誘拐篇
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3 鬼兵隊
前書き
殺すはずだった男が、高杉であったことを知ったアンナは、とにかく逃げようと画策するも…!?
逆に、高杉に捕まった。
次に私が目を覚ましたのは、船の中らしきところ。
この独特な浮遊感から場所を、割り出した。
ここは…どこだ?
まさか、鬼兵隊の船の中!?
目を開けると、目の前に、高杉と、ピンク色の着物のへそ出しタンクトップを着た女が一緒に、
私をのぞき込んでいた。
_「あ、晋助さまァ、目を覚ましたようですッス。」
_「そうか。ならば、あとは任せた。」
そう言って、彼は部屋から出ていった。
ああ…私は結局、高杉に捕まったのか…。
_「『白夜叉』ねぇ…。同じ名前のやつが2人いるとは…。アンタ、
あいつと 兄弟なんッスか?」
_あいつ、って 誰?
首や、手、足も、動かない。どうやらまた、張り付けられたらしい。
まあ、いい。とりあえず、早くこの状態から解放されたい。
_「あ? なんだ、へそ出し女?」
_「誰がへそ出し女だァァァ! …まぁ、いい。
私は、鬼兵隊のメンバー、巷では『紅い弾丸』と噂される、来島また子ッスよ。
これからは、私が先輩なんで。私のいうこと、ちゃんと聞くッスよ。
分かりましたァ?」
素直に返事すんの、面倒くさい。
_「あー、分かったんで、早く解放してくんないですかね、へそ出し先輩ィ?」
_「…おいィィィィ! 話、聞いてたッスか?また子 って言ってんだろーがァァ!
まあ、いい。解放してやらないと、晋助様に ドヤされるッス。」
_この女は、個性が強いな。
女…いや、また子といったか…は、腰に巻いてあるポケットから鍵を取り出して、
私を縛り付けていた、器具のカギを外した。
_「これから、アンタを部屋まで案内するッス。
でもいいなぁ、アンタ。晋助様、直々に指名された部屋ッスよ。
私だって、指名されたい」
_「ま、頑張れ。意志あるところに道は開ける っていうしな。」
_「ところで、アンタ、名前は何っていうンスか?」
出ました、Ms.聞きたがり屋。
めんどくさいから、テキトーにかわそう。
_「巷では、白夜叉って言われている。」
_「はいはい、知ってます。本名は?って聞いてンスよ。」
_「さぁねぇ…。前は、アンナ って呼ばれていたが、何か。」
_「じゃあ、今日から私、アンタのこと、アンナって呼ぶッス。」
仕方ない、もう少し、付き合ってやろう。
_「…せめて、様 付けろ。笑」
_「付けねぇーよ! だってアンタ、一応私の後輩ですもん。
あ、着いた。あと、一応忠告しとくけど、この部屋、この船の中では、
一番、晋助様に近い部屋だから、逃げ出そうもんなら、すぐ捕まるッスよ。
気を付けた方がいいッスよ。」
_「…ご忠告、感謝する。」
_「あと、着替えも用意してあるんで、それに着替えたら、すぐ私の部屋に来るッス。」
仕方がなかったので、とりあえず、頷いた。
また子が私の部屋から出ていくと、改めて、今の自分の服装を、一瞥した。
着ていたのは、高杉の着ていた、紫色の布地に、オレンジ色をした蝶の模様のついた 着物だった。
いったい、あいつは、どんだけ同じ着物を持ってんだか…。
なんの趣味だ?
…でもなんか、いい匂いがする。どこか懐かしいような…
なんだろう、この香り。
そんなことを考えながら、着替えの入った風呂敷を開くと、なんか、派手な衣装が出てきた。
まず、白の布地に、金の紅葉柄の刺繡が施された、太ももまでの丈の着物と、青の帯。
そして、濃紺の網タイツに、短めの黒のブーツ。結構ヒールが高い。
あと、エメラルド色の、羽織だった。
早速、用意された服を着てみると自分でいうのもなんだが、
なんともまあ、きれいだった。
長い金色がかった銀髪を頭の上の方で結び、青いリボンを飾り付け、
化粧をすれば、完璧だった。
化粧を終えて、鏡の前でおかしくないか、チェックする。
チェックを終えて、部屋を出ようとすると、窓に続く障子の方から、
あいつの声が聞こえてきた。
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