オズのジュリア=ジャム
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第三幕その九
「本当にね」
「じゃあ君が探していた果物は」
「ライチだったみたいだね」
「そうなんだね」
「けれど他の果物もね」
ライチ以外もというのです。
「美味しいよ」
「うん、柿とかもそうだよね」
「これはいいね」
「それじゃあこれからは」
「うん、どの果物も食べるよ」
「そうするんだね」
「特にライチをね」
ライチの皮を前歯で破ってから中身を食べつつです、ムササビは神宝に答えました。
「そうするよ、そしてね」
「そして?」
「今日は寝るよ」
「その果物に出会えたからだね」
「自分の巣に戻ってね」
「それじゃあ今日からは」
「もうこうした時間には起きないよ」
そうするというのです。
「本当は僕達ムササビはもう寝ている時間だしね」
「夜行性だからだね」
「朝更かしは止めるよ」
夜更かしではなくこちらになるのです、夜行性ですから。
「ぐっすりと寝る様にするよ」
「睡眠不足はよくないから」
ジュリアもそこは言うのでした。
「だからね」
「実は最近寝不足だったんだ」
美味しい果物を寝るべき時間に探していてです。
「けれどもうね」
「それもよね」
「終わるから」
「それじゃあ」
「美味しい果物を一杯食べて」
勿論まずはライチです。
「そして毎日気持ちよく寝るよ」
「そうしてね」
「うん、そうするよ」
ムササビはジュリアに笑顔で答えました、そしてでした。
身体を広げて上に大きくジャンプをしてそのうえでお空に上がってです、皆に手を振って自分の巣の方に飛んで行きました。皆も手を振り返しました。
その後でふとです、神宝は言いました。
「ムササビは木の上から飛ぶけれど」
「貴方達の世界ではそうなのね」
「この世界ではああしても飛べるんですね」
「そうよ」
「それは便利ですね」
笑顔で頷いてです、神宝は応えました。
「ムササビさん達にとって」
「そうよね」
「それじゃあ忍者の人も」
「日本の?」
「忍者もああして空を飛べるんです」
それが出来るというのです。
「風呂敷を両手に持って両足に縛ってバラシュートみたいにして」
「飛べるのね」
「ムササビの術っていいまして」
「そうそう、ドラマとかでそうするんだよね」
ジョージは祖国アメリカのドラマで観た忍者を思い出しました。
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