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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第四章 RE:BIRTH
  Raid Story


「オッケー。じゃああとはそっち地区の住民を収容すれば大丈夫だ。で、こっちを詰めればまだ入るからいったんそこに入れといてくれで・・・・・」



コンソールを叩く音。
蒔風が今は四つほど浮かんでいるモニターを前にして、避難経路や避難所の収容状況を確認し、指示を出していた。

今はこんなことしかできない自分が嫌だが、しょうがない。
戦いに赴くと考えただけで震えてきてしまう男が出しゃばったところで、足手まといにしかならないのだから。



「くそ・・・・また誰か負傷したのか?」

「EARTH」の中でも、人の出入りが激しい。
それのほとんどは負傷者や疲労した者が一時撤退しに来たことを表している。

無論、ほかにも中継所は多くあるのだが、ここの設備が一番いいのは言うまでもない。



と、そこでプシュ、と軽い音がして扉が開く。

誰か来たのかと振り返る蒔風だが


「んお!?」


視界にその人物を捉える前に、首根っこを掴まれて引きずられていった。


「行きますよ」

「え?え!?アリス!?なになになに!!なんで引きずられてんの俺!?」

「行きますよ」

「怖い!!なんか別の言葉しゃべってよ!!」

「イキマスヨ」

「ニュアンスのことじゃねーよ!!ってかもっと怖いわ!!」

「行きますYO」

「あ、楽しくなった。じゃなくて!!」



そのまま引きずられていく蒔風。
一体どこに連れて行かされるというのか。



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「いやだ!!行きたくない!!」

「わがまま言ってんじゃないです(パーン)」

「ビンタっ!?」



アリスが告げた行き先。
そこは機関の残党がいるであろう施設だ。

「EARTH」ビルの正面口に来たところでそれを聞いた蒔風が、脚を踏ん張って行きたがらなくなった。

とはいえ蒔風の手を掴むアリスに引きずられてしまい、いくらしゃがみこんでも移動させられてしまっているのだが。



「ほら!!俺が抜けたら避難誘導とか」

「雛里さんや朱里さんに任せてきました。他のバックアップメンバーにも任せてきたので大丈夫です」

「ギギギ」

「バカやってる状況じゃないんですよ。ほれ、行きますよ?」



そんなこと、蒔風だってわかってる。
ラピュタの機動や模造戦士には少なからず機関だってからんでいることは。

だからそのバックアップ施設とでもいえる場所を破壊すれば、あの常識知らずの巨大要塞に対抗できるかもしれないのだ。

「でも俺じゃなくても・・・・」

「いいえ。あれを破壊してもその後に赤銅の翼もいるんですよ?貴方もいなければ、勝てる相手ではないです」

「だったらさ!もっと恐怖心を克服するとか・・・・」

「一石二鳥で済ませますよ~」

「うわマジか!?ってか俺一人じゃ無理だろ」

「助っ人も呼んでます」

「よし、任せた」

「全力疾走のムーンウォークとか器用なことしないでください(ガシッ)」

「グぇええ」



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ロビーの自動ドアを抜け、その先にはワゴン車が止まっている。
そこにいたのは、二人の人物。


一人はハンドガンを持ち、覗き込むようにチェックし、スライドを引いて性能を確かめている。
一人はグローブをはめ、しっかりと奥まで手を入れてから、手を動かしてなじませている。


その二人は


「初原、佳景山!!」

「よぉ」

「ん」


彼の、かけがえのない友だった。


「どうですか?この二人なら満足して・・・・」

「な ん で こ い つ ら 連 れ て く ん だ よ!」

「なんで、とは?」

「これから行くところがどれだけ危険かわかってんのか!?そんなところにつれて行けるはずが・・・・・」

「だったらあなたも行って守ってあげればいいじゃないですか」

「ぐぬっ!?お前最初からそのつもりで「じゃあ行きますよー」聞けや!!」


こうして、一同は車に乗り込む。

余談だが、蒔風は最後までごねていた。
うじうじしていたので、二人が蹴り込んで車に乗せた。


「俺の扱い酷くねぇ?」

「主人公しないあなたに毛ほどの価値もあるもんですか」

「酷くねぇ!?」



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「というわけで到着したわけだが」

「デパート?」

「百貨店だな。ここが根城なのか?」

「間違いないでしょうねぇ」


大通りに面した百貨店の前に車を止め、降りた四人は上を見上げた。

どこにでもある百貨店だ。
よく地下の食品売り場が朝から昼にかけての情報番組で流れていたりして、有名な所でもある。


「ここのオーナーも一味なのかな?」

「それはわかりませんね。でも関係ないんじゃないですか?」

「まあな。そもそも関係あるかないかすら、今回は関係ないな」

「お前めんどくさい言い回しするなぁ」



「じゃあとりあえず吹っ飛ばしますか(ガチャコ)」

「「「待てィ!!!」」」



三人が蹴りを入れる。
対象はバズーカを持った蒔風だ。


「一応聞いてやる。今から何する気だった」

「中にミサイルブチ込んでデパート崩壊させる」

「バカじゃねェの!?」

「だってそうすれば施設がどこにあったって・・・・それにほら、ラピュタがやったって言えば後々の問題もなくね?」

「うわ最低だこいつ!!」


地面に正座させられながらシレッ、と言い放つ蒔風。
だが、アリスがその頭に手を置いて


「でも施設は地下数階にあるそうですよ?」

「え?」

「あ、じゃあデパート破壊しても意味無いなぁ」

「ゑ?」

「むしろ瓦礫が邪魔で突入できない」

「・・・・・・」

「わかりましたか?」

「わぁーったよ!!!すみませんでしたァ!!!」


そんなこんなで蒔風が半ばやけっぱち気味に謝り、ビルの中に入っていく。



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「地下の入り口ってどこだ?」

「さぁ・・・・」

「さぁって」

「でもこの状況で入ってきた我々のことはすでに感づいてると思います」

「マジか。じゃあすぐにでも来るのか?」

「・・・・・来ないだろうな」

「何故だ蒔風」

「ここで手を出す必要はないから。相手はこのまま見つからなければいいわけだし。むしろ下手に手を出して入口探られるほうが厄介にしかならないだろ?」

「なるほど」

「ってかやっと主人公ぽいこと言ったな」

「まあな」

「ただ単純に、そうだから敵は来ない、安心しているってだけですけどね」

「止めろよアリス!正論言われたら言い返せないだろ!!」

「正論かよ」




「なあ、翼人の力でどうにか探れないのか?力を失ったわけじゃないんだろ?」

「あのなぁ、いくら翼人でも向き不向きってのがあるの」

「こういう場所を探索するには理樹さんが一番適任なんですけどね」

「あいつなら壁沿いに、それこそ、この百貨店全部にバリアを張り巡らせてわずかな隙間も感知するからな」

「蒔風は?できないのか」

「せいぜいが一店舗分だけだよ」

「うわせま」

「不向きなんだよ、だから」




閑話休題



「というわけで地下の食品売り場なう」

「単純に降りて来たわけだけど」

「おにぎり見つけた!!」

「うめぇ!!」

「おいそこの蒔・佳景。食ってんじゃない」

「わりぃわりぃそうだよな」

「ああ、やっぱ八階の電化製品売り場から炊飯器持ってこないとな」

「だからそうじゃない」





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「で?どうします?」

「入口が別にあったのかも・・・・もしかしたら外から探す必要あり?」

「うぇえ・・・・・肉屋から何からまで、入口探した後にそんなこと言うなよ・・・・・」

「・・・・・まてよ?」


「ん?どうした初原」

「いや、もしもここにそんな施設作るとして、敵さんだって上下移動する機構は必要だったはずだ」

「うん」

「そうだな」

「だったらそれを別に作るより、今まである物に手を加えておいた方が楽なんじゃないかなぁ?とか思ったりなんちゃったり」

「つまりなんちゃったり?」

「エレベーターの中とか見てみたかっちゃったり」



☆★☆★☆



「ぅぅウウウン、しょっとと」

「ふぅ、開きましたね」

「おぉ、開いた」

「中どーなってるよ」


「・・・・何もない」

「へ?」

「ふっつーに少し下にコンクリの地面が見えます」

「あらー?」


「よく映画とかで見るけど、エレベーター抉じ開けるとこうなってんだなぁ・・・・」

「で?この下にあるのかな?」

「でも見るからにコンクリート」

「ですねぇ」

「「「じと~」」」


「な、なんだよ、アリスさんまで!てゆうか、このデパートで最下層はここなんだから、そこ調べてみればいいだろ!!」


「あ」

「おい!そんなところ飛び降りて・・・・」

「ぜってー証明してやっからな!!」

「気をつけてくださいね?」


「フ、スタッと着地!」


「あ」

「お」

「ん?」

(ガコン!)

「そしてガコンと開帳ーーーー!?」


「足場が開いて!?」

「初原!!掴まれ!!」

「足場がくぱぁ」

「佳景山てめぇ笑ってねぇでロープ引っ張れ!!」




------------------------------------------------------------



「はぁ・・・はぁ・・・・マジびっくりした・・・・」

「大丈夫かよ?」

「お前のそのニヤついた面を殴らせてくれれば大丈夫になる」

「そんにゃァ~」


『おーい!』

「ん?何かわかったかー?」

「っと、少し降りてみたらな?あれ見せかけだわ。このエレベーターも多分、一番下はここじゃないな」

「なるほど・・・で、少し重みがかかるとああやって開くということですね」

「入口発見だな!!さすが初原だぜ!!」

「さwwwすwwwがwww」

「よぉし、佳景山。お前は俺の悪だと断定する」





「じゃあ蒔風、いってらっしゃい」

「なんで俺が!?」

「一、ここを降りていくには落ちていくしかない」

「二、それができるのはお前しかいない」

「三、そして着地地点の脅威を払うにも適任です♪」

「「「さあ、行ってらっしゃい」」」

「行くかァ!!やだよそんな敵陣只中いきなり特攻鉄砲玉とか!!」

「帰ってきてもらわないといけないから鉄砲玉は困りますね」

「じゃあなおさらだよ!!」





「な?蒔風。ちょっと落ちるだけだ」

「なんなら俺たちが背中押してやるから」

「勇気を出すんだ!!」

「これが第一段階!!覚悟を決めて飛び込もう!!」

「ああうん。お前らの言いたいことはわかるよ?これを乗り越えて少しずつ立ち向かう勇気を取り戻せってことだろ?」

「わかってるじゃないか!!」

「でもお前ら確実に楽しんでんだろ」

「「わかってるじゃないか!!」」

「ヲイ!!」



「いい加減にしないと最初みたいに蹴り込むぞコラ」

「ドロップで行くぞコラ」

「あぁ!?いいよお前らかかってこいや!!」

「「・・・・よォし」」


「ってあれ?なんでそんな十五メートルも助走を取るのかな?かな?」


「よーい!!」

「ドンッッ!!」


「あいつらどんだけたたき込みたいんだよ!!・・・・まあでも、回避すればいいだけだし・・・」

「あなたが回避すれば二人はそのままエレベーターの中に落下しますね」

「!?」

「そうすれば哀れ二人は潰れたヒキガエル。何ということでしょう、舜は友人を見放したのです」

「今言う!?そんなこと今言う!?」


「お前はそんな奴じゃないと信じているぞ蒔風!!」

「あぁ!!俺たちはお前を信じてるからな!!」


「あぁっ!?お前ら最初からそのつもりで!?」

「「友情ドロップキック!!」」

「おぉ!!二人の遠慮容赦のないドロップキックが放たれたー!!これは手加減を一切していない!!回避=落下だーーー!!!舜はどうする!?」

「どうするもなにもお前ら畜生!!」


ドカカッ!!


「「受け止めて友情と信頼!!」」

「これは策略というんだぁぁ~~~~~・・・・・!!!」





「落ちて行ったな」

「少し考えたらわかるものを・・・・・」

「というか、外してもあの勢いで行けば、反対側の壁をキックして戻って来れたでしょう?」

「まあうん」

「さすがにわかってましたか」

「それに気付けないなど、舜もまだまだ未熟ですねぇ・・・・・」


「「「うふふふふふふふ」」」






「あいつらぜってー味方じゃねぇ!!って、ん?あ!!あの勢いなら壁キックで戻れるじゃん!!チクショーーー!!!」



今更気付いても遅い。
とりあえずもう地面は近いのだ。


しょうがないから剣を構える。
翼を出す。


何が来るかわからない以上、それは怖いことなので


「全力でぶっとばしちゃるからな!!」


涙目になって、着地に備える。
恐怖のただなかに、翼人(一般人)・蒔風が飛び込んだ。



to be continued

 
 

 
後書き
後半の方はセリフだけで進めてみました。
うまく書けましたかねぇ?


なにはともあれ、施設突入。
蒔風は本気で嫌がり涙目です。


蒔風
「本気と書いてマジと読む」


アリス
「マ~ジマジ・マジ~ロ!!」

溢れる勇気を、魔法に変える!!
魔法戦隊!!マジレンジャー!!


ゴーカイジャー最終回は熱すぎた。
アクドス・ギルがカタス・ギル




さて、落下していった蒔風!!

アリス
「ちなみにこれってシリアスですか?コメディですか?」

銀魂のシリアス突入前みたいな感じだと思ってくれ。
シリアス漂わせつつ、コメディ

アリス
「納得」

蒔風
「次回、アイツラコロス」

アリス
「嘘つかないでください」


蒔風
「次回、ひィイ!!恐怖の敵陣飛び込み!!」

ではまた次回 
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