世界をめぐる、銀白の翼
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第五章 Over World
そうだな、いいことだもんな
マミと翼刀によって魔女を退治した、翌日
見滝原中学校
時刻は昼になろうという時
その屋上
「暇だから来ました」
「不法侵入ね」
「失礼な。ちゃんと玄関で許可取ってるぞ。ほれ」
そこで、二人の人物の問答が行われていた。
一人は暁美ほむら。
鹿目まどかがここに来ることを見越して、魔法少女にならないよう忠告しに来ている。
もう一人は鉄翼刀。
日中があまりにも暇だったので、学校に遊びに来ていた。
学校には「EARTH」の肩書で地質調査として入っているから問題はない。
ちなみにここに来たのは
「お昼になったら屋上でご飯食べるんですよ♪」
というまどかのメールがあったので、ではご一緒しようということである。
先に屋上で待っていたら、同じくまどかを待ち伏せようとしていたほむらとばったり、というわけだ。
展開がいきなり?
原作補完で宜しくお願いします。
「テキトーすぎるだろ!!!」
「? 適当なのは貴方の方ではないの?」
翼刀の叫びもむなしく、ほむらにあっさりと返されてしまう。
だがほむらとしては、この男にも聞きたいことはあった。
「あなた、何者?」
「「EARTH」局員だけど?前も言ったっしょ」
「・・・・何をしに見滝原に?」
「大切な人を、取り戻しに」
「・・・・・」
ほむらの質問に軽く答えていく翼刀だが、最後だけは表情が変わった。
その返答にほむらの顔が少しこわばり、しかしそれでも先に進める。
「「EARTH」というのは、なに?」
「え?しらない?・・・あー、結合直後で記憶混乱してるパターンだっけ?」
「どういうことか、説明してもらえるかしら」
「いいけど」
そこから翼刀の説明が始まる。
と言っても、翼刀の知識も蒔風やショウの受け売りだ。
それでも説明を終え、ほむらも一応の納得をしたようだ。
「翼人の人たちならうまく説明できたんだろうけど」
「結構よ。それで・・・・」
「ああ。ちょっと前の戦いの影響で、いろんな因果が引き寄せられることになっちゃってるみたいでさ」
「それでこの世界も?」
「そうだね」
そんな話をしていると、昼休みの鐘が鳴り響いた。
そろそろまどかたちも来るはずだろう。
というか
「ほむらちゃん、サボったよね?」
「・・・気にしないで」
クルッ、と指摘したらフイッ、とそっぽ向かれた。
気にはしていたらしい。
「翼刀さーん!・・・あ・・・」
「て、転校生!!」
そのタイミングでまどかとさやかがやってきた。
キュゥべえを連れて。
「・・・鹿目まどか」
「な、なに?」
ほむらからのいきなりの呼びかけ。その口調は堅い。
だが、それでも話して見ようとするまどかは流石というところか。
「キュゥべえを連れてる・・・ということは、まだ魔法少女なんてものに憧れているの?」
「えっと・・・・」
「わたしもまどかも、まだ考え中だよ」
「そう。ならもう一度言っとくわ。やめなさい」
「な、なんであんたにそんなこと決められなきゃいけないのよ!!」
「ちょ、ちょっと待てって」
どうにもケンカ腰になってしまうさやかとほむらの間に、翼刀が慌てて割って入った。
さやかからすると「マミさんの仲間のキュゥべえを攻撃したこいつは敵」という認識らしい。
「こいつ怪しいじゃないですか!」
「そ、そうかもしれないけど・・・・」
「でもさやかちゃん。言ってることは俺とかマミさんと同じだよ?この子」
「「え?」」
翼刀の言葉に、さやかが気付く。
同時にほむらも驚く顔をするが、今はそれは置いておこう。
「だってさ、簡単に魔法少女になるな、ならない方がむしろいい、ってことだろ?」
「た、たしかにそうですけど・・・・」
「ちょっとまって。あなたたち、巴マミから魔法少女の勧誘を受けなかったの?」
「見学してみて、とは言われたけど・・・・」
「ならない方がいい、って言われたわよ」
「いったい・・・なにが・・・・」
何を考えているのか、ほむらが驚愕の中で思考する。
そして、思い当たったかのように翼刀の方に向き直った。
「あなた、巴マミと一緒に戦ってるの?」
「そりゃあね。一緒の方がいいだろ?」
「・・・・・そういうこと」
「そう。そして、あなたが得体のしれない魔法少女である限り、私はあなたを信頼できないわ」
「!!」
翼刀の言葉で納得したほむら。
そこにマミがやってきて、ソウルジェムを構えて翼刀の隣に立った。
マミにとってキュゥべえは自分の恩人であり、一人きりになってからの話し相手だった。
ペット的な認識だとしても、家族のようなものだったのだろう。
それを追い回してボロボロにした挙句、挑発ともいえる行為をしてきた彼女に善い感情を持っているわけがない。
今にもソウルジェムからは彼女の固有魔法であるリボンが出ようとしているし、一瞬でそれはマスケット銃に変貌するのだろう。
だが、翼刀がそのソウルジェムを持つ手を降ろさせた。
「待てって。そもそもなんでほむらちゃんがキュゥべえを狙ったのか。その理由を聞かないとどうにもできないんだけど?」
そう言いながら、翼刀がヴァルクヴェインを取り出す。
いきなり取り出してきた剣に、ほむらは驚く。
何処から出したというのか。
だがそれよりも驚いたのは、剣の切っ先が自分ではなくキュゥべえに伸びているということだ。
「なんのつもりだい?」
「もしほむらちゃんがトリガーハッピーゆえにお前を追い回していたならわかる。だがほむらちゃんはどうにもそういう人間じゃなさそうだからな。そっちにも理由があるんじゃないか、って思っただけさ」
「ボクは何も知らないよ?いきなり襲われて困っているのはボクの方さ」
ジッ、とキュゥべえを見る翼刀だが、その表情からは嘘かどうかは判別できなかった。
「まあいいけど・・・・とにかく、俺の前でいきなりケンカはやめること。了解?」
「・・・・はぁ。わかりました。あなたもそれでいいわね?」
「私は・・・・あなたが魔法少女にならなければそれでいいわ」
「う、うん・・・・・」
「・・・・・今は信じておくわ」
剣を終い、二人に忠告する翼刀。
マミはそれに了解し、ほむらも一応の返答はした。
するとほむらはその場からフッ、と消え、その場からいなくなった。
『今日は気を付けなさい、巴マミ。意地を張りあうと、それがあなたの命取りになるわ』
最後にそう、一言だけ残して。
「悪役みたいな退場だな」
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「じゃあ今日の見回りは俺とマミちゃんだけかな?」
「今日は別れて見回りましょう。結界に入ったら」
「携帯に連絡ね」
放課後
さやかとまどかは用事があるとかで、今日は付き合えないらしい。
その話は昼休みの時点で聞いていたので、二人は二手に分かれて街を見まわる。
見滝原の街は広い。
二人いるなら本来は二手に分かれるのが普通だ。
だが昨日はまどかたちもいたので、すぐに行動できるように一緒に回っていたのだ。
「じゃあ俺こっち?」
「私はこっちで。翼刀さん、気を付けてくださいね。魔女は病院に巣食って悲しみを吸収することもあるので」
「あーいよ」
そうして別れる二人。
見るのは人の集まる繁華街や大通り。
人目に付きにくい路地裏。
事件が起こっても気付かれにくい廃墟・・・・
平たく言うと
「まあ全部ってことだよな」
皮肉気味に笑いながら、翼刀が百貨店の前を通り結界を検索していく。
マミはソウルジェムの魔力反応から結界を見つけ出すが、翼刀は渡航力を使って歪みを探し出す。
マミよりかは幾分か効率がいい。
そうして百貨店には何もないことがわかり、そこから離れて行こうとすると、見慣れた後姿を見つけた。
「おーい」
「? あ、翼刀さん!」
「翼刀さんはこっちの見回りなんですか?」
「まあね。CD?」
「あ、はい」
「知り合いの男の子のお見舞いなんです」
「お見舞い?入院?」
「はい」
歩きながら聞くと、さやかの幼馴染である上条恭介という少年が入院しているそうだ。
その少年にクラシック音楽のCDを、お見舞いの度にプレゼントしているそうだ。
「好きなん?」
「ごブァッ!?」
「さやかちゃん!!」
その話を聞いて、翼刀がズバッ!!と聞いてきた。
ストレートすぎる。
さやかは翼刀が買ってくれたジュースを思い切り噴き出してしまう始末。
「ゲホッ、ゲホッ!!な、そ、そそソンナことNAいデスYOU!!」
「落ち着いてさやかちゃん!!」
「俺が悪かった。ほら、鼻からジュース出てる」
「うわぁ・・・・」
テンパるさやか。
落ち着かせようとするまどか。
ハンカチを出す翼刀。
引くまどか。
「フゥ・・・まどか、最後ガチで引いてなかった?」
「ううん。たださやかちゃんの女子力が70は下がったなって」
「ひどっ!?」
その後の話だと、その上条君は事故にあって大けがをしたのだそうだ。
その後遺症で、たとえリハビリして回復しても、前のように手足を動かすことは出来ないらしい。
依然は天才バイオリニストと言われるほどだった彼からすれば、それは死刑宣告に等しい。
そんな彼を励ます為、こうしてさやかは通っているらしい。
「やっぱ惚れてんじゃん」
「ぶフッ!!」
「翼刀さん!!」
「だってまるで通い妻だし!!」
「ヒャァアッ!?」
「翼刀さん・・・?」
「あ、ごめんなさい」
それがわかってからの翼刀のさやかいじり。
まどかが怖い顔をして止めるまでそれは続いた。
・・・・結界探しどうした。
「恭介、バイオリン一筋だったんですけど、怪我で前みたいには弾けないって・・・・」
「そんなに大変な怪我なのか?」
「怪我自体は治ってるんですけど、そのせいでリハビリにも積極的にならなくて・・・・」
「へぇ。治らないの?」
「今の医療じゃ、事故前みたいに治せるなんて奇蹟か魔法かって・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・・」
「ヴァルクヴェイン、使う?」
「使う」
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「う、動く!?腕が動く!?」
「やったね恭介!!」
「ああ、ありがとうさやか!!それと・・・翼刀さんも、ほんとうにありがとうございます!!」
「あぁいや、うん。よかったよ」
数分後。
件の人物、上条恭介の病室には歓喜の声が湧き上がっていた。
説明しなくてもわかると思うが、翼刀の剣が恭介を治したのだ。
さやかは恭介に飛びつき、恭介は動く腕に歓喜し、まどかは目に涙を溜めていた。
だがそんな中で翼刀はすっきりしない顔をしている。
「な、なんかこの先の色々なことをぶち壊した気がする・・・・」
そんなことを呟きながら先に病室の外に出て、携帯の使えるエリアに入って連絡をする。
「こんなことがあったんですけど・・・」
『なんでこんな時に電話かけてくんの!?ウワォ!?(ドゴゥッ!!)』
「!?」
『・・・・あーすまん。いま模擬戦中だったんだ。で?』
「カクカクシカジカでして」
『なんという原典ブレイク・・・・まあいいんじゃないか?みんな助かるなら』
「そうですよねぇ?うーん・・・・」
なんだか納得できないこのテンポに、思わず電話をかけてしまった翼刀。
だがショウの言うことももっともだ。
確かに、救われていけないわけがない。
「じゃあこの辺で」
『おう、がんばれノゥ!?ちょっとお前ら三人がかりはダメだろってギャー!!』
プツン
向こうから悲鳴が聞こえたが、まあ大丈夫だろうと切る翼刀。
するとちょうどさやかとまどかもやってきて、病院を出ることにした。
「翼刀さん、本当にありがとうございます!!」
「いや・・・うん!!そうだな、いいことだもんな!!喜んどこう!!」
「? そうですね!!」
さやかの笑顔で吹っ切れる翼刀。
翼刀の言葉に「?」となるさやかだが、同じように笑顔になる。
「じゃあ私たち帰りますね」
「おう。気を付けてなー」
「ちょっと待ってくれないかい?」
一件落着。じゃあねー、と手を振りあう三人。
そこにいきなりキュゥべえが話しかけてきた。
「お前いたの?」
「いたさ。でもそんなことよりも、魔女の気配だ」
「「え!?」」
「ん・・・・あ、ホントだ・・・クソ、浮かれすぎたか」
キュゥべえからの警告。
そのナビゲーションに従って病院の外を回ると、壁に黒いヒビが入っていた。
実際にはそれは空間の割れ目であり、グリーフシードが刺さった物だ。
グリーフシードは孵化寸前。
これは穢れを吸ってソウルジェムを浄化する便利なものだが、吸いすぎると魔女へ孵化してしまう厄介な代物なのである。
このままだと数分で魔女へと変貌するそうだ。
それを確認し、翼刀がマミに電話を入れる。
すぐこちらに向かうそうだが、15分はかかってしまうらしい。
「マズイね。病院に巣食った魔女はものすごく厄介だ」
「そういえば・・・入院患者の心の隙間に入り込んで絶望や悲しみを・・・だっけ?」
「その通り。このままだと入院している人たちに被害が出るかもしれないね」
「そんな!!ここにはまだ恭介もいるのに!?」
病院を見上げ、驚愕するさやか。
せっかく治ったのに、そんなのはあんまりだ。
「翼刀さん!!」
翼刀の方を向き直り、勇ましく声を上げるさやか。
翼刀も少し考えてから頷き、マミにメールを入れた。
「マミちゃんには連絡した。先に入ってよう。ちょっとほっとけないみたいだからな」
「「はい!!」」
「待つんだ。結界は僕たちが入り込むと姿を隠してしまう。マミにどうやって位置を知らせるつもりだい?」
さあ行こう!というところでキュゥべえの忠告。
何ともまあ、いいところで口をはさむのがうまい奴である。
その質問に、翼刀は「え?」という顔をしてさやかたちを見る。
まどかはともかく、さやかの顔は行く気満々である。
その光景に唖然としてしまいながらも、手のひらを出して止める。
「二人はここで待っててくれたまへ」
「え?」
「そんな・・・・私にもいかせてください!!」
「そりゃ―――行きたい気持ちはわかる。守ってやりたいんだよな?でもここで君が命を懸けてどうする。それに結界が姿を隠すなら、誰かがここだと残っていないと解らなくなるだろ?」
「そうですけど・・・・」
「そも君たちはそう関わる必要もないだろう。まあ俺たちを信じて、ここは待っててくれないか?」
「・・・わかり・・・ました」
「サンキュー」
そう言って翼刀が二人を押して後退させる。
そして元の場所に戻ると、グリーフシードが砕けて消え、翼刀の身体は結界の中に飲みこまれていった。
「はぁーあ、あたしたちはお荷物かァ」
「仕方ないよ・・・ここでマミさんを待とう?」
「まーしょうがないね。ここでしっかり、マミさんを待ちますか」
「・・・・・さやかちゃん」
「なに?」
「あのグリーフシード、翼刀さんなら孵化する前に砕けたんじゃないかな?」
「あ」
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「二人とも!!」
「マミさん!!」
十数分後。
連絡を受けていたマミがまどかたちのもとへとたどり着いても、翼刀はまだ出てきていなかった。
それだけ手ごわい相手なのだろう。
すぐに追いかけなくてはならない。
「あなたたちはすぐに家に帰りなさい」
「でも!!」
「ごめんなさい。あなたたちを守れる自信がないの」
到着するなり、勢いよく話をはじめて変身を済ませるマミ。
自分が到着するまでの間。
それだけの時間でも翼刀が倒し切っていないのならばそれは相当強敵のはずだ。
そんなところに、二人を連れていくわけにはいかなかった。
それに、ここにいるといつ結界に飲まれてしまうかもわからない。
早く遠ざける必要があるのは明らかだ。
ゆえにいきなり突き放すような言い方になったとしても、マミは二人を帰そうとした。
しかし
グ―――ヴゥオン!!
「結界!?」
遅かった。
三人はまとめて結界に飲み込まれてしまったのだ。
だがこうなっては仕方がない。
結界の入り口はここだとしても、出口は別の場所。
ならば、魔女を倒すまでは一緒に進むしかない。
「す、すみません・・・」
「しょうがないわ。あの状況じゃすぐに動けないものね」
シュンとしてしまう二人に、笑いながら話すマミ。
ソウルジェムの反応を見て、先に進んで行く三人は幾体もの使い魔を撃破して先を進む。
「そういえばマミさん、ずっと一人で戦ってきたんですよね?」
何階層進んだだろうか。
長く細い橋のような場所を進んでいると、ふとまどかがマミに話しかけた。
「えぇ、そうよ」
それに返答し、なおも進んで行くマミ。
周囲にもおもだった使い魔の姿は見えず、走り通しだった足も、今は結ったりと歩みに変わっている。
「つらく、なかったですか?」
「・・・・魔女との戦いは怖かったわ。それに、他の子との生活リズムも合わなくなるし、親しかった友人は離れて行って・・・いえ、多分、私がズレて行ってしまったんだと思う」
「最初、一人で頑張ってたマミさんはすごい、って思ってた私が恥ずかしいです・・・・」
「そうね。私も恥ずかしいわ」
「「え?」」
「最初ね?あなたたち二人に魔法少女の素質があるって分かった時、私は安堵したの」
「? どうしてですか?」
「つらい戦いに、仲間ができる。一人だった世界を、共有してくれる友達ができる、ってね」
「いいじゃないですか!!仲間と一緒に戦うって!!」
「でもそれは、あなたたちに命懸けの戦いをしてくれ、っていうようなものよ。昨日の翼刀さんの傷、見たでしょう?」
「はい・・・」
「ようは「あの傷を私と一緒に負ってちょうだい」ってことよね?それ。すごく恥ずかしいわ」
「「・・・・」」
「私は私の都合で、あなたたちの命と人生を道連れにしようとしたの」
マミの告白に、黙ってしまう二人。
二人にとって、巴マミの存在はすでに大きなものとなっている。
出会ってまだ一週間も経ってない。
だが、頼れる人で、街を守る正義の味方で、命の恩人のかっこいい先輩。
マミさんなら大丈夫、という、半ば崇拝じみた感情。
だが、この言葉の前に、二人は知った。
否、思い出しなおしたのだ。
巴マミは―――
自分と同じ中学生で
自分よりも一つ年上名だけの少女で
そして、たったそれだけなのに多くのものを背負いこんでしまった少女なのだ。
だからこそ
二人の少女は、仲間になるよりも――――
「じゃあ、マミさんに私たち、ずっと付き合いますよ!!」
「え?」
友だち―――でいることを望んだ。
「マミさんの言うとおり、私たちは魔法少女になるだけの度胸も、夢もありません・・・・」
「でも、マミさんが頑張ってる事を知ってます。マミさんがつらい時は、絶対にそばにいます!!」
「あなたたち・・・・」
「だから、さみしいこと言わないください・・・・」
二人の言葉に、胸が熱くなるマミ。
しかし、数秒してプッ、と噴き出してしまった。
「あははははははは!!」
「え?あれ?」
「マミさん?」
「あー・・・・ごめんなさいね。私、今はもうさみしくなんてないの」
「え?」
「二人ともありがとう。でもそんなになんなくても、私は二人のおかげですごく心が軽いし、一緒に戦ってくれる人もいる。だから、今は大丈夫よ」
「あ・・・あはははは!!なんですかそれぇ!?」
「ちょっと美樹さん!?急に飛びついてきて・・・・」
「えいっ!!」
「鹿目さんまで!?」
マミに飛びつくさやかとまどか。
その重さに、マミはグチャァ、と倒れ込んでしまった。
「心配させないでくださいよ~」
「そうです。これはお仕置きです♪」
「ご、ごめんなさいごめんなさい!!だからちょ、そこはッあははははははは!!」
そしてくすぐり倒された。
女三人、揃えば即ち姦しいとはよく言うものだ。
閑話休題
そうして、三人は辿りつく。
魔女の間への大扉。
その蝶番に、手を掛けた――――
------------------------------------------------------------
一方翼刀は
「無限再生か?」
「体内にストックがあるの。すぐに全部潰さないと、また体内に溜まっていくわ」
「うへぇ・・・・」
魔女との戦闘中だった。
「お菓子」の名を冠するこの魔女は、最初こそかわいらしいぬいぐるみのような姿だったのだが、そこからパペットのような別形態が飛び出してきたのである。
しかもその個体がやられても、口の中から再生してくるのだ。
だが対抗策はわかっている。
戦い始めて三分もしないうちに、結界の中に暁美ほむらがやってきたのだ。
思いがけない来訪者に驚いた翼刀だったが、今は目の前の敵を倒すことが先だ。
なにより彼女の魔女に対する知識は、魔女との戦いでは大きな利点となる。
「ところで、巴マミは?一緒じゃないの?」
「別行動取ってたからな。こっちにくるみたいだけど」
「そう」
そう言って、魔女を圧倒していく。
ここまで手こずった相手だが、もうそろそろ終わりだろう。
そして
ここで物語が、絶望へと墜ちていく。
to be continued
後書き
不穏な終わり方ですなぁ。
何だか長くなったけど、ある意味ここからが武闘鬼人版まどマギの始まりですよ!!
翼刀がいれば恭介も治っちゃうんですよね。
何だか本当に下手な原作ブレイクを見ている気分です。
そのうち蒔風やショウの方も書かないとですね。
模擬戦って何やってんでしょう?
あそこでグリーフシード壊さなかったのはですね、何が起こるか分からなかったからです。
絶望が溢れて大惨事とかだったら困るんで。
マミ
「次回。私ル~ルル~♪」
ではまた次回
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