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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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64部分:第六話 馬超、曹操の命を狙わんとするのことその七


第六話 馬超、曹操の命を狙わんとするのことその七

「私は。これから・・・・・・」
 自分の身体を曹操に捧げることになる。馬超を助ける為とはいえだ。
「馬超の為だ。これも」
 恐れを必死に押し殺してこう考えることにした。そのうえで曹操を待つ。
 そして遂に天幕に誰かが入る気配がした。関羽はその気配を感じ取りすぐに確信した。
「来た・・・・・・!」
 気配はベッドに少しずつ近付いて来る。関羽はその身体をベッドの中で縮ませる。だがその彼女に対してだった。声はこう言ってきたのだった。
「関羽殿、ベッドを出られよ」
「えっ!?」
「私は夏侯惇だ」
 こう名乗ってきたのだった。
「貴殿に今から案内する場所がある。服を着られよ」
「服をか」
「そうだ、いいな」
「・・・・・・わかった」
 事情はわからないがそれでも頷いた。そうしてだった。
 言われるままベッドを出て服を着た。夏侯惇は彼女が天幕から出ると入り口で立っていた。そのうえで彼女をある場所に案内しはじめた。
 そしてそのうえでだ。関羽に対して言ってきた。
「これから私が話すことはだ」
「うむ」
「独り言だ。馬超殿の母上馬騰殿は実は重病だったのだ」
「重病か」
「そうだ、都の何進大将軍に呼ばれた時一見しただけではわからなかったが」
 そうであったというのである。
「既に余命幾許もなかった。我等も最初気付かなかった」
「では馬騰殿は」
「都で病で亡くなられた」
 そうだったというのだ。
「大将軍の宴に出られた帰りにだ。馬から落ちられたのだ」
「貴殿は何故それを知っている」
「私はその時都の警護に当たっていた。曹操様も一緒だった」
「それでなのか」
「それでわかった。馬騰殿が病であったこともな」
「ではそれを」
「それを?」
 関羽は夏侯惇に対して言った。
「何故馬超に話さなかった」
「このことをか」
「そうだ、何故だ」
「言おうとした」
 夏侯惇もこう返した。
「あの天幕でもな」
「天幕でも?」
「馬騰殿が亡くなられた時も」
 その時もだという。
「このことを公にしようとした。しかしだ」
「しかし?」
「華琳様が止められたのだ」
 そうだったというのである。
「あの方がだ」
「曹操殿がか」
「そうだ。馬騰殿は病を隠しておられた」
「うむ」
「それは武人としてだ。何としても隠しておられたのだ」
「自分の娘にも知られないようにして」
「華琳様はそれを知られてだ」
 それからだという。夏侯惇はさらに話す。
「馬騰殿の御心を組まれ。あえて死因を公表しなかった」
「馬鹿な、それでは」
「普通に暗殺だと思われるな」
「うむ、確かに」
「嫌疑は自然に華琳様にかかる」
 夏侯惇はこうも話した。
「その時の警護の担当は私だったしな。まして華琳様はだ」
「曹操殿は」
「何進殿にとっては両腕の一つとして頭角を表わしておられる。朝廷において代々重臣を務めている純粋な武の名門馬家とはな」
「対立すると見られているか」
「何進殿の生まれは」
 今度は何進の話にもなった。
 
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