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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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643部分:第五十話 タムタム、子供を可愛がるのことその二


第五十話 タムタム、子供を可愛がるのことその二

「それで」
「わしもそれはよくわからん」
「よくですか」
「うむ。まあ人間とは聞いておる」
 厳顔の口調は今一つはっきりとしないものだった。彼女にしては珍しくである。
「だから安心することじゃ」
「そこは安心するところじゃないような」
「そうですよね」
 ミナと月がその彼女に突っ込みを入れる。
「人間なのは間違いないし」
「はい、ですから」
「いやいや、それがだ」
 だが、だった。ここで魏延がそのことを話す。
「南蛮はとにかく謎に包まれていてだ」
「謎に」
「それでなんですか」
「そうだ。象がいて大蛇がいる」
 まずはこうした動物達だった。
「巨大な鰐もいれば変わった鳥もいる」
「他の猛獣達も多いそうね」
 黄忠の目が少し鋭くなる。
「何時何処から出て来てもおかしくないだけいると聞いているわ」
「毒蛇も多い」
 魏延はさらに話す。
「そうした場所だ。例え王が人間でなくともだ」
「おかしくはない」
「そう仰るんですね」
「一応猛獲とは人の名前だ」
 魏延はそれは確かだというのだった。
「だが、だ」
「それでもだな」
「人間とは限らないのだ」
 関羽と張飛もそう思いはじめていた。
「では虎や豹が玉座にいてもだ」
「おかしくはない国なのだ」
「それかそうした猛獣に近い者だ」
 魏延自身の考えである。
「そうした輩と話ができるかどうかだ」
「難しいな」
「鈴々でもそんな奴との会話は無理なのだ」
「ううむ、際悪の場合は」
「また一戦なのだ」
 関羽と張飛もそのことを覚悟していた。そんな中でだった。
 一行は密林の中を進んでいく。その彼等を見てだ。
 虎、いや豹のそれに近い模様の服を着てブーメランを持った少女がいた。長くざんばらとした髪に澄んだ目に幼い顔をしている。その少女がだ。
 隣にいる黒い髪に赤い仮面の大男に声をかけた。
「ねえタム兄ちゃん」
「チャムチャムどうした?」
「何かおかしな奴等がいるよ」
「あの連中か」
「兄ちゃんにも見えるんだ」
「タムタム見た」
 こう答える仮面の男だった。
「間違いなく見た」
「そうよね、何かなあの連中」
「わからない」
 まずはこう言うそのタムタムであった。
「だが」
「だが、よね」
「怪しい奴」
 これは確かだという口調だった。
「猛獲に知らせるべき」
「そうだね。それでどうしようか」
「話してみる」
 これがタムタムの意見だった。
「そうしてそのうえで」
「そのうえで?」
「いい奴なら何もしない」
 こう妹のチャムチャムに話す。
「タムタム善人には何もしない」
「そうよね。僕だってそうだよ」
 それはチャムチャムもだというのだ。
「悪い奴としか戦わないよ」
「そう。悪い奴ならやっつける」
 これがタムタムの言葉だった。
 
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