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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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447部分:第三十六話 親父達、新たに加わるのことその五


第三十六話 親父達、新たに加わるのことその五

「では皆さん」
「はい」
「もう終わりですね」
「夜も遅いですしそれぞれの天幕にお下がりなさい」
 そうしろというのだった。
「いいですわね。そして休みなさい」
「わかりました。それじゃあ」
「お言葉に甘えまして」
 皆袁紹のその言葉に頷く。そうしてであった。
 それぞれの天幕に戻り休息に入った。袁紹も自身の天幕の中で休息に入った。この夜はそれで終わったのであった。
 その草原にだ。今三人の男達がいた。
「タクマ殿、ここは何処だ」
「ううむ、わしにもわからん」
「私にもだ」
 見れば三人共中年であった。一人は白い道着に黒い髪を後ろに撫で付けている。逞しい顔をしている。
 一人は黒い着物に灰色の袴だ。そして着物の背には日輪がある。髭の顔に黒い髪をしている。
 最後の一人はグレーの軍服にベレー帽の隻眼の男だ。右目には眼帯をしている。この三人の男達がだ。草原の中であれこれと周囲を見回しているのだ。
 ここでだ。道着の男が着物の男に問うた。
「それで柴舟殿」
「うむ」
「我等はそもそもどの国にいるのだ」
 まずはこのことから話をしていた。
「それがわからないのだが」
「わしもだ」
 柴舟と呼ばれたこの男もこう返す。
「一体何処だ、ここは」
「見たところだ」
 眼帯の男が言う。
「ここは」
「ハイデルン殿、わかるというのか」
「そうなのか」
「おそらく中国だ」
 ハイデルンと呼ばれた男はこう二人に答えた。
「この国はだ」
「中国なのか」
「そういえばここは」
 二人はハイデルンのその言葉を受けて周囲に顔を向けた。そうしてだ。
 草原を見てだ。そして言うのだった。
「モンゴルなのか」
「そうだな。外モンゴル辺りか」
 そこではというのだった。
「先にあれが見えるな」
「壁、つまり長城だな」
「あれが見える。それに」
 ハイデルンはここで懐から磁石を取り出した。そうしてそれで方角を確かめてだ。それからまた二人に対して言うのだった。
「北が向こうだからだ。長城は南にある」
「ではここは中国の北だな」
「そうなるか」
「そうだ、中国の北だ」
 そこだというのだった。
「今我々がいるのはな」
「ううむ、それはわかったが」
「それでもな」
 二人は腕を組んで考える顔になって話す。
「何かが違うな」
「そうだな、中国にしては何かがだ」
「まず空気がいい」
 ハイデルンはこのことを指摘した。
「それもかなりな」
「確かにな。空気がいいな」
「日本よりもずっといい」
「ここまで奇麗な空気は有り得ない」
 ハイデルンはさらに話した。
「我々の時代の中国ではないな」
「そういえばあの長城は」
「うむ、違うな」
 二人は長城を見て話した。遥か南にあるがそれでもだ。二人の目には見えているのだ。
「あの城の如きものではない」
「ただの壁だ」
「あの長城は二千年程前のものか」
 ハイデルンは左目でその長城を見ていた。
 
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