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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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518部分:第四十一話 周喩、病が治るのことその十


第四十一話 周喩、病が治るのことその十

「生きるべき者を生かす為にな」
「では私はか」
「生きる運命なんだ」
「そうなのね」
「そうだ、だから病は癒された」
 他ならぬ彼によってである。
「これからあんたの果たすべき役割を果たすんだ」
「わかったわ。それじゃあ」
「それじゃあな」
「ただ。一つ守ってくれるかしら」
 周瑜は起き上がって服を着ながらだ。そうして彼に言うのだった。
「私が労咳だったことは」
「言わないでおくんだな」
「ええ、誰にもね」
 これが彼女の願いだった。
「言わないでくれるかしら」
「それはわかっている」
 華陀の返事は強いものだった。
「俺は医者だ。そうしたことは絶対に守る」
「そうしてくれると助かるわ」
「あんたは優しい人だな」
 華陀は周瑜にこうも言った。
「本当にな」
「私が優しいというのね」
「それはあんたの友人達を気遣ってのことだな」
 華陀はこのことをもう見抜いていたのだ。
「既にだな」
「それは違うわ」
「違うのか?」
「ええ、違うわ」
 自分ではこう言う周瑜だった。
「それは絶対にね」
「そう言うんだな」
「ただ。誰にも言わないことはね」
「それは安心してくれ」
「貴方を信じるわ」
 こう話す彼だった。
「そうさせてもらうわ」
「信じてくれ。それでは俺はだ」
「御礼は」
「ああ、それはいい」
 笑ってそれはいいという彼だった。
「別にね。それはいいから」
「いいというのね」
「俺はその為に医者をやってるんじゃないからな」
「では何の為にかしら」
「決まっている。病に悩み苦しむ者を救う為だ」
 その為だというのである。
「医術は仁術だからな」
「それでだというのね」
「そういうことだ。わかってくれたか」
「まさに名医ね」
 周瑜は華陀のその言葉を聞いて微笑んで述べた。
「貴方は。天下の宝ね」
「ははは、褒めたって何も出ないぞ」
「それはわかっているわ。私が思ったことを言っただけよ」
「そうなのか」
「そうよ。ただ御礼はさせて欲しいわ」
「だからそれはいいのだが」
「遠慮はよくないわ」
 ここではだ。周瑜も引かなかった。そうしてまた言うのだった。
 華陀に対してだ。あるものを出してきたのだ。
「これは」
「宝玉よ」
 何個かあった。それを彼に差し出してきたのだ。
「まずはこれよ」
「まずは」
「それでだけれど」
 さらにだ。周瑜は彼にさらに言ってきたのだった。
 
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