恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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632部分:第四十九話 馬岱、真名を言うのことその三
第四十九話 馬岱、真名を言うのことその三
「むしろ好きだな」
「その好きってのはどういう意味で好きなんだ?」
「色々な意味でだ」
ここでは思わせぶりな笑みを見せる趙雲だった。
「色々な、な」
「何か怪しいな」
「それは気のせいだ」
「そうは思えないけれどな」
馬超はこう言いながら首を傾げさせるのだった。
「まあとにかく。変な喧嘩はするなよ」
「その通りなのだ」
馬超と張飛が馬岱に注意する。
「戦う時は絶対に来るからな」
「無意味な喧嘩はしないに限るのだ」
「ちぇっ、鈴々ちゃんに喧嘩のことで言われるなんて」
無類の喧嘩好きである張飛にまで言われて不満を隠せない馬岱だった。
「何だっていうのよ、私って」
「鈴々が相手にするのは悪い奴とか大軍だけなのだ」
そうした相手だけだというのである。
「仲間や正しい人間とは喧嘩したりしないのだ」
「そうなの」
「そうなのだ。あと飯を奪った奴だけなのだ」
何気にこんなことも言うのであった。
「そういう奴は容赦しないのだ」
「最後は駄目ではないのか?」
趙雲がすぐに突っ込みを入れる。
「それは」
「そうなのだ?」
「そう思うがな」
こう話す趙雲だった。
「まあ私もメンマは別だが」
「星はそれにこだわり過ぎだろ」
「何を言う、メンマはだ」
馬超に対して熱く語りはじめる。
「まさに食の芸術だぞ」
「あたしもメンマは好きだけれどな」
それでもだと返す馬超だった。彼女達は食べ物の話になっていった。だが結局馬岱の魏延嫌いは変わらなかった。それは相手も同じであった。
「ふんっ」
「ふんっ」
顔を見合わせれば即座に背け合う。そんな関係であった。
「いけ好かない奴」
「腹の立つ奴だ」
馬岱も魏延も背中を向け合って言い合う。
「別について来なくてもいいのに」
「私と桃香様の邪魔をするのか」
「自分で言ってるし」
「ならば容赦はしないぞ」
「ううん、何かあの二人って」
劉備はそんな二人を見ながら呑気な調子で言うのだった。
「仲悪いのかしら」
「今気付いたの!?」
神楽もその鈍感さには驚愕であった。
「まさか」
「はい、何かそう思うんですけれど」
「あの、それはもう」
神楽は慌てた調子で劉備に話していく。
「何て言うか。一目瞭然というか」
「そうなんですか?」
「こ、この人って本当に」
「凄い天然ね」
ミナも呆然となっている。
「これまた壮絶な」
「ここまでの人はそうはいませんよ」
月も同じであった。
「私も。ここまでの人は」
「そうよね。見たことがないわね」
「私もよ」
神楽とミナもであった。
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