生徒会”執行部”と”捜査部” ~舞い散る桜STKとの出会い~
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18.プールに潜んだ獣
そして次の日の放課後。作戦結構だ。
古賀先輩はなにがあってもすぐに駆けつけられるようにスタンバイ、茨音さんは河野先生がいると思われる監視室向かい、会長と小林先輩は水泳部員のみんなと協力して隠しカメラを設置&撮影。
河野先生との話が終わった茨音は監視室から出て来くる。準備オッケーと会長が春に向かって手を振る。それを見て了解と小さく頷く。
今日ここには蒼先輩はいない。河野先生の視線の先を春だけにするためだ。
心なしか河野先生の目が変な方向に向いていると思ったのは私だけ…?
プールで気持ちの悪い視線を感じながら一通り泳ぎ終わると、茨音さんが「トイレ一緒に行かない?」と誘ってきた。
これも作戦の内。トイレなら河野先生の目は無い、その隙に撮れたら写真と映像を確認するのだ。
トイレに行くふりをしながら、隠れていた会長たちとバトンタッチ。
小林先輩がプールで泳ぎ、会長がバレないようにこっそりと監視室の中が見え、声が聞こえる場所にボイスレコーダーとカメラを置いてくる。
トイレに入った後、茨音さんと春は撮った証拠品を確認する。
「うわっずっと春のこと見てるよ! キモ!」
河野先生はずぅーーと執拗に春だけを見つめている。水泳部顧問なのに、水泳部員ではなくただの一生徒の春熱い眼差しで見つめている写真ばかり。
撮った映像には……「蒼も良かったが風月も中々上玉じゃないか……グヘヘ。どうやってアソンデやろうかなぁ」気持ちの悪い獣が写っていた。
カメラにはバッチリと証拠が撮れていた。後はこれを豚饅頭に突きつけて、全国の女子生徒達に謝罪の言葉を乞うだけだ!
(話が大きくなっているような気がする…でもない)
ここからは春、独りで頑張らないといけない。怖くないと言えば噓になるが、こんなの放っておけない! 世の中に放置してはいけない人物だと思う! 河野先生はちゃんと然るべき刑罰を受けないといけない。
そう思って自分を奮い立たせて春は飛び込むように監視室へと入っていった。
【で】
沢山の書類やら機械やらが散乱とした監視室にて。
「失礼しまふ先生」
「お、風月がこんなところに来るなんて珍しいな。さっきは茨音が来たし、今日はお前ら(捜査部)はなにしようと企んでいるんだー?」
ニタニタと笑う河野先生。少し前では別にただの馴れ馴れしい先生だなと思うだけだっただろう、けど今は違う。この笑顔を見ていると腹が立ってしょうがない。
「どうしたんだー? そんなところで固まって…ほらこっちに来いよ」
河野先生は自分の膝の上をポンポンと叩く、それは貴方の膝の上に乗れと? 絶対に無理!
…正直言って気持ち悪い、もう回れ右して帰りたい。でもどうにかここで言わなくちゃヘマしたことになって捜査部のみんな、協力してくれた水泳部のみんなに迷惑をかけてしまうれす。
私は深く深呼吸…五秒後…河野先生の顔を向いてすぐにスッと息を吸って言った
「河野先生、貴方に…
女子水泳部員たちから盗撮の疑いがかけられているれす」
言った! 言ってやった! 嬉しくてつい小さくガッツポーズをしてしまった春に
「何がそんなに嬉しいんだ? 風月」
「っ!!?」
椅子に座っていたはずの河野先生が立ち上がり春のすぐ傍にまで迫って来ていた。大人の男性、春より当然背が高く大きい。
「っ」
このままでは危険と本能的に判断し、監視室をいったん出る。
「おいおぃなにも逃げることはないだろう? せんせー泣いちゃうなー」
「嘘吐き」
「あ?」
逃げ惑っているとプール際まで追い込まれた。他の人達は安全のため避難している、事実上今ここには春と河野先生しかいない。
「ほらそこは危ないから、俺のところへおいで?」
腕を広げじりじりと近づいて来る河野先生に向かって
「証拠があるんれすよ!」
トイレから出る際、茨音さんから借りたジャージ上のポケットに入っていた小型カメラを目の前に突きつける。
「このカメラに映ってまふ。ハッキリと!」
自分で言ってトイレで見た河野先生の気持ち悪い映像がフラッシュバックし、恐怖に体が震える。だけどここで負けたらいけない! 全世界の女子生徒のために!
(…どんどん話が大きくなっているような気が…以下略)
河野先生にカメラを見せつけてから先生の様子が可笑しい
「キヒヒヒヒ」
変な笑い方/奇声をあげ
「ニヒィ~」
まるで化け物が美味しそうな獲物を見つけ喜びの笑みをこぼしたような表情を春に向ける。
危険だ、この人は危険だ! と本能が春に警告を鳴らす。
でもここで引き下がるわけにはいかない、一歩前に踏み出し
「河野先生。謝ってくださいれす……被害にあった女子生徒たち、蒼先輩そして…
曳鬼谷 愛さんの事件を認め自首しれくらはい!!」
「ヒャファァァァ!!!」
ドシャアアアン!!!
何がいけなかった?
何を間違えた?
あぁ……そうだ
曳鬼谷さんの名前を出した時だ
河野先生が突然襲い掛かってきて
「ヒャファァァァ!!!」
そんな大きな怒声を響かせた河野先生を見ながら私は鈍い衝撃を受けて体をプールへと傾かせてそのまま
体が言うことを聞かない苦痛に耐えながらもプールへと落下して沈み込んだ…
体のどこもかしこもが衝撃で痛い
体の自由が効かない/動かない
水の中にいるから息も出来ない、次第に意識は遠のいて私はプールに沈みながら、瞳を閉じて意識も暗闇の中に沈ませた。
続く
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