恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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656部分:第五十一話 孫尚香、立ち上がるのことその五
第五十一話 孫尚香、立ち上がるのことその五
「大きさは程々だけれど形ね」
「形ですか」
「美乳ね。いつも思うけれどいい形よ」
「そこまでですか」
「その形のよさ、罪よ」
ここでは楽しげに笑う姉だった。
「知ってるかしら。妹でも女同士ならね」
「あの、私はそういう趣味は」
「冗談よ。それはしないから安心しなさい」
「当然です。ですから私は」
「そうよ。それでだけれど」
「それで?」
「交州はどうなったのかしら」
話すのはこのことだった。政治の話になった。
「そっちの方は」
「はい、それですが」
孫権は姉の言葉に応えてすぐに述べてきた。
「間も無く朝廷の方からです」
「話が来るのね」
「正式にです」
「そう。これで交州も治めることになるのね」
孫策は話を聞いて笑顔で言うのだった。
「遂にね」
「山越の件での功績が認められましたね」
「そうね。ただ」
「ただ?」
「暫く兵は動かせそうにないわね」
ここでこんなことを言うのだった。
「揚州と交州の二つ以外にはね」
「そうですね。今は」
「それは袁紹もだったわね」
孫策は今度は彼女の名前を出したのだった。
「あの娘の場合は私のところよりややこしかったわね」
「北と西の諸民族ですから」
「そうだったわね。それで幽州の牧を任されることになって」
「しかも今治めている四つの州が既にありますし」
「こりゃあの娘も当分動けないわね」
「そうですね。ただ」
「ただ?」
妹の今の言葉に顔を向ける。
「何なのかしら」
「あの方にとってはその方がいいのでは」
「いいっていうのに」
「あの方が政に専念されれば奇行がなくなります」
だからだというのである。
「おかしな催し等も」
「あれねえ。余裕があったらすぐにするからね」
「それがなくなりますから」
だからいいというのが孫権の言葉だった。
「だからどうでしょうか」
「確かにね。けれどあの娘も今何かがあってもね」
「動けませんか」
「残念なことにね。動けるのは」
「曹操殿と董卓殿と」
「あれね」
孫策の顔が今度は困った笑顔になった。
「その袁術ね」
「あの方ですね」
「あそこの南部の統治は楽だから」
問題はないというのである。
「兵位は出せるからね」
「何かあればですね」
「そういうことよ。中原で何かあったら」
その場合の話にもなる。
「兵を出せるのはこの三つね」
「我々と袁紹殿は今は無理と」
「その通りよ。今は徐州が危ないのかしら」
そこがだというのだった。
「牧もいないしね」
「そうですね。益州もそうですし」
「あそこはまた今のところどうにもならないわね」
「せめて徐州だけでも」
「誰かいないかしらね」
孫策は腕を組んでぼやきだした。
「本当に。牧できる人がね」
「曹操殿はどうでしょうか」
孫権は彼女の名前を出した。
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