世界をめぐる、銀白の翼
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第五章 Over World
・・・・・・・あれ?
「いいか。ここから先は戦場だぞ」
「なに・・・・!?」
「ただの力技でどうこう出来る場面じゃねぇってことだ」
「微妙な力加減ということか・・・」
「あともう一つ」
「なんだ」
「もし下手なことを言ったら、ブチのめすぞ」
「了解した」
「じゃあ。いいな?」
「ああ・・・大丈夫だ!!やろう!!!」
ギィッ・・・・――――――!!
扉が開かれる。
その先からは鈍い光が漏れ、二人はその先へと踏み出した・・・・・
「ってことで、パン生地こねるぞ!!」
「よっしゃばっちこーい!!」
時刻は午前4時。
そりゃそんな早朝じゃ、光も鈍いわけである。
古河パン、その工房
そこにはエプロン姿のショウがいた。
隣には古河秋生。
別の台では、妻の早苗が一生懸命に生地を捏ねていた。
「大きな注文が入ってよ、ダメもとで頼んでみるもんだな!!」
「いやまあその・・・・お宅の娘さんにはご迷惑をおかけしたので」
「なぁにぃ!?」
「いや、昔の話です・・・・」
古河秋生・早苗夫婦。
すでに孫がいるとは思えないほど若々しい。
というか、新婚と言われても納得してしまいそうだ。
こんなところに何故ショウがいるのか。
その話は、昨日の夜にさかのぼる―――――
というほど大仰でもないのだが。
「EARTH」に電話があった。
それは渚からの物らしく、どうやら実家のパン屋を誰か手伝ってくれないか、という物だった。
岡崎夫妻が行こうにも、その日には娘・汐の遠足があり、親子で揃っていくそうだ。
こういう行事には、彼らは必ず二人とも参加する。
意地でも。
だがなにぶん実の両親からの頼みだ。ないがしろにもできない。
と、そこで朋也が閃いたのだ。
「「EARTH」って確か何でも引き受けてくれるような・・・・」
渚も「いいんでしょうか?」と少しためらったが「どうせ暇だろ」というのが朋也の考えだった。
電話を取ったショウも「そ、そりゃ暇だがな・・・・」と大きな汗を垂らしてしまう程の決めつけだった。
否定できないわけだが。
そんなこんなで、ショウはここにいる。
まあ彼の言うとおり、「EARTH」のメンバーは何かしらいろいろあった間柄だ。
償いではないが、やはり返せるのならいろいろとしてみたいのだ。
「いや、パン作りは初めてだから楽しみだぞ」
「あ?初めてだァ!?本当に大丈夫か?」
やる気を見せるショウだが、一方秋生はショウを訝しがる。
まあ彼は基本的にはこんな感じだが。男限定で。
だが、ショウもパン生地に手を当て、グッグッ、と捏ねはじめた。
(ほぉ・・・ちゃんと腰使ってやがる。なかなかできるみてぇじゃねーか)
それを見て、秋生もまあ戦力にはなるだろうと納得する。
そも、彼が娘の推薦した人物をそこまで疑うわけもないのだが。
「どうだ?」
「力の入れ方はいい。だがこれだと・・・・」
そう言って秋生が生地を千切って一つ摘み、少し擦った。
「捏ねすぎたな。これだと膨らまないで硬いパンになっちまう」
「な・・・・・これでもかなり優しく捏ねたぞ・・・・」
改めて難しさを体感するショウ。
一方
シュオォォォォォォォォ――――――!!!
「いい感じですね~。これは新しいパンになります♪」
早苗が作業をしている方から、変な音と楽しそうな声が聞こえてきた。
何事かとショウは振り向こうとするが、秋生がその頭を捕まえて止める。
“最初に言ったことを覚えてるなら止めろ”
無言で目がそう訴えかけていた。
「Yes,Sir」
「よろしい」
そうして、再びこね始めるショウ。
次も失敗してしまう彼だが、三度目にして成功し、多くのパン生地を作り上げた。
「もう6時か・・・・」
「オラ。ボケッとしてないでできたパン、店に並べんぞ」
「もうできたのか・・・・?っと!?」
振り返ると、そこには多くのパンが。
自分が作った物ではない。
となれば、秋生が作ったのだろう。
ショウに指導しながら、これだけの物を作り焼いたのだ。
店に並べると、二人の割合は7:3。
当然、多いのは秋生の方だ。
「本職には負けるか・・・・・」
「こんだけ並べられれば十分だっての」
そうして、太陽が本格的に活動を始めた。
そろそろ梅雨時期だ。
雨の方が多くなり、紫陽花の似合う季節である。
「ン―――――ッ!!」
店の前に出て、背伸びして声を切らすショウ。
パック牛乳も、こうして飲むとオツなものだ。
ポン
「足りないぜ」
「ん?牛乳は120円だったはずだが」
「480円」
「嘘つけ!!」
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【蒔風の朝】
「・・・・・8時か・・・」
ボフッ
「あと30分・・・・・」
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【アリスの朝】
「皆さんついてきてますかー?」
「はーい!!」
ジャージを着て、ポニーテールに噛みをまとめたアリスが、ヴィヴィオやアインハルトたちを連れて「EARTH」外周を回っていた。
彼女たちは数日前の騒動に巻き込まれはしたものの、大きな怪我も無かった。
一応大事を取って一日入院したものの、翌日には退院だ。
それからという物、あんな状況でもちゃんと戦えるように強くなろー!!と意気込んでしまい、そこをアリスが見ることになったのだ。
というのも、ノーヴェが自主トレに入ってしまい、こっちまで手が回らないためである。
彼女自身もあの状況では避難に手いっぱいだった。
身体がなまってる、と言って、最近は「EARTH」地下訓練場で実戦形式のトレーニングをしていた。
相手が毎日のように仮面ライダーだが。
(ノーヴェさん・・・大丈夫でしょうか?)
天道さんや士さんと当ったときは泣きそうですね、と思いながら、少女たちを率いて走るアリス。
公園の中に入り、休憩しまーす、と止まる一同。
朝から元気いっぱいの少女たちは、それでも遊具を使って懸垂などを始めてしまった。
「元気ですねぇ」
「あなたもなかなかいいもの持ってるじゃないですか」
「彼女たちには負けますよ」
ベンチに座るアリスの隣にやってきて、そう話しかけてくるのは同じく付き添いの長岡だ。
足元にはワン!とリードにつながれた凩もついてきている。
そのリードを取り、公園内に駆けだしていく凩。
「朝から暑くなる季節ですね」
「六月でも水分補給もしっかりとするんですよ~」
はーい!という声が少女たちの方からして、二人のベンチに走ってくる。
水筒から注いだスポーツドリンクを流し込み、しっかりと身体に行き渡らせていく。
その中で
「アリスさん!ど~ぞ♪」
「ん?」
「アリスさんも疲れてるでしょ?だからはい!」
ヴィヴィオがアリスの前にドリンクを入れたコップを持ってやってきた。
両手で持って
差し出して
笑顔で
ギュ~~~ッ
「わわっ!」
「この子は~~~!!」
クワッ!!
「もらったァ!!!」
「アリスさ~ん!髪の中でスハスハしないでください~」
「凩」
「ガウ(カプッ)」
テンション上がってヴィヴィオに抱きつくアリス。
クルリと回して後ろからであることを明記しておく。
そして突っ込み代わりにガジガジと噛みつく凩。
見ていて楽しい、公園での一コマ。
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【ショウの朝】
(じ~~~~~~~・・・・・・)
「お、お母さん、あの人こっち見てるよ?」
「見ちゃいけません!・・・・あ、このパン貰おうかしら」
(ガタガタガタッッ!!)
「お母さん!!あの人揺れ始めたよ!?」
「買うのやめようかしら」
「何してんだお前はァ!!(ズカーンッ!!)」
「お母さん!?お店の人がバットであの人ぶん殴ったよ!?あ、連れて行かれちゃった・・・・」
「古河さ~ん、お代、ここにに置いときますね~」
「お前なぁ、確かに自分が作ったパン気になるのはわかるけどよ。あれはねーだろ」
「あそこしかポジションがなかったんだ!!」
「じゃあ始めからレジに立てや」
「・・・・・おぉ!!」
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【蒔風の昼】
「10時ごろに目覚めたオレ!飯食って今日の予定を確認するぜ!!」
「誰に言ってるんです?」
AGITO食堂で、蒔風が拳を握りながら何か言っていた。
それを突っ込むウェイトレス姿のイクスことイクスヴェリア。
作者の脳内イメージですが、非常にいいものです。
「今日はな・・・・あ、管理局に顔出さないとだ」
「地上ですか?」
「うんにゃ、海の本部」
この場合の海というのは、時空間を取り締まる方のことだ。
先日のワルプルギスの夜のことなども、一応話しておかなければならない。
「それって・・・・ヴィヴィオさんやアインハルトさんの大会に出た?」
「可能性は低いと思うけど、一応ね」
「イクス~・・・・あ、蒔風さん」
「おす、ルネッサ」
と、そんな会話をしているとそこにルネッサがやってきた。
どうやら今日は非番らしく、普段着でイクスを迎えに来ている。
「どっか行くの?」
「はい。再オープンしたマリンガーデンに」
「私はいいと言ったのですが・・・・・」
「ダメですよ。新しい服も買わないといけませんし、イクスはもっとわがままでもいいんですよ?」
「う、う~ん・・・・・」
「それよりも・・・自分で焼いたとこに行くんで気が引けてんじゃないか?」
「うぐ」
「(カチャ)余計なこと言いますとその口縫い合わせますよ?」
「ふまん。ゆふしへくへ(許してくれ)」
ほのぼのした会話の中に落とされる爆弾。
蒔風の口内に銃口が突っ込まれ、きれいな笑顔で語りかけるルネッサ。
銃さえなければいい絵です。本当に。
「ふぅ。ま、楽しんできな。ありゃお前さんのせいじゃない」
「そ、そうは言っても・・・・・」
「じゃあそれチャラにするために俺がもう一回焼きに行くぞ」
「!?」
今一つ吹っ切れないイクスの前で、蒔風が手の平に獄炎をボッ!と出して物騒なことを言い出した。
その顔を見て明らかに冗談だとわかるが、この男の場合その冗談をそのまま冗談として実行するから恐ろしい。
「わ、解りました!!楽しんできます!!」
「そそ。難しいこと考えなくていいのよ~。こんな顔より、そっちの方が全然いい」
そう言ってムニ~、とイクスの頬を引っ張る蒔風。
瞬間
「・・・・プニッッ―――――プニだこれ!!」
「えぇ・・・・私も抜け出すのに三時間かかりました」
「ひゃなしてください~~。にゃ、にゃんでルネは反対を掴むのでふか!?」
それから数分間、二人はぷにぷにほっぺを満喫した。
数分で済んだのは、イクスの背後から炎が立ち上がったからである。
ルネッサ曰く
「あの子の炎変換資質は、いずれ溶岩レベルになるはずです」とのこと。
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【アリスの昼】
「ようこそ「EARTH」へ!!」
「「うわぁ~!!」」
「EARTH」ビルの敷地前
そこでアリスはある一行を出迎えていた。
その御一行様の内容は
「な、なんて大きな建物・・・・・」
「おい勇者!本当に大丈夫なのかここは!!」
「エクレ、ここでは勇者じゃなくてシンクって呼んでよ~」
シンク・イズミ率いるビスコッティメンバーである。
他に来ているのはミルヒ、エクレ、リコ、ユキカゼの四人。
シンクの幼馴染である子にはまだ話していないらしい。
「いろいろいきなりになっちゃうしね」とはシンクの談。
「と、言うわけで。本日、皆さんの案内役をさせていただきます、アリスです」
「「「「「よろしくおねがいしま~す」」」」」
旗を手にしてプラプラと振り、笑顔で言うアリスに一同が頭を下げる。
その光景に
「この子たちももらったァ!!」
アリスが即暴走。
彼女にヤルは気あるのかないのか。
だが
ガシッ
「あっ!?な、なんで凩さん私を羽交い絞めにするんですか!?」
「噛むくらいではアリス殿は止まらないので」
それを凩が止める。
話している、というところからアンデット形態であることがわかる。
「お!?」
「こっちの世界にもビスコッティの方が!?」
「でも彼は完全に犬の人・・・みたいだぞ」
「お、狼人間!」
その凩の登場に、各々驚く。
まあ確かに、この状態の凩は犬騎士のような格好であるからしょうがない。
武器は日本刀だが。
「凩さん、人間態にはなれないんですよねぇ」
「アンデットとしての姿か、犬としてしかないので」
「ま、とにかく今日は私たちで案内しますね。迷ったりはぐれたりしたら凩さんがその場に行きますので安心してください」
そんなことを言って、さあレッツゴーと張り切って進みだすアリス。
何から見せてあげようかな、と少しいたずらっぽい笑顔を浮かべながら。
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【ショウの昼】
古河パンでの一仕事を終えたショウ。
今は適当に街をぶらついている。
どこの街かというと、それは―――――
「今日もこの街の風はいい感じ・・・だ」
風都。
ラピュタ通過の際の被害からも復興し、一段と活気づいているように見える、元気な街だ。
だが、そんな街でもまだ人々を脅かすものが転がってたりする。
当時、ミュージアムは一体どれだけ製造、流布したのだろうか。
いまだにこの街のガイアメモリは完全になくなっていない。
その証に
「キャーーーー!」
「か、怪物だ!!」
『ヴォオオオオオオオオォォウ!!』
街中で荒ぶっているドーパントがいた。
まだ警察もなにも来ていないようで、公園の広場のど真ん中で
『ヴォ・・・ヴぉ・・・・フォオオオオオオオオオオオオオオゥ!!』
シャウトしていた。
「なんだあれ?」
『フォゥ?』
そんな騒ぎになっていれば、当然ショウにも見つかるわけで。
目の前のドーパントは、頭から足先まで「奇抜」という物に手足が生えたかのような容姿だった。
頭にはシルクハットのような帽子
ピエロのような襟
ラフなTシャツのような胴
羽織のようなヒラヒラの腕
下半身は半ズボンのように腿の部分で色が変わっていて
手首足首には棘付きのリングがはめられていた。
「き、奇抜だ・・・・」
『♪お・前ッ!オ・レ・の・邪魔~を、する気っかい!?』
「あ、しゃべった」
YO!とでも言いそうな格好で、くるくる回ってショウに問うドーパント。
そしてそのままリズムを取ってショウへと掴みかかってくる。
飛び掛かり、肩を掴み、一緒に転がってそのままショウを投げた。
ショウは膝立ちになり、ドーパントは転がった勢いで立ち上がるなり踊るような動作で蹴りの連打をかましてくる。
回し蹴りに直蹴り、裏蹴り、回転しながら踵落しに、クルクルと回転して連続パンチ。
ダンスを取り入れた戦闘法。
見た目の派手さとは裏腹に、一発当たりは甘く見れない。
「ダンスの記憶でも取り入れたのか?こいつ」
『YES!それがこのダァ~ンスメモリィ!』
ドゴッ!!
ショウに蹴りが命中し、バッシャァ!!と派手に水飛沫を上げて噴水の中に沈む。
それを見てまたテンションが上がったのか、「フィィーバァー!!」と叫ぶダンスドーパント。
そしてその場から踵を返して去ろうとする。
相手は人間だ。
ドーパントを相手にしたのでは、もう立てはしないだろう。
そう考えたのかもしれないが、今回はあまりに相手が悪すぎた。
ドォンッッ!!
『ガァッ!?』
背後から襲い掛かる漆黒の波動砲。
振り返ると、胴体へと更に襲い掛かる波動砲撃。
重機のハンマーに叩かれたのような衝撃に、肺の空気がすべて吐き出されてしまう。
「どうした?自慢のシャウトが出てきてないぞ?」
ドンッッ!!
『ゴッ!!?チッッ・・・・テメェェエエエエ!!』
言われてか、攻撃にか。
いずれにしても腹が立ったのか、リズムも何もなく走り出したダンスドーパントが、拳を振りかぶってショウに殴りかかって行った。
それを見て、ショウは呆れて溜息をつき
「あーあースタイル崩しやがって。なかなか面白かったのにな、お前」
『喰らえェ!!』
「死ねと言わない分まだマシか」
ゴッッ!!!
繰り出されるドーパントの拳。
その場から動くことなく、それをスウェーで躱すショウ。
すると下半身を崩そうとドーパントが蹴り上げてきたので、ショウは自ら足を地面から離した。
そのまま回転、蹴り出してきたドーパントの右足の上を転がって接近し、至近距離からドーパントの腹に回転の勢いをつけて
「ゼァッ!!」
ボグァッッ!!!
『ヵ――――――!!!』
ドンッッ!!
吹き飛び、公園内の木にブチ当たるドーパント。
その場には拳を突き出した姿のショウが残った。
「その思いで手を出したのなら、最後までスタイルを崩すべきじゃないな」
ガクリ
とドーパントだった男が倒れ込み、ショウが転がったダンスメモリを握って割る。
「蒔風ショウ!!・・・・・お前が?」
「ん?おぉ、照井」
そこにやってくる照井竜。
犯人を引き渡すショウ。
「ダンスのメモリか」
「大したことのない使用者だったな。だが俺のアルティメットを使えば・・・」
「・・・持ってるのか?」
「いいかもねー、あはは~。いや、今はないよ、マジで」
「・・・・・信じておこう」
ホントだからね!!
ホントに持ってないからね!!
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【蒔風の夕方】
「じゃあなー、みんな!!」
「「「「今日はありがとうございました!!」」」」
「EARTH」前で、シンクたちを見送る蒔風。
今日はまだやることがあるらしく、ビルの中へと帰っていく。
彼等が蒔風に会ったタイミングは地下闘技場を見学している時だ。
地形等を登録さえすればビスコッティをも再現するここは、彼らにとっては驚きの連続だった。
そうしていると、蒔風がひょっこりとやってきて「やあようこそ」と軽快に声をかけてきたのだ。
アリスはそのタイミングで蒔風に引き継ぎ、一旦離れる。
そうしてそこで遊んだ後、時間になったのでこうして帰路についたというわけだ。
説明終了。
場面を戻そう。
ビル内に帰っていく蒔風。
ゲートを開くアリス。
そうして帰っていく彼等だが、その際に質問をしていった。
「アリスさん、さっきの人って誰なんです?」
「ショウさんに似てましたよね?」
「舜ですか?」
「あ、名前も似てるんですね」
「似てる・・・・というか・・・・」
あはは、と苦笑しながら答えるアリス。
その光景に「はてな?」となるシンクたち。
とまあ、とりあえずは当面の質問に答えておこう。
「で、舜さんって「EARTH」の案内係ですか?」
「まあそんなとこですね。ついでに言うと局長ですが」
「あ、やっぱり!で、ついでにきょく・・・ッ局長!?」
「い、一番偉い人ですか!?」
「偉いって感じでしょうか?」
「さあ?」
アリスのフリに、首をかしげる凩。
彼等の言葉に半信半疑のシンクたちだが、まあとりあえずは帰ろうとゲートに足を進める。
ゲートをくぐる彼らを、手を振って見送るアリス。
その彼らに、凩が小声で耳打ちをした。
「アリス殿も・・・・この世界の女神クラスだぞ?管理者だ」
「「「「「エエエェェェェェエエエえええええええ!?」」」」」
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【ショウの夜】
「ただいま~っと・・・・」
ドサリ
ショウ、「EARTH」へと帰還。
部屋に入るとそのままベットに向かい、ぶっ倒れるように倒れ込んだ。
あれから色々なところで巻き込まれては手助けし、そんなことばかりの一日だった。
「川神院の道場破りを・・・・道場破り前に倒しちゃったのはまずかったかなぁ・・・・・」
最後にそう呟いて、カクリと夢の世界へと墜ちるショウ。
それから30秒もしないで、部屋の扉が開かれた。
「あーーー!!やっと見つけましたよショウさん!!舜くんよりも身体のダメージ深かったくせに!!」
シャマルだった。
寝ているショウだがお構いなしだ。
クラールヴィントで身体を縛り上げ、医務室に叩き込んだ。
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【アリスの夜】
「寝ます、か」
晩御飯を食べ、部屋に戻ったアリス。
世界の軸を少しだけ見、大きくズレてないのを確認してからベッドに入った。
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【蒔風の夜】
「だあ!!ダメだ。もう眠い・・・・・続きは明日だなぁ・・・・・」
書類を前にして倒れ伏す蒔風。
ヨロヨロとベッドに向かって、倒れ込んだ。
眠り込んでから30秒後。
そこで扉が開かれた。
「シュンさん!!書類仕事だけだからって自由にしたのに、なんで闘技場で模擬戦してるんですか!!!」
入ってきたのはエルルゥだった。
半目が開かれる蒔風だが、そこに写った形相に何も言うことはなく
(寝とこ・・・・)
寝た。
そのままずるずると引きずられていく蒔風。
結局、朝起きた時には病室で寝ていた。
「「・・・・・・あれ?」」
to be continued
後書き
前回書きました時間設定ですが、色々あって6月頭となりました。
根拠としては
DOG DAYS→三月後半
蒔風の映画撮影→二か月間
ワルプルギス襲来がその後なので五月後半
そしてまどマギ篇が6月となりました。
ある考察だとまどマギは10月のお話らしいのですが、まあそこは改変します。
あまり影響なさそうですし。
とりあえず日常編は終了で、次回からまどマギ篇に戻します。
次回!!
ほむら
「その必要はないわ」
え!?
ほむら
「次回。登場、佐倉杏子」
と、取られた!!
というわけで
ではまた次回
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