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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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53部分:第五話 張飛、馬超、顔良及び文醜と競うのことその七


第五話 張飛、馬超、顔良及び文醜と競うのことその七

「ましてや俺達の世界にはいねえんだぞ、今は」
「それでどうするというのだ」
「私に言われても困る。とにかく私には妻がいる」
 このことはしっかりと言うのだった。
「それは言っておく」
「へっ、何で俺にはいねえんだよ」
「できればマザーを大切にしてくれる人がいいのだがな」
 さりげなく母親思いのところも見せるアクセルだった。そして会場は今は。
「さて、次は顔良選手と文醜選手ですが」
「あの二人のセンスはね」
 解説者は今日も審配である。ふう、と溜息さえ出している。
「というか猪々子ときたら」
「文醜選手ですか」
「戦い以外はできないのよ」
 まさにそれだけだというのだ。
「おまけに一か八かで。麻雀ばかりして」
「ギャンブラーなんですね」
「それもかなり下手な」
 呆れた口調で言うのである。
「そういう娘だからね」
「では今回も」
「外すわね」
 そう予想しているのだった。
「間違いなく」
「そうですか」
「さて、どんな格好で出てくれるか」
 完全に諦めている顔である。
「見させてもらうわ」
「それでは。大好評の馬超選手に続いて顔良選手と文醜選手です」
 その二人は今会場の物陰にいた。そこで顔良は恥ずかしい様子で文醜に言う。
「あの、これでいいの?」
「今更何言ってるんだよ」 
 顔良に対して文醜が言う。
「人生出たとこ勝負なんだよ」
「そう言っていつも失敗してるじゃない」
 すかさず顔良は突っ込みを入れた。
「全く。猪々子って」
「とにかくだ。行くぞ」
「うん、じゃあ」
 こうしてであった。二人で出る。その手にそれぞれの得物を持っているのはいつも通りだ。しかしその服は何処かで見たような服だった。
「愛と正義の美少女戦士!」
「月にかわってお仕置きよ!」
「うっ、あの二人」
 袁紹もそれを見て思わず引く。
「また猪々子ですのね」
「全く。あの娘ときたら」
「また」
 田豊と沮授も呆れている。
「斗詩も巻き込んで」
「賭けに負けて」
「どうやら次の戦いも」
 袁紹はその呆れた口調で言うのだった。
「貴女達のコントロールが必要ですわね」
「政治は全然できないし」
「やれやれです」  
 そんなことを言う二人だった。そしてその間にも二人はあれこそ何処かで聞いたような台詞を次々と出している。しかしであった。
「ちょっとな」
「これはな」
「何ていうかな」
 観客達の対応は実に醒めている。
「まあいつものことだし」
「慣れてるけれどな」
「それでも」
「採点はするまでもないわね」
 審配も醒めている。
「これはね」
「ええと、その採点ですが」
 実況はここでも真面目だ。
「ううむ、採決のチェックは野鳥の会が行ってくれていますが」
「それでもこれは」
「はい、張飛、馬超組の勝ちです」
 結果としてそうなってしまった。顔良と文醜には殆ど票が入らなかった。
「うう、折角センスのいいの選んだのに」
「だからあれじゃあ駄目よ」
 顔良も言うがそれでもだった。採決は決まった。
 
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