魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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第48話 地球へようこそ
「ここが地球…………」
俺の家のベランダから外を見ているキャロが呟いた。
「どうだ?地球は」
「色んな家が一杯並んでいて少し窮屈な気がします」
まあ森で生活していたキャロにとってはそう思えるかもな。
「カラフル…………」
キャロの隣で見ていたルーテシアがそんな感想を言った。
「まあ確かに色々な色の家があるよな。形もそれぞれ違うし」
「面白いですね。変な形の家とかもあるかも…………」
「それは自分で見てみるんだな。それにしても……………」
そう言って俺は部屋の中を見る。
中では、WIIのリモコンを持ったライ、セイン、ウェンディ、ノーヴェが激しく動き回っていた…………
あの後、俺は全快してから自分達の家に帰った。
もう少しいてもよかったのだが、キャロになるべく早く地球を見せたかったので帰ってきたのだ。
そして当然の様にセイン、ノーヴェ、ウェンディもこっちに遊びに来た。
フェリアは調整の為、もう少しスカさんのアジトにいるらしい。
その代わり…………
「どうだ?」
「面白い。やっぱり地球は色々と興味深いよ………」
ディエチが地球に遊びに来た。
あの事件の後からディエチと夜美はかなり仲良くなり、今も一緒に雑誌を見ている。
「レイ、そろそろ中に入ったらどうですか?」
「そうだな、暑いし中に入るか」
「うん、行こうキャロ………」
「そうだね」
俺達は家の中に入った……………
「それでは買い物に行きたいと思います」
昼食を終えた所で星が話を切り出した。
「主にキャロの物だな」
「はい。今のキャロだと私達のお下がりでも少し大きいと思うので服と、キャロも秋から学校に行くと思うので必要な物一式など色々買いたいと思うので………」
「私も欲しい…………」
「分かってますよ、ルーちゃんのも買います」
そう聞いて、少し嬉しそうにするルーテシア。
「なるほどな………それで?」
「いや、みなさんはどうするのかと………」
「僕はパス」
「私も」
「私もだ」
「私もっス!」
ゲームをやっていた4人は当然断った。
「そうですか、なら4人は留守番ですね。なら4人の今日の夕飯はお弁当でも買ってきて………」
「やっぱり行く!!」
「私も!!」
「待った!私もやっぱり行く!!」
「私も行きたいっス!!」
「なら決まりですね」
食い物に釣られた〜
単純な奴ら……………
「夜美達はどうします?」
「我も行くぞ」
「私も行きたいです。こっちの物も興味があるし………」
夜美とディエチは当然参加。
「レイは行きますよね?」
「モチ」
こうして俺達はみんなで買い物に行くことになった…………
「わぁ〜…………」
「でっかい……………」
キャロとルーテシアが大きく口を開けて驚いていた。
今回来たのは、前に星とデートに来たショッピングモールだ。
遠見市の方でも良かったのだが、昼から行くとなると買い物する時間が遅くなるため、海鳴市にあるショッピングモールにすることにした。
今更なのは達に見つかっても問題無いし、セイン達もフェリアの妹と言えば問題無いだろう………
まあ夏休みは殆どミッドにいるって言ってたし、こっちにはいないと思うけど。
因みに今、ここにいるのは俺、星、キャロ、ルーテシア。
ライ達は着くなり、「セイン達と色々見て回ってくるね」と言って、さっさと行ってしまった。
俺達はキャロ達の買い物がメインになるだろうから、付き合わせるのも悪いと思い、あらかじめお小遣いを渡しておいたけど………………まあいいか。
夜美とディエチはライ達と同行せず、二人で見て回るみたいだ。
「星、まずはどうする?」
「そうですね…………まずは服を見に行きますか」
「服ですか?私は今ある服で構わないですけど………」
「私、欲しい………」
遠慮するキャロと素直に言うルーテシア。
全く…………
「お兄ちゃん?」
俺はそんなキャロに近づき、おでこにデコピンした。
「うぅ〜!?何するんですかお兄ちゃん………」
涙目になりながら訴えるキャロ。
「素直じゃないキャロにお仕置き。家族なんだから遠慮なんてする必要無いんだからもっと我儘言って良いんだぞ」
「そうですよキャロ。私も遠慮なんかしてほしくないですよ」
星が笑顔でキャロに言う。
「あ、ありがとうございます…………」
照れているのか、顔を赤くしてお礼を言うキャロ。
「よかったね、キャロ」
「うん、ありがとうルー」
そんな二人の様子を俺と星は微笑ましく見ていた。
子供服店……………
「わあ〜!いっぱいあるね!」
「うん、目移りしそう…………」
ルーテシアがそんなことを言いながらキョロキョロと店の中をよく見ている。
キャロも遠慮してたけどやはり嬉しかったのか、体がウズウズしている。
「さあ、先ずは自分の気に入った服を探して見ましょうか」
星の一声で2人は動き出した。
「さて、俺はどうするかな…………」
コーヒーを片手に、店の外でキャロ達の様子を見ていた。
未だに2人は慌ただしく服を探している。
この辺りは女の子か。よく飽きずに長く探していられるよな………
「お兄ちゃ〜ん!」
キャロが店の中から手を振り俺に話しかけてきた。
「どうしたんだ〜?」
「一緒に選んで下さい〜!」
「分かった、今行く〜!」
飲み終えた缶コーヒーをゴミ箱に捨てて、キャロの所へ向かった。
「どっちが良いと思います?」
「そうだな…………」
キャロは可愛いピンクのフリル付きワンピースと綺麗な模様のシャツとチェックのスカートを持って、俺に聞いてくる。
「取り敢えず着てみろよ」
「はい、それじゃあ試着室に行きましょう!!」
俺の手を取り、キャロに引っ張られながら試着室に向かった。
「どう………ですか………?」
「どうって言われてもな………」
どっちも似合いすぎて何とも言えないんだが…………
「なあ、もうどっちも買わないか?どっちも似合ってて選べないんだけど………」
「えっ!?でもいいんですか?」
「遠慮は無しって言ったよな………?」
キャロのほっぺたを摘み上下横と引っ張った。
「いひゃい、いひゃい、おにいひゃん止めて………」
「面白いから止めない」
「おにいひゃん!!」
ちょっと怒った顔になったので俺は手を放した。
「痛いです…………お兄ちゃんの意地悪…………」
ジド目で睨んでくるが普通に可愛い。
「キャロが遠慮するから悪い。見ろルーを…………ってあれは買いすぎじゃないか?」
カートの上と下のカゴが服で大盛りになっていた。
一体星は何を…………
「ルーちゃん、これも似合いそうね…………あっ、こっちはキャロに…………」
原因は星でした。
隣にいるルーテシアはまるで着せ替え人形のようだ。
「星!!」
取り敢えずこれ以上暴走しないように俺は星に説教しに行った。
「全く、星がああなるなんてな………」
「すいませんでした……………」
結局、俺が注意して半分以上戻した。それでも全部で10万弱ってどういうことだよ…………
店員もびっくりしてたな。
買い終わって、次に文房具コーナーへ向かっている。
「いつもは財布のヒモがかなり固い星があんなになるとは思ってなかったから本当にびっくりしたぞ」
「それは…………」
カートを押している俺の隣で、星はモジモジし始めた。
「い、妹が出来て…………う、嬉しかったので…………………つい…………」
「はぁ………」
まあ気持ちは分かるけどな。
だけど限度を考えて欲しかったな。
「気持ちは分かるが限度を考えろよ。確かに俺達は金には困らない程あるけど、そんなに中学生の子供が使ったらどう考えても変だろうが…………」
「すみませんでした………」
「お兄ちゃん…………」
少し怯えた目で俺に声をかけるキャロ
そんな目で見るなよ、そこまで怒ってる訳じゃないんだから………
「レイ兄、鬼畜ですね………」
「どこでそんな言葉覚えたんだ、ルー?」
「ウェンディが教えてくれた………」
あいつ………後でオシオキだな。
「俺は鬼畜じゃないし、もう怒らないよ」
「本当に?」
「本当………?」
「ああ、むしろ気持ちは大いに分かるしな。それほど妹ってのは可愛いものなんだよ」
キャロとルーテシアの頭を撫でながら俺は言った。
「私………家族じゃない………」
「関係無いよ。俺はウェンディ達もそう思ってるからな」
「…………………ありがと」
少し恥ずかしがりながら言うルーテシア。
「どういたしまして」
そんなルーテシアに俺は笑顔でそう答えたのだった。
「いっぱいあるね」
「ボールペン………?」
ルーテシアがボールペンを持って唸っていた。
そうか、分からないか。
ミッドだとペンなんて滅多に使わないだろうしな。
「ボールペンはまだ早いですね、二人にはこれを」
星は持ってきた鉛筆を二人に見せる。
「細い木の棒?」
「これで叩くの………?」
「何を叩くんだよ…………これはな」
取り敢えず俺は小さい鉛筆削りと鉛筆を一本買ってくる。
「見てろよ」
買ってきた鉛筆をその場で削り始めた。
ちゃんと削ったときに出た屑は買った時のビニールの袋にいれたので問題ないですよ、みなさん。
「わあ、先が尖った!」
「武器………?」
「違うよ、この黒い先で文字を書くんだよ」
そう言って俺は星から紙を受け取り、近くにあった柱を机にして文字を書いた。
「本当だ、書けてる!」
「凄い………!」
「ふふ、そうですね。それじゃあ二人に問題です。レイは一体何と書いたでしょうか?」
俺は2人に書いた紙を見せる。
「……………こんにちは?」
「鬼畜変態ロリコン野郎」
「ルーちゃんはつきっきりで道徳のお勉強をする必要がありますね………」
「恐いのは嫌……………」
星の黒い笑みにルーテシアがリアルに怯えている。
「駄目ですよ。帰ったらオハナシです………」
「ついでにウェンディもな」
「分かってますよ。ウェンディは特にみっちりと…………」
ウェンディ、安らかに眠れ…………
「お、お兄ちゃん、結局何て書いたの?」
「ん?これはな『有栖キャロ』って書いたんだよ」
「これが私の名前…………」
紙を凝視するキャロ。
そして大事そうに紙を折った。
「私、この名前、大事にしますね」
「そうか………そう言ってもらえると俺も嬉しいよ」
「はい。これからもずっとよろしくお願いしますね、お兄ちゃん」
そう言ってキャロは笑った……………
「さて、そろそろ他の皆と合流するか」
「そうですね」
あの後、俺達はキャロ達の日用品なども買って既にカートは二台でカートの買い物カゴは一杯だ。
「さて………あいつらは何処に………」
俺はまず、夜美に連絡した。
『もしもし?』
「ああ、夜美。俺達は買い物終わったんだけど、何処にいる?」
『我たちは今は本屋にいるが………どうするのだ?』
「じゃあ、先ずは夜美達と合流するよ。本屋前で待っていてくれ」
『了解した』
そこで俺は電話を切った。
「夜美達は本屋にいるみたいだ。本屋前まで行くぞ」
「本ですか?」
キャロが興味があるような口調で言った。
「そう言えば……………レイ、キャロ達に何か簡単に読める本を買っておきませんか?」
「そうだな、そっちの方が文字を早く覚えるだろうしな………」
「私、18禁って言う本が…………」
「ルーちゃん………それもウェンディ?」
「ううん、ゼストの部屋に置いてあった。見てみようとしたら部屋から追い出されたの…………」
ゼストさん……………
「ルーちゃん、それは女の子は読んじゃいけないものです。これから先も絶対に駄目ですよ」
「うん…………」
少し悲しそうに返事をするルーテシア。
まあ星の気持ちも分からない訳ではないけど、そこまで批判しなくても……………
「お兄ちゃん、早く行こう」
キャロに言われて俺達は本屋に向かった。
「レイ」
既に本屋の前には夜美とディエチがいた。
手には本屋の袋とSHINEPIECEとロゴの入った袋を持っていた。
確か若者の女の子に人気の店だったっけ?
テレビで特集されていたような…………
「悪い、待たせたか?」
「いや、ちょうど買い物を終えたところだ。問題ない」
「ディエチも面白いもの見つけたか?」
「ああ、このラノベと言われる小説は面白い作品ばかりだった」
買った袋を掲げて俺に言うディエチ。
結構膨らんでるけど、どんだけ買ったんだ?
「それで次はライ達か?」
「ああ、その前にこの二人に本を買ってやりたいんだが…………なるべく簡単な奴」
「なるほど………それならこっちだ」
俺達は夜美の案内で簡単な漫画と本を買った。
ひらがなが多いからこれならひらがなを覚えれば2人とも簡単に読めるだろう。
「さてそれじゃあライ達に電話するか…………」
俺はライ達と合流するために電話したのだった…………
『レイ〜?どうしたの?』
電話の中から大きな音が聞こえてきた。
ということはゲームエリアか?
「俺達は買い物終わったぞ!そろそろ帰るから終わらせろよ!」
『ええー!?もう帰るの!?またARTに突入したのに………』
これはやばいな…………
ライ、パチスロやってるだろ。
更に将来が心配になってきた…………
「分かった、取り敢えず俺が行くまでに終わらせなかったら夕飯連れて行かないからな」
『わ、分かった!直ぐに終わらせるよ!!みんな〜!レイが来るまでに終わらせないと夕飯無しだってー!!』
何か文句の声が聞こえてくるな…………
「文句を言ったウェンディ、お前はダメだな」
『文句を言ったウェンディは夕飯連れていかないって〜!いや、僕に文句を言われても………』
「まあいい、それじゃあ今からそっちに行くからな」
そう言って俺は一方的に電話を切った。
「それじゃあ、ライ達の所へ行くか」
みんなに言って、俺達はライ達の所へ向かった…………
「よし、全員終わってたな」
ゲームエリアの前に着くと、4人はそれぞれ入口で話していた。
「レイ兄!!私は文句言ってないっスよ!!言ったのはノーヴェっス!!」
「ちょ!?お前何姉のせいにしてるんだよ!!」
「うるさいっス!妹の為に体を張るのが姉の役目っス!!」
それを言った時点で自分が言ったと肯定していることに気づいてるか?
「それは自分を慕う妹に姉が言う言葉だ!!お前は私を慕ってないだろ!!」
「それはそうっスけど………」
「肯定するな!!」
…………喧嘩するなよ。
周りの人達が見てるだろうが。
「止めろっての…………冗談だって」
俺にそう言われて渋々喧嘩を止める2人。
「それでどこで夕飯食べる?」
「そうですね…………私達もここにあまり来ませんので………」
「はいはーい!!」
と、そこで一生懸命手をあげて発言権を求めるセイン。
「はいセインさん」
「私はここに行きたいのであります!!」
セインが取り出して見せた紙。
そこには『バイキング、中華、洋食、和食なんでもござれ。お一人様2000円で1時間半食べ放題』
と書かれていた。
なるほど、バイキングか…………
「これなら好きなものを食べられるか……………みんな、ここで良いか?」
みんなを見ると誰も反論はなさそうだ。
「なら決まりだ。ここに行くとするか」
俺達の夕食はバイキングと決まった……………
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