恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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492部分:第三十九話 幽霊、袁術を驚かせるのこと十一
第三十九話 幽霊、袁術を驚かせるのこと十一
「だからだ」
「そうそれじゃあだけれど」
「うむ」
「星ちゃんでどうかしら」
幽霊のその被りものの下からの言葉だった。
「それで」
「うむ、いい感じだ」
趙雲は真名を呼ばれてにこりと笑った。
「それではだ」
「これからはそれでね」
こうしたやり取りの後でだった。一同は相変わらずベッドの中で実に気持ちよさそうに寝ている袁術を囲んだ。それからだった。
「さて、一二の」
「三で」
驚かそうとした。しかしであった。
「起きるのだ、袁術よ」
「えっ」
「あれっ!?」
「もう!?」
一同今の言葉にきょとんとなった。それは劉備のものだったのだ。
「劉備殿もうか?」
「出番早いんじゃないのか?」
「ちょっとね」
「どうなってるの、これって」
孔明と鳳統もだ。劉備の声には少し戸惑っていた。
「はわ?劉備さんちょっと早いですよ」
「そうです。劉備さんらしくないです」
おっとりした劉備にしてはだと。二人もおかしいと思った。
しかしであった。劉備の声はまたしてきた。
「起きるのだ」
「起きるって」
「脚本とも違いますし」
孔明と鳳統はまた話した。
「脚本通りにしてもらわないと」
「困ります」
だが。それでもだった。
話は続く。袁術の上にその劉備が出て来てふわふわと浮かぶ。淡い白い服を着て何処か虚ろな顔で髪を漂わせてだ。そうしていた。
「浮かんでいる?」
「糸を使っているのだ?」
関羽と張飛はこう考えた。
「何時の間にあんなことを」
「凄いことになってるのだ」
「劉備さん何時の間に?」
「こんなこと考えてませんでした?」
また言う孔明と鳳統だった。
「けれどこれは」
「かなり凄いことになってます」
結局二人は劉備に任せるしかなかった。ここはだ。
「もうこうなったら」
「劉備さんにどんどんやってもらいます」
こう言って覚悟を決めた。劉備を見守るのだった。
その劉備はだ。袁術にまた言った。
「起きるのだ」
「さっきから何じゃ?」
ここでやっと起きた袁術だった。
「わらわを呼ぶのは」
「目を開けるのだ?」
「だから何じゃ。急な政か?」
こんなことを言いながら目を開けるとだった。そこにだった。
「な、何じゃ御主は!」
「化け物なぞ怖がるでない」
「そういう御主は何なのじゃ!」
「幽霊だ」
そうだというのだった。
「私は荊州の南部にいた」
「あ、あの場所か」
「そなたが牧として統治しない為に賊が蔓延りそれに殺されたのだ」
「何っ、賊に」
「そうだ」
その通りだというのだった。
「そのことを言いに来たのだ」
「わらわにか」
袁術はここでベッドから起き上がった。そのうえでまだ自分を見下ろしている幽霊を見る。だが恐怖のあまりその顔が劉備そっくりとは気付いていない。
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