| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

モンスターがスライムしかいない世界で勇者目指す

作者:佐藤春
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

準備

武器を買うことを忘れた俺たちは大通りで叫んでいた。
周りからの冷たい視線が痛い。
とりあえずお互い無言で歩く。

ふと、武器鍛冶の看板が見える。
大通りを少し離れたところにある鍛冶屋だ。

鍛冶というものには二つの種類があって、防具鍛冶と武器鍛冶とある。
ちょうどみつけたのは武器鍛冶だったので試しに入ってみることにする。
「いいところに武器鍛冶があるじゃん。入ろうぜ」

「そうだな。周りの視線が痛いしな……」
そんなこんなで入ることにする。

「カン……カン!」
外の空気より圧倒的に熱く、金属をハンマーで殴る音が聞こえる。
マグマのようなドロドロな液体が奥に流れている。

「す……すいません。武器の作成を頼めますか……」
武器を作っている人を尻目に受付の人に話しかける。

「大丈夫ですよ! 何をご希望ですか?」

「えーっと……短剣と片手剣で」
冒険者は基本的に杖などの武器以外なら装着できる。 
武器はこれだ。と決めていたので即決だ。

「春夏はどうする?」

「私は両手剣だ。」
両手剣はその名の通り両手を使うので盾などは持てないがその分攻撃力は高い。

「了解です。一つ10000セントになりますが、最近人数が少ないので8000セントにしておきますね。短剣は別料金で5000セントです。」

「「ありがとうございます!」」
お互いの歓喜の声がハモる。

速攻財布を開いて俺は13000セント、春夏は10000セントを払う。

「明日には完成しますので、明日またきてくださいね!」

「はい! ありがとうございました。」

安い剣だと5000セントなど今よりより安く買えるのだが、安いだけあって、切れ味が悪かったりする。
かといって鍛冶職人に頼むと高い。
なので防具も職人に頼まずに買ったのだ。
だが、職人なのにもかかわらず安くしてくれたし結構熟練のおじさんがやってたから質もいいだろうと思い明日の冒険が楽しみになる。

「そうえいば、今日どこで泊まる? なんかいい宿屋知ってる?」

「ああ、知ってる。食事付きで一泊8000セントの宿屋があるぞ。行ってみるか?」

「おう行ってみるか。同じ部屋に泊まるのか?」

「別にいいぞ。気にしない」

「やっぱりそうだよな~って、え……いいの?」

「いいと言っているだろ! 何度も言わせるな」

「ま……まじか」
絶対一緒はやだ! とでもいうのかと思ったけど……。
まあこれもこれでいいか。と納得する。
今日の夜どうなってしまうんだろうか。と思いながら歩くといつの間にか宿屋につく。
その普通の宿屋に入り受付の人に8000セントを渡し、二階の部屋へと案内される。

「広いな」
8000セントにしてはかなり広く、ベッドも二つある。
一つだったらどうしようなんて考えていたが無駄な心配だったようだ。

暗くなってきて、夜ご飯が運ばれてくる。
普通の家庭的な料理だが、これがまたいい。
高級食材というより俺はこっちのほうがしっくりくる。

食べ終わり、明日の冒険のことを考えているといつの間にか寝てしまっていた。



ゴソゴソ……。

何か物音が聞こえると思い起きようとする前に目を開けると、春夏が起きているだけだった。
何だ! と思いながら立ち上がろうとすると、春夏が着替えようとしだした。

え……。もしかして俺がまだ寝てると思ってる?

昨日宿屋から借りた寝間着を脱ごうとするもんだから、思わずくぎ付けになって見てしまうが、童貞の俺には刺激が強すぎたのか、思わず叫んでしまった。

「――――オッ――――!」

「うわああああ! なんだ! って隠れてみるな! 変態!」

「ごっごめん!」
叫ばなかったらいいもの見れたのか……と思っていたがもしそれを見ていたら春夏のことを違う目で見てしまうことになるな。と思い、俺の判断は間違っていなかったんだなと感じる。
朝食を食べながらそんなことを考えているが、今日は待ちに待った日。

冒険をするんだ!

そう思いパンを口いっぱいに詰め二階に行き、春夏と一緒に宿屋を出て、鍛冶屋に向かった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧