転生とらぶる
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ペルソナ3
1786話
表通りにあるという事であまり期待していなかったのだが、店の中は俺が予想していた通りに、どこか怪しげな雰囲気を漂わせていた。
俺には何に使うのか、どれくらいの価値があるのかも分からないような代物が幾つも並べられているのだが、店主の姿はない。
「悪い、誰かいないか? ちょっと聞きたい事があって来たんだけど」
店の奥に聞こえるようにそう告げると、数秒の沈黙の後に店の奥から声が聞こえてくる。
「はいよ、誰だい?」
そう言いながら姿を現したのは、年齢は……ちょっと見た目からは分からないが、それでも20代……いや、30代か? もしかしたら40代? 年齢不詳という言葉が相応しい女だった。
そんな姿であるにも関わらず、こちらを見る目にはしっかりとした知性が宿っている。
「おや、ここは坊やが来るような店じゃないんだけどね。一体何の用だい?」
「坊や……いやまぁ、しょうがないけど」
今の俺は10代半ばの姿だ。
どこからどう見ても、今の俺を見て大人の男だと認識するというのは難しいだろう。
そう考え、言葉で何かを言うよりも現物を見せた方が早いだろうと、持っていたコンビニの袋の中から、塔で入手した宝石っぽい物を取り出す。
滑らかな外見をしており、その中央にはしっかりとした穴が空いている。
「これは?」
「ちょっとした伝手で入手したんだけど、これが何なのか分からないんだ。見た感じ美術品の類にも見えるから、この店でなら何か分かるんじゃないかと思って持ってきたんだが」
「……なるほどね。ちょっと手にとってみていいかい?」
「ああ、それは構わない」
そう言えばこの店主、今の俺の外見を見ても特に何も言わないな。
まぁ、古美術店を営んでいるだけに、その辺には特に興味はないのかもしれないが。
……古美術店、関係ないか?
ともあれ、店主は宝石っぽい物を手にし……それを調べていたのだが、数秒後には一瞬だったが表情を変える。
古美術商が表情を変えるだけの代物なのか? と一瞬思ったが、店主の顔に浮かんだ表情は、驚愕という意味では俺の予想通りだったが、そこに宿る驚愕の種類が違う。
思いもしなかったお宝を見た……というものではなく、何故これがこのような場所に? といった感じの驚愕。
「これは……一体、どこで手に入れたのか、聞いてもいいかい?」
「ちょっとした伝手でだな」
「伝手? ……つまり、坊やが直接入手したものではなく、誰か他の相手から貰ったと? そういう事かい?」
じっと、こっちの言葉の真意を確かめるような視線を向けてくる店主。
一瞬どう答えるべきか迷ったが、かといって、まさかここであの現象云々の話をする訳にもいかないし。
与太話と思ってくれればまだしも、最悪の場合は麻薬の類をやっていると判断されて警察を呼ばれる可能性すらある。
特に今の俺は身分証もない状況なのだから、警察に関わる訳にはいかない。
「そうなる。知り合いに色々と集めている奴がいてな。そっちから回して貰ったんだ」
「なら、そっちの知り合いに聞けば良かったんじゃないかい?」
「その知り合いもこれが何なのかまでは分からなかったんだよ」
「……何も知らないのに、これを手に入れたってのかい?」
どこかこっちを疑うような視線を向けてくる女。
今の説明にはちょっと無理があったか?
だが、その辺りの事情を詳細に説明する訳にはいかない以上、こちらとしてもどうしようもない。
そのまま十秒程、俺の方をじっと見つめていた女だったが、やがて小さく溜息を吐いてから口を開く。
「まぁ、いい。坊やにはちょっと分かりにくいかもしれないけど、これは宝石の一種で……正確には玉輪と呼ぶべき物だろうね。……もっとも、普通よりも随分と質がいいように見えるし、何より不思議な力すら感じる。これは……」
「これは?」
「ああ、いや。何でもないよ」
何故か途中で言葉を濁す店主。
俺に分からない何かを察してはいるみたいだが、それでもその何かを口に出す様子がないのは……俺に言っても信じられないからか?
……いや、まさかな。この店主があの現象について知っているとも思えない。
目の前の店主が、持っていた宝石っぽいのを俺に返してくる。
「これは、玉輪と呼ばれている物だろうね」
「玉輪?」
「ああ。詳しい説明は省くが、こういう風に丸くて中央に穴が空いている石や宝石の総称だよ」
「……なるほど」
どうやら、やっぱりこれが宝石の類だったというのは間違いのない事実らしい。
もっとも、それが分かったからどうだという事ではないのだが。
それでも、スライムもどきに投擲した時にはダメージではなく、補助魔法、もしくは回復魔法が発動したのを考えると、恐らく……本当に恐らくだが、この宝石もそういう類の魔法が入っていると考えて間違いない。
「そうか、玉輪か」
「まぁ、これはどちらかと言えば宝玉輪と呼ぶ方が相応しいだろうけどね」
「……分かった。なら、これからはそう呼ばせて貰うよ」
「買い取るかい? それはかなりの品質だし、相応の値段を出すよ?」
そう尋ねてきた店主の声は、出来ればこれを自分の手元に置きたいという意思があった。
まぁ、こうして見る限りかなりの値打ち物のようだし、古美術商としては是非手に入れておきたいのだろう。
だが、これには何らかの魔法が込められている。
それも、小ボスのいた階層に唯一あった宝箱だと考えれば、現段階では希少な代物なのは間違いないだろう。
……パターンだと、ゲームとかアニメとかで先に進めば普通に店で売られるようになっているタイプのような気もするが。
ともあれ、現在は希少な存在なだけに、出来るだけこっちで確保しておきたい。
中身にどんな魔法なのかを調べるには、使ってみるか……それとも一か八かでやってみるしかないけどな。
「いや、止めておく。結構希少な物なら、出来れば持っておきたい。この先、どんな事で役に立つのか分からないからな」
「……役に立つ?」
何故か俺の言葉に反応した店主に疑問を感じたが、取りあえず今は気にする必要はないだろうと判断してその辺りを責めるような真似はしない。
「じゃあ、取りあえずこの辺で失礼するよ。色々と助かった」
「ちょっと待った」
店を出ようとした俺に対し、店主は不意にそう声を掛けてくる。
特に害意らしいものもなかったし、特に気にせず言葉を返す。
「どうしたんだ?」
「……坊やとは、色々と情報を共有したい。よければ、名前と携帯の番号を教えてくれないか?」
一瞬、ここで名前や携帯の番号を交換したりすれば、ゆかりの思い通り――掲示板の話題的に――になるような気がしないでもなかったのだが、この店主は何だか色々と役に立ちそうな気もする。
特に、今回の玉輪……いや、宝玉輪に関しては、店主の知識がなければ、色々と扱うのは難しかった筈だ。
そう考えれば、やっぱりこの店主との繋がりは持っておいた方がいいだろう。
「分かった。俺はアクセル・アルマーだ。よろしく頼む」
「……へぇ、外見から日本人じゃないと思ってたけど、やっぱり外国人だったのかい。その割には日本語は上手いね」
「そうか? まぁ、そう言って貰えると、こっちも嬉しいよ。それでそっちの名前は?」
「私は名乗る程の者じゃないさ。眞宵堂の店主とでも呼んでおくれ」
名前を名乗らず、眞宵堂の店主という役職名? で呼んで欲しいという相手の言葉に、どうするか迷うも、すぐに頷く。
別に俺としては、この店主の知識を使ってきちんと塔の探索に役立つのであれば、それで文句はないのだから。
それに、ここで無理に名前を聞き出そうとするのは、話の主導権を向こうに与えるようなものだろう。
俺が女としての店主に興味を持っているように思われても……いや、それはないか。
今の俺は10代半ば。それに比べると、店主は年齢不詳……それでも、30代、40代といった年齢である可能性は十分にある。
自分よりも倍の年齢の相手をそんな風に思うかと言われれば……まぁ、皆無ということはないかもしれないが、それでもあまりないだろう。
「分かった。じゃあ、店主。これからも色々と持ち込むかもしれないが、相談にのって欲しい」
「……一応ここは店なのだし、出来れば持ってきた物は幾らか売って欲しいけどね」
「場合によるな」
塔の中にある宝箱が、具体的にどのくらいあるのかは分からない。
ただ、毎日のように塔の中身が変わるという事は、宝箱も復活している……という可能性が高い。
その辺、一度調べてみた方がいいのかもしれないな。
ともあれ、こっちとしては宝箱から幾らでも入手出来るのであれば、魔法の込められた宝石とかそういうのも売ってもいいと思っている。
「売って欲しいなら、こっちの信用を得るような真似をしてくれ。そうすれば、こっちでも売ってもいいと思うかもしれないからな」
「……そうさせてもらうよ」
俺の言葉に店主は取りあえずといった様子で頷きを返す
そうして、店主と携帯の番号を交換すると、そのまま店を出る。
「……さて、これから何をするべきかね」
今日やるべき事は、宝玉輪について調べる事だけだ。
それは既に調べ終わり……時間的にはまだ昼になったばかり。
つまり、午後一杯は暇になった訳だ。
「ん? アルマーか?」
これから何をするか……そう考えていると、不意に後ろから声を掛けられる。
聞き覚えのある声に振り向くと、そこにいたのは予想通りに荒垣だった。
「荒垣か。どうしたんだ、こんな時間に?」
「いや、それは俺がお前に聞きたいんだがな。普通ながら学校に……いや、アルマーに聞くべき話題じゃなかったな」
「そうだな」
俺が色々と訳ありだというのは、ゆかりとは違う意味で荒垣も理解している。
でなければ、あんなアパートを借りる為に力になって貰ったりとかいった事は、しなくてもいいし。
そのまま、特に何かを言うでもなく俺と荒垣は並んで歩き始める。
「なぁ、腹減ってないか?」
そんな風に尋ねてきたのは、荒垣。
昼時だし、そんな風に尋ねてくるのも理由は分からないでもない。
眞宵堂に行く前に喫茶店で軽く食べたが……だからといって、これ以上何も食べられない訳ではない。
そもそも、俺の場合は食べた先から体内で完全に分解されて魔力となって吸収されているので、腹一杯になるということは実質的になかった。
「そうだな、昼食はまだだし」
これは、決して嘘という訳ではない。
先程喫茶店で食べたのは、あくまでも遅めの朝食……もしくは10時のおやつだ。
ミックスサンド3人前と多少量が多かったかもしれないが、それでも昼前だったんだから、昼食という訳ではない。
「そうか。なら、一緒に食いに行くか?」
「奢りか?」
「……あんな宝石を簡単に渡すような奴に、何で俺が奢らなきゃいけねえんだよ。割り勘だ、割り勘」
そう言えば荒垣の前で宝石を見せた事があったか。
まぁ、別に金に困ってる訳じゃないし、割り勘でも俺は別に構わないけど。
「分かった、それでいい。……それで、場所はどこにする?」
「巌戸台駅まで戻るのもなんだしな。……この辺りにも幾つか美味い店はあるから、それを紹介してやるよ」
そう言われれば、美味い物好きな俺が拒否をする筈もなく、大人しく荒垣に案内されて道を進む。
そうして到着したのは、路地裏……って程でもないが、表通りとは言いがたい場所にある、お好み焼き屋だった。
「へぇ、この辺りにあるにしてはちょっと珍しいな」
「そうか?」
「そうだろ? この辺りはいわゆる、若者向けの街だろ?」
「……お前、お好み焼き好きの人に喧嘩を売るような事を言うんじゃねえよ」
店舗を見ながら呟く荒垣。
今のは聞く人によっては喧嘩を売ってる……そんな風に思われる内容だったらしい。
「悪いな、別にそんなつもりはなかったんだが。ともあれ、中に入るか」
何故か俺のそんな言葉に溜息を吐いた荒垣は、店の扉を開く。
「らっしゃい」
すぐに聞こえてくる声。
丁度昼食時だからか、店の中にはそれなりに人の姿も多い。
昼食にお好み焼きってのは、ちょっと珍しいような……いや、そうでもないのか?
ともあれ、俺と荒垣は店員の案内に従って席に通される。
「俺は……豚玉を。アルマーはどうする?」
「そうだな、俺はこの肉盛りMAXってのを」
メニューの中でもかなりの値段のそれを選ぶと、何故か荒垣から呆れの視線を向けられる。
メニューによると、豚肉、牛肉、鶏肉、羊、馬といったように何種類もの肉を楽しめるお好み焼きらしい。
……値段も相応のものだったが、メニューに載っている写真を見る限りでは、かなり美味そうなのは間違いなかった。
結局それ以上は荒垣も何も言わず、俺はしっかりと肉盛りMAXを頼むのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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