黄金バット 第十五話 フー=マンチュー博士のUFO
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第四章
「その規模の雷が落ちればどうなる」
「核兵器と変わらないぞ」
「いや、それ以上か」
「それだけの雷が落ちれば」
「そうなってしまうと」
「諸君等で防げるものではない」
やはりです、博士はにこりともせずに言います。
「死にたくなければ今のうちに逃げるのだな」
「市民を避難させろ!」
議長さんは報告を受けてすぐに東京から指示を出しました。
「総理も許可して下さった!それだけの大きさの雷はどうしようもない!」
「わかりました!」
現場の自衛官の人達もすぐに応えました。
「ではすぐに!」
「市街の外までだ!」
「誘導をはじめろ!」
「すぐにかかれ!」
市街地に傲然といたまま立っている博士に警戒態勢を敷いたままで、です。自衛隊の人達は市民の人達を避難させる為に動きはじめました。その函館の夜空の上にです。
博士のUFO、妖術で造られた巨大な雷の球が落ちてきました。皆それを観て言いました。
「駄目だ、間に合わない!」
「何て大きさだ!」
「凄い速さで落ちて来るぞ!」
「もう駄目だ!」
函館の人達も自衛官の人達も叫びます、どんな避雷針でも意味がないまでの巨大さです。その巨大な雷がです。
まさにです、落ちようとした時にでした。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
「くっ、その声は!」
博士は夜の函館のビルの屋上から聞こえた高笑いに顔を顰めさせました。笑い声が聞こえてきたその方に顔を向けて。
「出て来たか」
「この笑い声は」
「間違いない」
「ここで来てくれたんだ」
函館の人達、自衛隊の人達は博士と逆でした。まさかというお顔になっています。
「黄金バット!」
「黄金バットが来てくれたんだ!」
「ここで!」
高笑いがしたビルの方を見るとです、確かにでした。
マントをたなびかせ両手を腰に置いた黄金バットがいました、誰もが黄金バットのその勇姿を観て言いました。
「来てくれたぞ!」
「黄金バットが来てくれたぞ!」
「助けに来てくれたぞ!」
皆口々に管制を揚げます、そしてです。
黄金バットは迫る雷にでした、右手に出した杖を放り投げました。すると。
凄まじい衝撃音がしてでした、落下していた雷の動きが止まり。瞬く間に消えていってしまいました。
その光景を観てです、自衛隊の人達は言いました。
「雷を吸収したか」
「そうしたのか」
「杖でそうしたのか」
「あの巨大な杖を」
「まさかそうしてくるとはな」
博士も雷が消えた方を観て言うのでした、とても忌々しげに。
「杖で雷を全て吸収するとは」
「やはりそうしたのか」
「流石は黄金バットだ」
「凄い力だ」
「全くだ」
「私の負けだ」
博士も認めるしかありませんでした、実際に雷は消えてしまったので。
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