恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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561部分:第四十四話 怪物達、北にも出るのことその八
第四十四話 怪物達、北にも出るのことその八
一応天草と共に料理店に入る。そうしてだった。
ふとだ。怪物達はこんなことを言うのだった。
「諦めてないわよね」
「勿論よ」
卑弥呼はこう貂蝉に返す。
「乙女に諦めるという言葉はないわよ」
「その通りね。それじゃあ」
「はい、それじゃあね」
「ここは姿を消して」
「それで行きましょう」
こうしてだった。彼等はカメレオンの如く姿を消してだった。それで何処かへと向かうのだった。そんな術も使えるのである。
天草は二人が消えたがさして驚かずだ。こう言って席に着くのだった。
「用足しか」
彼も流石に知らなかった。彼等が異常な術を幾つも使えるということをだ。そうしてそのまま落ち着いて料理を楽しむのであった。
華陀は袁紹謁見を受けていた。袁紹の左右には今は田豊と沮授が控えている。主の座の階段の下のところには顔良と文醜がいる。
その四人を傍に置いている袁紹がだ。華陀に対して言うのだった。
「灰人さんの病を治してくれたそうですわね」
「ああ、それか」
「話は聞きましたわ」
こう返す袁紹だった。
「それで貴方は」
「華陀だ」
自分から名乗った彼だった。
「宜しくな」
「名前は聞いてますわ」
袁紹は彼の名乗りにこう返す。
「天下の名医だとか」
「名医とかそういうのはどうでもいい」
彼は名声にはこだわらなかった。
「ただな」
「ただ?何ですの?」
「俺がここに来た理由がだ」
「私に会いに来たそうですわね」
「その通りだ」
それはその通りだというのだった。
「あんたに用があってな」
「私は特に病気は持っていませんわよ」
袁紹はそれは断った。
「家臣達も。灰人さん以外には」
「そうですね。とりあえず問題は」
「麗羽様のこの気まぐれな御気性だけで」
ここでこんなことを言う田豊と沮授だった。
「まあそれは不治の病ですから」
「どうしようもありませんが」
「聞こえてますわよ」
その二人にむっとした顔で返す袁紹だった。
「しっかりと」
「あっ、これはすいません」
「失言でした」
「全く。わざとですわね」
それはわかっていてもあえてこれ以上は言わない袁紹だった。そうしてである。
あらためてだ。華陀に対して問うのだった。
「それで」
「ああ、俺がここに来た理由だな」
「病はもう治したのにですわね」
「そうだ、あんたに会いに来た」
上にいる袁紹を見上げてそのうえでの言葉だった。
「絶対にと思ってな」
「絶対にといいますと」
ここで袁紹もわかった。
「国家のことですわね」
「ああ。あんたは北を押さえてるな」
「その通りでしてよ」
これは言うまでもなかった。今更といった感じだった。
「それは」
「それでだ。そのあんたに話があって来た」
「ということはだよな」
「そうよね」
ここで文醜と顔良も話す。
「胡の連中のことか」
「それしかないわよね」
「そう、その胡だ」
まさに彼等のことだと。華陀も言うのだった。
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