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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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517部分:第四十一話 周喩、病が治るのことその九


第四十一話 周喩、病が治るのことその九

「しかもあんたの顔色だとだ」
「本当にまずいのね」
「そうだ、時間は少ないな」
「じゃあ私は」
「安心しろ。今なら充分間に合う」
 この言葉はだ。周瑜にとってはまさに福音だった。しかし彼女はこの言葉に表情をみせずにだ。表情を消して華陀に返すのだった。
「そうなのね」
「そうだ、まずはだ」
「まずは?」
「まずは服を脱いでくれ」
 そうしてくれというのである。
「まずはだ。そうしてくれ」
「服を」
「あまり脱がなくていいような気もするがな」
 周瑜のその服を見ての言葉だった。確かに露出はかなりのものだ。
「それでもだ。脱いでくれ」
「ええ、じゃあ」
 周瑜は彼の言葉に頷き服を脱ぎはじめた。ブラは着けていなく胸が露わになっている。紫の面積の少ないショーツだけになっている。
 その姿で仰向けになってベッドに横たわる。するとだった。
 華陀はあるものを出していた。それはだ。
「針か」
「まずはこれを使う」
 そうだというのである。
「これで労咳を吹き飛ばす」
「針でできるのか?」
「俺の針は特別だ」
「労咳は針で治る病だったのか」
「普通は違うがな」
 このことは断る華陀だった。
「だが俺のこの針に治せない病はない」
「では本当にだな」
「手遅れでない限りは治せる」
「そうか。手遅れではないのか」
「できる。それではだ」
 こう話してであった。華陀はあらためて針を構えた。そうしてだった。
「病魔よ!」
 右手に持った針を高々と掲げてだった。彼はここでも叫んだ。
「光になれーーーーーーーーーーーっ!!」
 こう叫んで周瑜のその豊かな胸と胸の間に針を打ち込んだ。するとだ。
 黄金の光がそこから放たれた。するとだった。
 周瑜の顔色がみるみるうちに明るくなった。日が差してきたようにだ。するとだ。
 華陀は彼女のその顔を見ながらまた言ったのである。
「これでまずはいい」
「いいのね」
「そうだ、それでいい」
「いいの」
「そうだ、いいんだ」
 そうだというのである。
「これでな」
「それでは私は」
「これで助かった。だが、だ」
「だが?」
「暫くはこれを飲んでいてくれ」
 言いながらあるものを出してきた。それは緑色の丸薬だった。数粒ある。
「この丸薬をだ」
「それをなのか」
「ぺにしりんという」
 それだというのである。
「ぺにしりん草を元に色々な薬を調合したものだ」
「それを飲めばいいんだな」
「ほぼ完治したがそれでもまだだ」
「まだなのか」
「そうだ、まだだ」
 こう言うのだった。
「病魔の残りはまだ残っているからな」
「わかったわ。それじゃあ」
「あんたは生きる運命なんだ」
 華陀は周瑜にこうも話した。
「おそらくな」
「生きる運命、私が」
「だから俺があんたのところに来た」
「そうだというのね」
「どうやら俺は天命のままに動いているらしい」
 ここではだ。華陀は運命論を述べた。しかしそれは己の責任を回避するものではなくだ。そこに己の義務を感じながらの言葉だった。
 
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