【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。
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0091話『二日目の浴衣祭り』
前書き
更新します。
昨日に引き続き、浴衣祭りは開かれていた。
本場の方では明石が鉄骨番長とか呼ばれていて大本営の大淀とともに一般人と写真撮影をしていたとかいう話を聞いた。
なんでも妖精さんを明石が操作する特別な艤装で遊ばせている光景があってそんな遊んでいる妖精の姿が見える子には提督になる資質があるというある意味将来を決めかねない行事もあったりとかなんとか……。
他にも法被仕様に身を包んだ速吸がお店で料理を運んだりしていたとか。
それぞれにあった艦娘の使い方を遊園地は実施しているらしい。
楽しそうだけど私は私で地元の町の活性化に貢献しないといけないので新情報とかは後日に確認するとしよう。
それで私は昨日に引き続いてまた浜風に着付けをしてもらいながら町内会でパンダのような状態になっていた。
何度も人が私のとこに来ては、
『これからも頑張ってね』やら。
『俺も応援しています』やら。
『提督さんの浴衣姿、ハァハァ……』やら。
と、握手を求められていた。
……最後の人に関しては憲兵さんにぜひ引き渡したいと思った私は悪くない。
そんなこんなで午前中はそれを繰り返していてお昼になって食事を摂った後に、
「提督さん。この後はもう大丈夫ですので町の中を散策して来ても大丈夫ですよ」
「いいんですか……?」
「ええ。収益に関しましてはかなり黒字に転じていますのでこれも普段の提督さんの行いの成果ですね」
それで町長さんは満足そうに頷いていた。
私も恥ずかしいやらなにやら。
「それでしたらお言葉に甘えておきますね」
「はい。いってらっしゃい」
それで町長さんに見送られた後に私は近くに誰かいないかと視線をさまよわせていると特徴的な電探を頭の左右にぶら下げている叢雲の姿があった。
どうやら今は一人のようで椅子に座って綿あめを食べているようであった。
なので近寄っていく。
「叢雲」
「あら……? 司令官、町内会の方はもういいの?」
「ああ。自由にしていていいという話なんで暇をもらったからこれから町の露店に繰り出そうかなと思っていたんだ。そういう叢雲はどうして今は一人なんだ……?」
「ええ。吹雪の奴に連れてこられたんだけど……あの子、艦娘音頭の会場の方にいっちゃって私一人が取り残されちゃったのよ」
「そっか。……なら私と一緒に回らないか?」
私は叢雲を誘ってみることにした。
それに対して叢雲は少し頬を赤くさせながらも、
「いいわよ。付き合ってあげるわ」
そう言って私の手を取ってくれた。
少し恥ずかしいのか私の顔はあんまり見ないようにしている辺り素直じゃないなぁ……。
まぁそんなところも可愛いところなんだけど。
それで叢雲と一緒に露店巡りを始めた私。
そして最初に目に入ったのがザラがやっている屋台でパスタを作っている光景だった。
それと向かい側ではプリンツオイゲンがホットドッグを作っている姿も見えた。
両者とも結構な客数のようで並んでいる光景が目に入る。
そこでプリンツオイゲンが私の姿に気づいたのか、
「あ! 提督-! よかったら私のお店に寄ってくださいね!」
「わかった。それとビスマルクとかはどうしたんだ……?」
「ビスマルクお姉さまはマックスやレーベ達と一緒にビールを提供していますよ」
私と会話をしながらもホットドッグを作る手は止めないプリンツに感嘆の声を上げていると、
「ちょっとあなた? あっちのもおいしそうじゃない?」
「ザラの方のパスタか?」
叢雲に促されてザラの方へと向かおうとする前に、
「それじゃプリンツ。後でまた買いに来るよ」
「はい! お待ちしていますね」
それで私と叢雲はザラのパスタ店へと向かう。
「あ、提督。こちらにも来てくれたんですね」
「ああ。ザラ、それで叢雲に一つ作ってくれないか? 食べたそうだったんで」
「あっ……ちょっとぉ」
叢雲は少し反論したい感じだったけど自分から誘った身としては言葉が出てこないのだろう。
「……まぁいいわ。ザラさん、一つくれないかしら?」
「ムラークモ、grazieです!」
それでザラはすぐに叢雲に本場の特性パスタを作って叢雲に提供していた。
叢雲はそれでお金を払おうとしているけど、
「あ、私が払うよ」
「無理しなくてもいいのよ……?」
「このくらいなら平気だよ」
「ならお言葉に甘えておこうかしら」
すぐに素直になった叢雲。
感情に呼応しているのか叢雲の電探がピンクに光っていた。
分かりやす過ぎて微笑ましいな。
それで笑いを堪えながらもお金をザラに払い私達は近くに椅子に座った。
叢雲はザラのパスタを口に入れるたびに、
「たまに鎮守府でも食べさせてもらえるけどこういう露店で買ったものを食べるのも乙な物よね」
「そうだろう?」
叢雲はこういった露店での飲食は初めてのようで少しウキウキしているみたいだった。
「ほら。あなたにもあげるわよ」
そう言って叢雲はパスタを起用に箸で掴んで私に出してきた。
少し恥ずかしいけど落ちちゃうのも悪いのですぐに食べさせてもらった。
「うーん。確かにボーノだな」
「そうでしょ。よかったわ。さすがザラさんのパスタね」
そんなやり取りをしながら寛いでいると周りからなにやら色々と聞こえてくる。
耳を澄ませてみると、
『提督さん、食べさせてもらっちゃって……可愛い』やら。
『叢雲殿は可愛いですな』やら。
他にも色々……。
それで少し気恥ずかしくなった私は、そして叢雲も気づいたのか顔を赤くして、
「い、いきましょう……」
「ああ……」
それですぐにその場を退散したのであった。
背後で微笑ましい表情の住民の方々がいたけどこの際気にしないでいこう。
それから色々と艦娘達がやっているお店を巡りながら楽しんだ私と叢雲。
最後に艦娘音頭が始まるというので、
「叢雲。一緒に踊りに行くか……?」
「いいんじゃない? いきましょう」
それで叢雲と一緒に会場へと向かうと、
「あ! 司令官に叢雲ちゃん。いらっしゃい!」
そこでは赤い法被を着たお祭りmodeの吹雪がいて私達を歓迎してくれた。
「吹雪もうまい具合に溶け込んでいるな」
「はい! とても楽しいです!」
元気にはしゃぐ吹雪の姿を見て和む私と叢雲。
「楽しそうでなによりだわ。私達も一緒に踊らさせてもらうけど構わないわよね?」
「叢雲ちゃん! それに司令官もぜひ踊っていってください!」
そしてちょうどよく始まる艦娘音頭。
見れば中心で深雪が太鼓を叩いている光景が映って似合っているなぁと思ったり。
「そいやッと!」という掛け声とともに太鼓を叩いているので楽しそうだ。
それで私達も踊りをしながらも艦娘音頭を楽しませてもらうのであった。
「こんな楽しみ方もいいものね」
「そうだな叢雲」
叢雲はここ一番の笑顔を私に向けて来てくれた。
楽しんでいるようでよかった。
こうして叢雲と廻った一日は終わりを告げていくのであった。
後書き
叢雲と回る露店巡りでした。
こんな感じで二日目も終わりです。
なにか新情報が出ればいいのですが……。
せめて睦月型は誰が改二に来るのかはっきりしてほしいです。
もう今育成中の菊月以外の睦月型の面々は全員最低ラインの70まで上げてしまいましたから。
それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。
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