恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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654部分:第五十一話 孫尚香、立ち上がるのことその三
第五十一話 孫尚香、立ち上がるのことその三
「心の中に大きなものがあればです」
「そうよね。胸が小さくてもね」
「はい、ですから」
だからだとだ。呂蒙の言葉は続く。
「小蓮様、ここは大きくいきましょう」
「そうね。これからはあれよ」
孫尚香は腕を組んで言い切った。
「貧乳の時代よ」
「では私はこのことについては」
呂蒙も必死である。
「小蓮様に全てを捧げます」
「ええ、御願いね」
そんな話をしていたのであった。そしてだ。
袁術のところにだ。早速孫尚香からの手紙が来た。それを見てだった。
「ほほう、面白い話が来たぞ」
「面白い話とは?」
「そなたには関係のないことじゃ」
傍にいる張勲には今は冷たかった。
「全く。世の中不公平じゃ」
「不公平とは?」
「わらわはわらわ自身も中身もない」
「あの、何がないんでしょうか」
「しかしそなたはそなた自身も中身も見事なものじゃ」
そうだというのであった。じとっとなった目は張勲のその目にいっている。
「だからじゃ。このことはそなたには関係のないことじゃ」
「はあ。そうなんですか」
「安心せよ。兵を動かすとかいう話ではない」
「そうですね。そんな話は聞いたことがないですし」
張勲は胸のことは知らなくともそれは知っていたのだった。
「今は揚州も北方も静かですしね」
「戦後処理だけじゃな」
それはまだ続いていた。
「しかしまあ。兵は動いてはおらん」
「はい、やっぱり平和が一番です」
張勲はにこりと笑ってそのうえで右手の人差し指を立てて離す。
「戦乱なんてない方がいいです」
「その通りじゃ。わらわは戦は好かん」
袁術はだ。それは好きではないのだった。
「歌や踊りの方がどれだけいいか」
「そうですよね。そういえばです」
「歌のことか?」
「そうです。曹操さんのところに凄く歌の上手い人がいるそうですよ」
「ふむ。そうなのか」
「何か私達と凄く縁のある人みたいです」
張勲はこんな話もするのだった。
「一度御会いしたいですよね」
「そうじゃな。わらわと仲良くなれるかも知れん」
袁術は不思議とそんな感じがしていたのだ。
「一度会ってみたいのう」
「そうですよね。けれど美羽様」
ここではだ。張勲はその大きな目をしばたかせながらそのうえで主に問うた。
「そのお手紙は本当に」
「だからそなたには関係のないことじゃ」
内容についてはあくまで言おうとしない袁術だった。
「だから言わぬぞ」
「送り主は誰でしょうか」
内容は絶対に言わないとみてだ。張勲は尋ねる内容を変えた。
「その人は」
「孫尚香じゃ」
袁術はそれ位はとして言うのだった。
「あの者からの手紙じゃった」
「あっ、あの人からですか」
「そうじゃ。言うのはそれだけじゃ」
「わかりました。そうなのですね」
「謀叛とかいう話でもない」
袁術はそれも否定した。
「物騒な話ではないから安心せよ」
「はい、それはわかります」
しかしであった。張勲はにこやかな笑顔の中にだ。瞳の奥に何かしら光るものを含ませていた。そうしてそのうえで、なのであった。
孫策のところにだ。一通の手紙が来たのだった。それは。
「あら、珍しいわね」
「珍しいとは?」
「そうよ。ほら、袁術のところの」
傍らにいる妹にだ。こう告げるのだった。二人は今孫策の執務室にいる。そして孫権は姉のすぐ傍らに立っているのである。
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