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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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505部分:第四十話 曹操、華陀に会うのことその十


第四十話 曹操、華陀に会うのことその十

「しかもお薬って。切られて気付かないって」
「そうだ、全く気付かないまま眠るんだ」
「そんなお薬を使ってもう一度起きられるの?」
「そのことか」
 何故かだった。華陀は不意にどす黒い微笑みになった。そうして時間を少し置いてだ。そのうえで曹操にこう答えたのであった。
「大丈夫だ」
「本当に?」
「・・・・・・多分な」
「じゃあそのタイミングと笑顔は何なのよ」
「気のせいだ」
「気のせいじゃないでしょ」
 曹操は華陀の今の言葉にそう返さざるを得なかった。
「あんた、ひょっとしてそれで失敗したことない?」
「一回だけしたことがあるが失敗はしなかったぞ」
「一回だけでわかる筈ないじゃない」
 曹操はこう反論した。
「それで死んだら冗談じゃないわよ」
「じゃあこれはしないのか?」
「ええ、しないわ」
 はっきりと言い返す曹操だった。
「絶対にね」
「そうか、わかった」
「他にはないの?」
 曹操は華陀にあらためて問うた。
「他にはないの?治し方は」
「あるぞ」
「あっ、そうなの」
 そう言われてだ。また笑顔になる華陀だった。
「それじゃあそれはどういうの?」
「針を使う」
「針をなの」
「しかも特別な針をだ」
 それをだというのだ。
「それを使えば一発で終わるぞ」
「そんなに効くのね」
「一ヶ月だろうが二ヶ月だろうが出る」
「それはまた凄いわね」
「しかもすぐにだ」
「じゃあそれを御願いするわ」
 曹操は華陀に対して飛びつかんばかりになって言った。
「それでね」
「うむ、それではそれをだ」
「それでどういう針なの?」
 慎重な曹操はそれを聞かずにはいられなかった。
「その針って」
「うむ、俺は普段は普通の針を使うのだがな」
「ええ」
「ここでは中から薬が入る針を使う」
「随分変わった針みたいね」
「浣腸と言う」
 そうしたものだというのだ。
「それを使う」
「浣腸?」
「まずは身体の下を温めだ」
 左手の人差し指を上にやって説明をはじめる。
「そして腹や尻を摩りだ」
「うっ、そうなの」
「そしてそちらにその針を入れて」
「えっ、何ですって?」
「薬を入れて出すのだ。これなら一発だぞ」
「な、ななな・・・・・・」
 華陀の話を聞いてだ。曹操の顔が一気に赤くなった。
 そうしてだ。彼に対して言うのだった。
「あんたそれ何なのよ!」
「何とは?」
「そんな変態みたいなことできる筈ないでしょ!」
「変態ではないぞ。これはかなり効果があってだな」
「後ろの穴に突っ込むって。そんなこと出来る筈ないでしょ!」
 これが曹操の言い分だった。
「あんたまさか」
「まさかとは?」
「私を辱める為に。しかもそんなえげつないことで」
 曹操にはそうとしか思えないことだった。まさにだ。
「どうやらここは」
「どうしたんだ?急に鎌なぞ出してきて」
 曹操は何処からか己の大鎌を持って来てだ。全身に紅蓮の炎を帯びさせてそのうえで華陀に向って突き進む。そうしてだった。
 
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