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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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506部分:第四十話 曹操、華陀に会うのことその十一


第四十話 曹操、華陀に会うのことその十一

「死になさい!」
「うわっ、いきなり何をする!」
「この変態!ここで成敗してあげるわ!」
「待て、それで本当にだ」
「できる筈ないでしょ!」
 怒りに燃えながらまた鎌を繰り出す。右から左に、左から右にだ。
「後ろの穴に。そうして」
「だからそれは誤解だ!」
「誤解じゃないわ!そこになおりなさい!」
 首を切ろうとするがだった。それは身体を屈めてかわす。しかし鎌が頭上を一閃してだ。赤い髪の毛が僅かに切られてしまった。
「ううむ、危ないところだったな」
「逃げるのね!」
「だから話を聞いてくれ!」
「効いたわよ、だからよ!」
「何て理不尽な話だ!」
「春蘭!秋蘭!」
 曹操はここで二人を呼んだ。
「この狼藉者を成敗しなさい!」
「はい、華琳様!」
「まさかその者!」
「私を辱めようとした不埒者よ!」
 完全にそうみなしている曹操だった。
「容赦する必要はないわよ!」
「何と、華琳様をとは」
「許し難い男だ」
 夏侯惇と夏侯淵も曹操の言葉に怒りを帯びた。そうしてだった。
 それぞれ大刀と弓を構えてだ。倒そうとする。
「死ね!その首叩き落してやる!」
「心臓はそこだな!」
 華陀はまさに絶体絶命だった。しかしであった。
 ここでだ。いきなり天井を突き破ってだ。二人の男がやって来た。
「はい、ダーリン」
「迎えに来たわよ」
「な、何だこの連中は!」
「妖怪か!?」
 夏侯惇と夏侯淵は彼等を見てすぐにこう断定した。
「何故ここに出て来た!?」
「それも天井を破ってだと」
「それがどうかしたのかしら」
「ねえ」
 貂蝉と卑弥呼は二人の驚きの言葉に自分達がきょとんとなっていた。
「こんな天井なんてね」
「私達にとってはないのと同じよ」
「くっ、この連中まさか」
「本当に妖怪か」
「だから妖怪じゃないわよ」
「失礼しちゃうわね」
 二人はまだ言う。
「こんな乙女を捕まえて妖怪だなんて」
「あまりにも酷いわ」
「どう見ても男だろうが!」
「そうだな、姉者の言う通りだ」
 夏侯惇と夏侯淵はまた言った。
「どちらにしろ華琳様にはだ」
「指一本触れさせぬ!」
「安心しなさい、その娘には何もしないわ」
「私達おなごには興味がないのよ」
 そうだという彼女達だった。
「好きなのはあくまでおのこだから」
「今はダーリンね」
「とにかく人間ではないな」
「少なくとも女ではない」
 これは誰がどう見てもであった。この姉妹だけではない。
「妖怪退治も武人の務め」
「ならばここで」
「だから妖怪じゃないわよ」
「乙女なのに」
 二人はまだこう主張する。自分達は乙女だとだ。
 
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