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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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633部分:第四十九話 馬岱、真名を言うのことその四


第四十九話 馬岱、真名を言うのことその四

「けれど。だからこそ」
「そうね」
「そこに安らぎを感じますね」
 それもまた劉備なのであった。
「それが劉備さんのいいところね」
「確かに」
「そう思います」
 こうも話されるのが劉備であった。
「そういう人だから」
「きっと」
「果たされますね」
 また彼女達の話をするのだった。
「それは間違いないわね」
「そうね。まずは南蛮に言って」
「そこから」
「さて、南蛮までまだ少しあるのう」
 今度は厳顔が周囲を見回しながら話す。木から立ち上がってであった。
「もう少しじゃがな」
「そうなのね」
「そうじゃ。しかしちと難しい場所がある」
 厳顔はこう黄忠に話すのだった。
「谷があってのう」
「谷がなの」
「それが五つ」
 そうだというのである。
「あるのじゃが」
「確か益州南部の五つの谷って」
「そうよね」
 孔明と鳳統はそれであることを思い出した。それは。
「その全部に毒があって」
「渡ることが困難だって」
「そうなのじゃ。それが問題なのじゃ」
 実際にそうだと話す厳顔だった。
「谷に落ちればそれでじゃ」
「毒にやられてしまいます」
「ましてやそこのお水を飲めば」
 どうなるかということも。軍師二人は話す。
「あっという間に死んでしまいます」
「それも注意して下さい」
「ふむ、それはまた実に厄介だな」
 関羽もそれを聞いて述べる。
「その五つの谷を越えなければならないとはな」
「橋はないんですか?」
 劉備は厳顔にこのことを尋ねた。
「そういったものは」
「あるにはあるが」
 しかしといった口調であった。
「かなり古くなっておってのう」
「そうなんですか」
「危ないのじゃ」
 そうだというのである。
「渡るだけでも」
「しかも修繕の望みはないか」
 関羽が考える顔でまた述べた。
「そういうことだな」
「何度も言うが益州には牧がおらん」
 厳顔の顔がいささかきついものになった。
「だからじゃ。橋の修理も為されておらんのじゃ」
「困った話だ」
 それを利いて腕を組む関羽だった。
「何とかしなければならないというのに」
「けれど行かないといけないのだ」
 張飛が困った顔で話す。猫を思わせる顔になっている。
「お姉ちゃんの剣の為にも」
「わかっている。それはな」
「すいません」 
 劉備は二人の妹の言葉に暗い、申し訳のない顔になった。
「私のせいで」
「いや、義姉上の為なら」
「そんなことはいいのだ」
 これが二人の返答だった。
 
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