恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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601部分:第四十六話 馬岱、乳を羨むのことその十五
第四十六話 馬岱、乳を羨むのことその十五
「わらわも小さいぞ」
「そうですね。胸は小さく大志は少しだけ大きく」
「大志は一番大きくなのじゃ」
袁術も言う。
「袁家の棟梁として三公の一人になるのじゃ」
「そして四代から五代に」
「姉様には負けぬのじゃ」
ここでも袁紹を意識していた。
「しかし。胸が小さいとな」
「はい、とても」
「ふうむ。胸というのは難儀なものじゃな」
袁術はここでも己の胸を見る。まな板そのもののその胸をだ。
「これ程人によって差があるものもないぞ」
「ですよね」
張勲は何気に己のその豊かな胸を揺らしている。にこりとしながら。
「それは」
「七乃はあるのう」
「そうですか?私はまだ」
「姉様もそうじゃし孫策の奴もじゃ」
何故かここで孫策の名前も忌々しげに出すのであった。
「あの胸は気に入らんのじゃ」
「では孫尚香さんは?」
「あれはよいのじゃ」
彼女については寛大な顔で語る。
「わらわと同じだからじゃ」
「美羽様らしいお言葉で何よりです」
「もっと褒めてたも」
ここでは得意げな顔で言う袁術であった。
「わらわは満足じゃ」
「左様ですか」
「そうじゃ。胸が何だというのじゃ」
袁術はさらに言う。
「違うか」
「小さくともですね」
「そうじゃ。大きい胸が何だというのじゃ」
また言うのであった。
「御主に言ってもわからんじゃろうがのう」
「はい、それはですね」
にこりと笑うのはそのままにして話す張勲だった。
「申し訳ありませんが」
「その点だけは曹操に同意じゃ」
「そういえば曹操さんも」
「左右のあの二人は論外じゃ」
彼女達はというのであった。
「全く。胸ばかり大きい奴等じゃ」
「けれど最近曹操さんの陣営でも」
「胸が小さいのが増えておるか」
「はい、かなり」
「ならばよいのじゃがな」
「そういうことですね。それでは」
ここまで話してだった。そうして。
袁術はまた言うのであった。
「ではその者に会おうぞ」
「はい、それでは」
「楽しみじゃ。その後の蜂蜜水ものう」
それを楽しみにしながらだった。袁術は向かうのだった。彼女も彼女で何かと悩みがあるのだった。完全な能天気ではなかった。
第四十六話 完
2010・11・21
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