レーヴァティン
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第十二話 港においてその四
「気にしないでくれよ」
「左様ですか、しかし」
「しかし?」
「今奥にいるその青年も」
「そいつもこうした顔立ちかい?」
「はい、アジア系です」
そちらの感じだというのだ。
「貴方が言われるアジア系です」
「ああ、そうなんだな」
「それで貴方もと言われまして」
「納得したんだな」
「そちらも今」
久志が他の世界から来あt人間と言われてもといいうのだ。
「納得しました」
「成程な」
「そして、ですね」
「ああ、出来たらな」
これからとだ、久志は神父に再び言った。
「そいつに会わせてくれよ」
「暫しお待ち下さい、もう少しです」
「そいつがここに来るんだな」
「左様です」
そうだというのだ。
「ですから」
「わかったぜ、それじゃあな」
「では今は」
「待つな」
神父に明るく笑って述べた。
「ゆっくりとな」
「では何処かの席におかけになって下さい」
「いや、それはいいさ」
久志は神父が席を勧めるのは笑って断った。
「そこまではいいさ」
「そう言われますか」
「どっちみちすぐだろ」
「この教会の中なので」
「だったらな」
今はというのだ。
「座るまでもないさ」
「それでは」
「そいつを待つさ」
「わかりました」
神父も頷いた、そしてだった。
神父が教会の奥に入り暫くして久志よりやや小柄で白い神官の服を着た眼鏡をかけた黒髪の青年を連れて来た、確かに目は黒く彫の浅いアジア系の顔立ちだった。全体的に知的な顔立ちである。
その青年を見てだ、久志はすぐに彼に言った。
「あんたが外から来た奴のうちの一人か」
「そう言う君は」
「ああ、有栖川久志っていうんだ」
久志は青年に笑顔で名乗った。
「外の世界から来たぜ」
「君も」
「ああ、それであんたもか」
「そうだよ」
青年は微笑んで久志に答えた。
「僕も来たよ」
「何でもこっちの世界じゃ司祭さんらしいな」
久志は彼を連れて来てくれた神父を見つつ彼自身に問うた。
「それもかなり出来る」
「出来るかどうかわからないけれど僕は神父だよ」
青年は微笑み久志に答えた。
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