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悪魔の国

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第八章

「これが」
「他にもいい場所がありますし」
「食べるものもお酒も」
「そうです、全く違いますので」
「ではそちらも」
「楽しまれて下さい」
「それでは」
 こう話してだ、実際にだった。
 ジュゼッペ達はロレンツォ達に案内されてアレクサンドリアでの食事を楽しみ酒も飲んだ、そして男の愉しみの店にも行って。
 とかく様々な場所も見て回ってだ、ジュゼッペはアレクサンドリアからジェノヴァに戻る時に親方と話した。
「よかったですね」
「そうだな」
 親方も言うのだった。
「アレクサンドリアは」
「そうですね、噂では酷い場所って聞いてましたが」
「それがだな」
「むしろ欧州よりよかったですね」
「ずっとな」
「異教徒だったが」
 それはその通りだ、異教徒は異教徒だ。
「それでも」
「礼儀を弁えていてな」
「俺達にも普通に接していて」
「商売も出来ていた」
「ロレンツォさんも満足していましたね」
「いい商売が出来たとな」
「何ていいますか」
 ここでだ、ジュゼッペは結論を出した。その結論はというと。
「異教徒達の方が立派かも知れないですね」
「俺達よりもな」
「はい、異教徒と見れば殺しますからね」
「俺達の場合はな」
「俺達はユダヤ人には寛容でも」
「欧州の他の地域はな」
 彼等から見て田舎の場所はだ。
「ユダヤ人でもジプシーでも殺すからな」
「それも惨たらしく」
「その連中と比べたらな」
「はい、異教徒達の方がですよ」
「ずっとまともだな」
「飯も酒も美味しくて街も奇麗で」
 そうしたことについてもだ、ジュゼッペは話した。
「ずっとよかったですね」
「いいものも売っていてな」
「噂は噂ですね」
 ジュゼッペはこの結論も出した。
「本当に」
「そうだな、それじゃあな」
「はい、ジェノヴァに帰りますか」
「今からな」
「そういえば船もですね」
 自分達が今乗っているそちらのこともだ、ジュゼッペは話した。
「異教徒の船の方が立派でしたね」
「そうだったな」
「何かいいものはあっちにある感じですね」
「全部な、しかしな」
「はい、ジェノヴァに帰りましょう」
「そうするか」
 船長は船をそちらに向かわせた、ジュゼッペはその時アレクサンドリアの方を見てまた来たいと思った。そして同船していたロレンツォにその時はまた宜しくと言われた、彼はそのロレンツォに笑顔で頷いて応えた。


悪魔の国   完


                         2017・2・14 
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