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~仮面被りし幾重の使い魔~

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赤い髪のご主人様

「さて、着いたわよヴェル♪」

キュルケに連れられるがまま、着いたのはどうやらキュルケの部屋のようだ。

ニコニコと明らかに恐らく、記憶があったときは非リアだったに違いない俺なら一撃で落とされてしまいそうな笑顔を浮かべてキュルケは部屋の鍵を開ける。

入ってみると、そこはまるでファンタジーなこの世界にはピッタリの部屋で、高級そうな天蓋ベットと箪笥がある。
さすが、女の子の部屋といったところだろうか。
整理整頓はきっちりとしているけれど、やっぱり召喚された時に嗅いだ『あの匂い』は健在だ。
やっぱり、アレは香水かなんかなんだろうなぁ・・・。

「どうしたの、ヴェル?そんなに女の子の部屋に入って緊張しているの?ウブなのね♪」

優しく微笑んでキュルケは俺の頭を撫でる。
やっぱり、メイジっつーか魔法使いの奴らにとって使い魔はイヌネコの(たぐい)なんだろうなぁ・・・。

何故か嫌な気がしない俺が嫌だ。

「そういえばさ、キュルケ。俺っつーか使い魔は基本的になにするんだ?」

「ああ、ヴェルは知らないのよね。使い魔って言うのは、主人の目になるの。でも貴方は・・・そんなこともなさそうね。何か見えてるわけでもないようだし」

簡単に言えばなんていうんだろ、・・・・ああ、監視カメラみたいなもんかな?

するとキュルケは首をかしげて、


「カンシカメラ?なにそれ、動物か何かなの?」

身を乗り出して聞いてきやがった。

畜生、妖艶すぎるじゃねーか。

誘惑されたいよ、畜生!

「そろそろ、お昼か・・・。」

と、おもむろに服を脱ぎ始めた。

おい、いくらなんでもそりゃ無防備すぎやしないか!?

ここまでオープンって、逆に引くわ・・・。

「おい、なに着替えてんだよ!?目の前で!」

ちょっと声が焦った感じになってしまったが、まぁいいや。

キュルケがニヤニヤして下着姿のまま、俺に抱きついて来る。
げふっ・・・柔らかく大きなものがあたっとる!
そして、身を委ねるなっ!

「ふふ、あたしに見蕩れてしまったのね?いいのよ、隠さなくても。これから、慣れてもらわないと困るわね。あたしの使い魔なんだし。そ・れ・と、嫉妬しないようにちゃんと構ってあげなくちゃ♪」

やけに嬉しそうだ・・・。

あー・・・・・・・・。

「ちょっと、外出てます」


「敬語じゃなくてもいいのに。あてとかあるの?」

キュルケはタンスから服を引っ張り出してきて、たぶん風呂場だと思われる部屋の扉を開ける(風呂場だった)。

あては特に無いんだけどなぁ・・・・。

「まぁ、テキトーにふらついてくるよ。場所は覚えてるし」

「私の匂いで?」

「・・・・っ!」

にかーっとキュルケは扉から顔を出して、笑う。

今のところ、ペースに乗らされてばかりだ。

「違いますっ!記憶力!その辺、ふらついてくる!」

そういって俺は扉を開けて出て行った。

後ろのほうから「あ、いってらっしゃーい。・・・というか、食堂の場所分かるかしら?ヴェル。」

なんか、最後のほうの言葉は聞き取れなかったけど、ま、いっか!









一方、オリンポス山にて――――――――――












「ゼウス様ー?ここに書類置いときますよ?」

くそっ、ヘルメスのやつめ。

あいつが『ゼロ魔』の世界に行ってから、こんなに書類を書かせるなんて。

「仕方ないじゃないですか。我々は人間や他の動物たちの上に立つ存在であり、自然現象を起こすことも出来る。だからといって、我々は完全に万能ではない、ゼウス様、貴方はいつだったかそう仰ってましたよ」

・・・我が息子ながら、恐ろしい。

確かにその通りだが、ここで我が息子に言われるのと他人に言われるのではショックが違うな。


「貴方の悪知恵そのものですからね、僕は。」


そういえば、そうだった。
俺の悪知恵・・・違う違う!計画的策略でお前は生まれたんだ!


「それを悪知恵と言うんです。・・・どうですか、彼の様子は。」


まぁまぁだ。
俺がヘラにそうされているように尻に敷かれそうな未来が見えてくるな。
男は敷かれるくらいが丁度いいのだ。
おっと、名言だな!
まぁ、コイツにはちょうどいいかもしれんが。

「そうですね・・・。まぁ、あんな目に遭いましたからね・・・。」

女と付き合う前に死ぬなんて、哀れだと思わんか?我が息子よ。


「なんとも言いがたいです。というか、先ほどからヘラ様が睨んでますけど・・・」

わわっ!ヘラ、今のはだな、浮気をしているというわけではなくてだな、俺の持論なんだ!
一番、愛してるのはお前だ!
ヘラ!


「・・・全く、神も大変ですよね、ホント。」


ヘルメス、ため息をつく暇があるならばフォローくらいしてくれたらどうだ。

さーてと、新たなる名前・『VermelioChrimson』に敬意を評し、一つフラグでもくれてやるとしよう。

・・・ヘルメス、変な顔で見るな。
 
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