詩集「棘」
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罅割れたグラスから洩れる水
月明かり探して家を出た
雲を纏った空は沈み
梢を揺らす幽かな風は
妙に大地を滲ませた
何を追って生きるの…?
込み上げた感傷は闇を呼ぶ
ただそれだけの日々
空っぽの自分だけがいた…
罅割れたグラスから洩れる水
満たされる時がないように
自分の居場所が見付からない
叫んだ声はどこへともなく
夜に堕ちて朝に消え…
想いに引き摺られ…ただ歩く
知る人なんてない街並み
コンクリートの隙間を縫って
羽撃く鳥に嫉妬する…
無関心を装う…
本当は君の姿探して…
疾うに気付いているのに
僕はただのガラクタだって…
罅割れたグラスから洩れる水
どれだけ注いでも切りがなく
恋しい想いは止まらない…
不意に響いたクラクションで
現へ戻り悲歎した…
僕は今…どこを歩いてる?
見知らぬ景色に目が眩む…
君がいたあの風景は
もう遠く…夕に霞んで…
罅割れたグラスから洩れる水
いつかは壊れて忘れられ…
きっと…人が人であるように…
罅割れたグラスから洩れる水
満たされる時がないように
自分の居場所が見付からない
叫んだ声はどこへともなく
夜に堕ちて朝に消え…
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