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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第五章 Over World
  答えを出すのはお前じゃないよ


唯子がここで目覚めて、一体どれだけの時間が過ぎたのか。
振り返ってみようとする唯子ではあるが、どうも頭に靄がかかってはっきりしない。


つい昨日目覚めた気がするし、もう一週間経ったような気もする。



「おねーちゃーん!あーそーぼー!!」

「あ、うんーー!!今行くよー」


いまや唯子はこの集落一帯の子供たちのアイドルとなっていた。

どうにもこの村にはこの世代の、若い人間がいないらしい。
そのことを神父に聞くと、どうやら遠くの都市部に出稼ぎに行ってしまって、村には家から離れられない年齢の大人と、働けない子供たちしかいないそうなのだ。

家から離れられない、と言っても老人ばかりではなく、母親などは残っているのだが。


そんな村だ。
一緒に遊んでくれる年上のお姉さんに、みんなが夢中になるのは当然のこと。



「おねーちゃん、いつも協会から遠く見てるけど、何を見てるの?」

「うん?そーねぇ・・・・お迎え・・・かも」

「お迎え・・・?」

「どっか行っちゃうの?」


教会でいろいろお話していると、そんな話題になった。
唯子の返答に、中には目を潤ませてしがみついてしまう子までいる。

そんな子の頭を撫でると、唯子はニッ、と笑って安心させてあげる。


「あー、大丈夫。お迎えって言っても、いつ来るかわかんないし。まあだから、来るかなー?って見てるだけよ」

「そっかー」

「でも教会でお迎えっていうとなんかヤバいな!!」

「こらー!!そんなこと言わないのー!!」


村の男子がからかうように言い、教会に住む女の子がしっかりと注意する。

そんな光景を見ながら、子供の相手は大変だ・・・と一息つく唯子。
そして、ふと考えて――――


「お迎えって・・・・誰が?」



そんな疑問を、口にした。


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森の木々が生い茂る。
綺麗な花が咲き、その中を子供たちと一緒に歩いていく。

草原で布を敷き、バスケットのお弁当を取り出してみんなで食べる。
今日はピクニックだ。


「あらあら、お姉ちゃんと一緒で楽しいわね。お姉さん、うちの子お願いしますね?」

「うん!!」

「あ、はい。わかりましたー」


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近くを流れる川に、今日は遊びに来ている。
石を投げて水切りをすると、男子が目を輝かせて挑戦する。

水着など持ってないので、借りたズボンとシャツだけで川に入る。
思いっ切り水をかけてきたので、ずぶ濡れだ。


「おねえちゃんみたいに、私もなれるかなぁ?」

「うーん・・・私は普通だよ?もっと凄い人いるし・・・」

「ホント!?」

「だから大丈夫。それにあなたはまだまだ成長するんだし!」

「うん!!」

「それには人参も食べないとねー」

「えーー!?」


日差しが強い。
チカチカして、目が痛いくらいだ。

でも――――もっとすごい人って・・・だれ?



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森の色が変わり、橙色や黄土色に染まる。
芋(ジャガイモ)をもらって、紙にくるんで焼いてみる。おいしい。

集まった子供達とか、大人とかで食べた。
今度もっと人と集めてみれば面白いかも。

「やっぱり焼き芋は良いねぇ~。種類違うけど」

「もう無いの?」

「無いねぇ。みんなで食べちゃったから」

「またやろーよ!!」

「うん。町のみんなとなら、もっと楽しいだろうね♪」


――――みんな・・・うん、町のみんな、だよね。
おかしくは、ない

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暖炉の前に集まって、マシュマロを焼いてココアを呑む。
時間も遅く、子どもたちは村に帰り、今は教会の子三人だけだ。

神父が部屋に入ってきて唯子に声を掛けるが、「しー」と人差し指を当て、膝の上の子を指さす。

ああ、わかりました、という笑顔を浮かべ、神父が毛布を取ってきた。


戻ってくると、唯子も一緒に寝てしまっていた。


「もう一枚、持ってこないとですね」



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あれから一体どれだけ経ったのかわからない。

一年間いたような気がするし、一瞬だったような気がする。
自分で経験したような気がするが、ライブフィルムで眺めていたような気もする。


そうしていた頃。


教会に客が現れた。


「神父様!!お助けください!!」



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見滝原市


その上空には分厚い雲が我が物顔で停滞し、雷を地上に降らせている。

と、その雲の向こう側に、一つの影が見えた。


薄っすらと聞こえてくる笑い声が、その存在を確かにさせる。



「あれか・・・・」

「デカい・・・・」

「準備はいいかしら?」


改めて敵を認識する翼刀と、その大きさに唖然とする映司。
そしてその二人に、ほむらが声をかけた。


今彼らがいるのは、街を一望できる高さのビルの屋上だ。
声を掛けられ、ほむらの方に寄って行く二人が、地面に広げられた地図に視線を落とす。



「いい?最終確認よ」


ほむらは町中に仕掛けた爆弾や兵器類の最終点検に行ってきたばかりだ。
全て問題なく作動する。


唯子を救出するにしても、ワルプルギスの夜を倒すにしても、とにかく相手の体力を削らなければ話にならない。
だが、相手はあの蒔風とショウを相手にして健在だった程の魔女だ。

ならば多少やりすぎでいいかもしれないんじゃ?というほむらの言葉に翼刀も納得し、まずはこれらの武器での攻撃をすることになったのだ。



「でも・・・勝てるのかな?」

「舜さんの話だと、ワルプルギスの夜は一人の魔法少女による魔女じゃなくて、そういう恨み辛みの積み重なった音量に近いって言ってたな」

「え・・・確かキュゥべえが魔法少女を作り出したのって紀元前からとか・・・・」

「はい。そう考えると、あの力も納得できる」

「でも、諦めることなんてできないわ。最後まで」



5


そう言って、各々が散る。
風が吹き荒れ、地図が空に向かって舞い上がった。


4


舞い上がった地図は気流に乗り、どんどん高度を上げていく。


3


そしてそれに雷が当たり、一瞬のうちに燃え上がる。


2


そして


1


その炎を吹き飛ばし、ワルプルギスの夜がその姿を現した――――!!!




0



「キャァハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!!!」

ギリッ・・・!!!

「いくわよ・・・・!!」

カチリッ


その瞬間、ほむらの魔法が発動する。
公園中に配置した無反動砲(バズーカ)類を一斉に発射し、それは飛び出していってある程度逝ったところで止まる。

そうして放った砲撃は、魔法の解除と共に波状攻撃として次々に命中して行った。
だがその爆音とは裏腹に、魔女の笑い声は途切れない。



橋に差し掛かるワルプルギス。

次の手番だ。
橋の上には翼刀が立っており、ヴァルクヴェインを握りしめて待ち構える。


それを無言で真っ直ぐに振り上げ、刃のみを射出していく翼刀。

その高さ、五十メートル。
翼刀のコントロールできるギリギリの長さまで刃を連結させて、その刃を不動拳で共振させながら、渾身の力で振り下ろした。


バガッ、ギィッッ!!!

「ぐっっ!?こいつッッ!!!」

真正面からの刃に激突し、ワルプルギスの額で火花が起きてせめぎ合う。

だがジリジリト押され、翼刀が踏ん張りながらも退げさせられていく。
それでも押し込もうとするものの、コンクリートに二本の平行線を抉り付けながら下がってしまう。


「―――――ぁぁあああああ!!舐めんなぁ!!!」

ゴゥッッ!!


しかし、新参とはいえ翼刀は「EARTH」内でも屈指の実力者だ。
剣にさらなる力を込め、さらに刃を発射してワルプルギスの顔面に直撃させていった。

さすがにそれは聞いたのか、押す力が多少ゆるむ。


その隙に翼刀はヴァルクヴェインを引き、斬る形から突きに構え、その胴体目掛けて一気に突き出していく。

「これで―――」

ドギャギャギャギャギャオォゥッッ!!!

「どぉダァッッ!!」

刃が次々と弾かれて砕けるが、構わない。
一直線に刃を射出し、一本の剣のように突き出していく翼刀。


しかし



バキィンッッ!

「な!?」


連なる刃が、一斉にすべて砕けた。
ワルプルギスに当たった物だけならわかるが、そこにつながっていく全ての刃が砕け散ったのだ。


その反動に仰け反りながら、翼刀が悪態をつくような苦い顔をする。

そのまま倒れるようにし、後ろに片手を付き、側転で着地。
その場から一気に跳び退き、次の一撃に場を開ける。


橋を挟むようにして、両側から誘導ミサイルを搭載した箱が浮上してきた。

その上に立つのはほむらだ。
手に持つスイッチを押し、左右から一斉にそれを発射させる。


まずは下部の顔面から命中したそれは、だんだんと上部へと上がっていき――――


《プットッティラ~ノ ヒッサーツ!!》

そのミサイルに乗って一気に上昇し、ワルプルギスの真上にオーズプトティラコンボが現れる。
所有するセルメダル五百枚をすべて投入し、紫の波動が魔女の全身を包み込んだ。


ギュッゴォッ、ドンッッ!!!


「うおッっ!?」

「くっ・・・・」

「セイヤァァァアアアッッッ!!」


その一撃に橋は途切れ、水面は荒れた。
ほむらの用意したミサイルを打ち切った箱は流され、川の水位が一瞬だけ二メートルは減る。

河川沿いに水が押し寄せ、水害とも取れる量が流れ込んだ。

更に爆散した川の水が墜ちてきて、雨のように降り注ぐ。




ザッ

「これで・・・どうだ!?」

爆炎で見えないが、確かな手ごたえを感じたオーズが、プテラヘッドの翼で飛行しながら様子を見る。
ほむらも河川沿いの柵の上に立ち、翼刀はアーチ状の橋の、途切れた先端で見上げている。





ゴォッ――――!!

「え、グァッ!?」

「映司さん!!ぶあっっ!!!」

「な!?キャぁッッ!!」

しかし、直後に三人を衝撃が襲う。

空中のオーズに、ビルが一つ激突してきたのだ。
翼刀には破壊された橋の鉄骨が薙ぎ払われ、ほむらの元には砕けたビルの石飛礫が降り注ぐ。


ザバァ!!と、水中からシャウタコンボに変わったオーズが河川に這い上がり、吹き飛ばされてビルの内部にまで叩きこまれた翼刀がヨロリと立ち上がる。
ほむらも魔法を使って回避したようだが、最初の数発は当たったらしく、腕を抑えて立ち上がる。



ワルプルギスの夜は健在だった。

爆炎の晴れたその先には、まるで嘲笑うような甲高い笑い声をあげる巨大な魔女の姿がそこにある。


しかも、その通過した後の街は世界の終わりと言わんばかりの崩壊をしていた。


ビルは浮かび、雷が踊る。
空中に地面が浮き、島のようになっていた。

それもある物はクルクルと回っていたり、ぶつかり合って破壊したり――――


世界の崩壊、とでもタイトルを付けるような、そんな光景がこの先にあった。


「何だこれ・・・・こんなのどうやって・・・・うわ!?」

その光景に唖然とする翼刀だが、直後にそのビルが揺れた。
自分が飛び込んできた穴から脱出すると、そのビルまでもが浮上し始めており、その後同じように浮上したビルと激突して粉々になって落ちる。


跳び出し、ビルの屋上に着地する翼刀だが、そこにビルが墜ちてきて回避、再び跳ぶ。
だがそれを狙ったかのように、他のビルが翼刀に向かって飛来してきた。

「こいつっ!!」

「セイヤァ!!」


だがそのビルはオーズ(タトバコンボ)のメダジャリバーで真っ二つに切り崩されて翼刀の両脇を通過していく。

オーズに抱えられ、翼刀が移動して行く。


着地したのは、もとは何処かの広場だったのか、円形の足場だ。
枯れた木が一本生えており、RPGのゲームだったら最後の戦いの前のセーブポイントにでもなっているかのような場所になっている。

そこにはほむらもおり、一旦の集合場所となっていた。


「ほむらちゃん、他の武装は!?」

「さっき大穴に落として時限爆弾500発ぶち込んでやったわ」

「・・・・でもダメなのか・・・?」

コクン、と頷くほむら。
その目には涙が溜まり始めているが、翼刀とオーズがその肩を叩いて大丈夫だと言葉を掛ける。


「結構魔力使ったろ?ちょっとそこで見てな」

「大丈夫。絶対に・・・あいつは倒すから!!」

「あ・・・・待っ」


て、と言い終わらないうちに、二人は飛び出していってしまう。
タトバキックと、出しきれる全ての刃の射出でワルプルギスへと攻撃を仕掛ける二人だが、相手の力はもはや歯止めが効かず


ドウッ!!

「ガッ!!!」

「ぐブッ!!」

ドドゴシャァッッ!!


来たままを、そのままの軌道で弾き返されてしまった。
ほむらはその二人を受け止めようとして、そのまま一緒に吹き飛ばされてしまう。


三人が落ちた先は、一面が水浸しの大地だ。
所々に瓦礫が転がっており、一見すると神秘的な場所にも見える。


そして、ほむらには見覚えのある場所だった。
幾度も幾度も、彼女がこれまで絶望に打ちひしがれ、敗北してきたあの場所だ。


「あ・・・あぁ・・・・やっぱり・・・無理なの・・・・?」

「そんなこと・・・・・あるもんか!!」

「あぁ・・・・絶対に・・・勝つ・・・・」


ほむらの言葉を、全身全霊の言葉で否定する二人。
だがもはや膝で立つことも困難なほど、二人は疲弊していた。

と、彼等の横の瓦礫の上に、白い獣が現れた。



「やあ。調子はどうだい?」

キュゥべえである。
いつもと変わらない口調で、シレッと聞いてくる彼だが、誰一人として目線を合わせない。

「まったく。あれに勝とうと思えること自体が不思議だよ。どうしてそんなに立ち向かえるんだい?」

「護りたいものがあるからだ!!」

「そこまでして守りたいなら、まどかに頼めばいいじゃないか。彼女なら一撃でワルプルギスの夜を滅ぼせるというのに」

「な・・・に・・・?」


キュゥべえからの、またもや初めて聞かされる話。
まどかの、魔法少女の素質。


「あれを・・・・一撃で!?」

「そうさ。彼女ほどの素質を持った子はいまだかつていなかったよ。これもすべて、暁美ほむら。君のおかげだ」

「わたし・・・?」


キュゥべえの話では、魔法少女の素質とはその身に背負った因果による物らしい。

そしてまどかは、一般の少女にしてはありえないほどの因果を背負っている。
それは一国の王女や、歴史の転換点にいるような英雄と同様の。

否、もはやそれ以上の因果であると、キュゥべえは語る。


「暁美ほむら。君は時間操作の魔法を使う。つまり、君は何度もやり直したのだろう?鹿目まどかを救うという目的で」

ほむらの魔法。
時間操作魔法。

そう、彼女は今まで幾度も、この時間を経験しているのだ。


最初の時間軸で、彼女はまどかがワルプルギスとの戦いで死んでしまうのを見てしまったのだ。
そこで願ったのは「まどかとの出会いをやり直したい」だった。


だが何度繰り返しても、ワルプルギスの夜が倒せない。
大切な親友――――まどかを救うことができないのだ。

それどころか、回数を経るごとにさらに酷くなっていく様な気すらする。



そして、その幾つもの時間軸で確かに見たことがある。

「魔法少女になったまどかは、確かに一撃であれを倒したわ・・・でも、それと同時に魔力を使い果たし、魔女へと変わってしまう――――!!」

「そうだね。あれを一撃となると、それはもうとてつもない力さ。そしてそれは、本当に君のおかげだ。君が繰り返したおかげでね」

「私が・・・・繰り返したから!?」


驚愕するほむら。
だが、翼刀にはそれらの説明でなんとなくわかっていた。


「ほむらちゃんの繰り返しの基点がまどかちゃん・・・つまり、幾つもの時間軸の因果が、まどかちゃんに偏っている・・・?」

「その通りさ。だから暁美ほむら。君が諦めずにここまで頑張ったおかげで、彼女は最高の魔法少女たりうる存在になったのさ!」

「そん・・・・な・・・・」


自分のせいで、まどかが巻き込まれていく。
このまま続けても、まどかはさらに因果に巻き込まれていく。

そんなもの、どうやって救えと言うのだ。

まどかとの約束が、脳内で反芻される。


《キュゥべえに騙される前のバカな私を・・・助けてあげて・・・・》


「ぅ・・・ゥゥウウウうううぅうゥゥゥゥウうううッッ!!!」

倒れ込み、涙し、咽び泣くほむら。
そして手の甲のソウルジェムが、じんわりと黒に染まっていく。


「テメェ・・・・なんで今そんなことを言う!!」

「昨日も隠し事はやめようと言ったじゃないか。だからさ」

「それでほむらちゃんを魔女にするつもりか!!!」

「そうして絶望するかは彼女次第さ。それでもがんばろうと希望を振り絞るのか、絶望するのかは彼女が決めることだよ」

「この外道・・・!!」

「そんなことより、いいのかい?ワルプルギスの夜が、街を進んでいくよ?」


キュゥべえの言葉に、二人の会話を聞いていた映司がハッとして振り返る。

ワルプルギスはなおも進行し、このままでは見滝原市を蹂躙しきり、さらに市外へと出てしまう。


「ほら、早くしないと。君たちはあれを止めるんだろう?」


明らかな挑発。
本人にその意思はないのかもしれないが、こいつはわかって言っている。

しかも、感情の内容な声で淡々と言ってくるのがさらに頭にくる。


「う・・・グッ・・・・」

「ほむらちゃん!!」

キュゥべえを睨み付ける翼刀だが、胸を抑えるほむらに寄りヴァルクヴェインを当てる。

三人の体力や怪我は治り、回復するものの、ソウルジェムの絶望から来る濁りは完全に消えきらない。


「あれを倒すなら急いだ方がいいよ。まあ、それでまどかが魔法少女になってくれるなら僕としては喜ばしいことだけど」


翼刀がキュゥべえを再び睨みつける。

そして直後にほむらに目をやり、ワルプルギスの方にも向けた。

どうすればいいのか。
何が正解なのか。


翼刀には答えが出てこない



そこに



「答えを出すのはお前じゃないよ、翼刀。それに、ワルプルギスのことなら心配すんな」



そんな声がした。


直後


ズズゥンッッ・・・・・オォッ!!!

遠くの街を進むワルプルギスの身体が激震し、ここまで衝撃が風となって吹き荒れてきた。
空を円形の衝撃が走り、ワルプルギスの夜が止まる。

それどころか、軽く後退する程ですらある。


「な・・・・」

声が出ないキュゥべえ。

振り向こうとすると、その頭部が蹴り飛ばされて、その小さな体が転がった。


「あ・・・・」


その人物を見て、翼刀が声を漏らす。

なんということだろうか。
明らかに絶望しかないこの光景に、彼は銀白の翼で舞い降りる。


まさしくその姿は、司るそれを体現するかのように、一切の不安を払いのけ、絶望を打ちのめす


「よう。遅くなってすまないな。よく頑張った」

「しゅ・・・・」

「だけど安心しろ。もう大丈夫だ。なんたって・・・・」

「舜さん!!!」



「世界最強が来たからな!!!」


男の名は、蒔風舜。

幾度も幾度も絶望に出会い。
幾度も幾度もそれと戦い。

そのたびに、最後には希望を手にする男の姿がそこにある。



そして男は胸を張り、一切の疑いもなく宣言する。

それは、未来への宣言。
彼が口にする、願いに対する不文律。


「救えるものは、根こそぎ救う!!そうじゃない奴は残念だけどな。さあ――――」

――――救えないバカは、どこにいる?




銀白、見滝原に現れる。



長き絶望は、ここで終わる。




to be continued

 
 

 
後書き


蒔・風・降・臨!!!

遠くでワルプルギスを足止めしているのは当然ショウです。


翼刀
「足止めってレベルじゃないですよね!?押し返してますよね!?」

知らん。ホントにアイツどうなってんだ?


ショウ
「書いてるのはあんただ」



ほむらの説明、あれで大丈夫でしょうか?
まあ本格的には次回でもっと説明しますが。


そして、唯子の謎空間。
一体何が起きているのか。


蒔風、キュゥべえ、翼刀、唯子、ワルプルギス、ほむら、まどか



それぞれの思惑はいかに!?



そして



濡れて透けた唯子が見て見たいッッ!!!!

翼刀
「コラァッッ!!!」




蒔風
「次回。各々の戦い」

ほむら
「私が紡ぐ、物語」


ではまた次回
 
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