ち上がるのことその六

「あの方に徐州もまた」
「ああ、それね」
「はい。そうすれば問題は解決しますが」
「残念だけれどそれはできないのよ」
 孫策はこう言って孫権のその言葉を退けた。
「宦官が五月蝿いのよ」
「あの張譲がですか」
「あの娘は昔張譲の親族と衝突しましたね」
「私達は只でさえ張譲に睨まれてるけれど」
 それは袁紹や袁術も同じであった。州牧達は全員宦官達と対立しているのだ。そこには複雑な政治的事情があるのであった。
「私達は大将軍の派だからね」
「確かに何進将軍も問題のある方ですが」
「特に私腹を肥やしたり悪事をする方ではないからね」
「はい、ですから」
「あの人についてるけれどね」
「我々は特に深くはありませんが」
 孫策達はだというのだ。
「曹操殿は」
「それに袁紹もね」
「だからですか。曹操殿に徐州は」
「そうよ。決してね」
「張譲が許さないと」
「向こうは帝を抑えているわ」
 その問題もあった。事情はとかく複雑だった。
「だからそう簡単にはね」
「いきませんか」
「勿論袁紹もよ」
 彼女もだというのだ。
「あの娘も曹操と同じ位張譲に嫌われてるからね」
「だからですね」
「ええ。だからね。あの娘も徐州の牧にはね」
「なれないのね」
「それで私も」
 孫策自身もだというのだ。
「只でさえ交州の牧にすることさえ渋っていたのにね」
「これ以上はですか」
「そうした意味では曹操と袁紹もなのよ」
 その二人もなのだった。
「特に袁紹なんて幽州も入れたら五州よ」
「勢力が大きくなり過ぎると」
「張譲の弱みは自分の兵を持っていないことよ」
 それがだというのだ。
「朝廷の兵は大将軍が掌握しておられるから」
「兵を持っていない」
「帝は篭絡しているけれどね」
 それでもだというのだった。その張譲はだ。兵を持っていないのである。
「それでも兵はね」
「ですね。だからこそ我々の勢力拡張を好まない」
「だからこそ徐州もまた」
「そういうことなのよね。私達三人は徐州は治められないのよ」
「本当に誰かいればいいのですが」
 孫権は憂いのある顔になっている。
「さもなければ徐州の民が」
「そうよね。しっかりと治める人がいないとね」
「それは宦官にとってはどうでもいいのですね」
「あの連中は自分のことしか考えていないわ」
 孫策の今の言葉は厳しいものだった。
「自分立ちの栄耀栄華だけね」
「それ以外にはですね」
「そうよ。その為にはね」
「他人がどうなってもですね」
「勿論民なんかどうでもいいわよ」
 辛辣だった。彼女達にはだ。
「全くね」
「そうですね。そうした意味ではわかりやすい面々ですね」
「あまりにもね。けれどそうした連中のせいで」
 孫策はその目を鋭くさせていた。そうしての言葉だった。
「民達が苦しむ道理はないわね」
「全くです。本当に」
「そうよね。まあ徐州も問題だけれど」
 そしてなのだった。さらにだ。
 
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