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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第四章 RE:BIRTH
  天空の騒乱



ラピュタ外枠にレールをおろし、停車するデンライナー。

その車両部には数人の人間がいる。

紅渡、登太牙、そして野上良太郎。
三人が開いた扉から外に出て、周囲を警戒して状況を見る。


「瓦礫ばっかですね」

足元の瓦礫を見て渡が呟き

「あぁ。おそらくちゃんとした街並みだったのだろうがな」

その言葉に太牙が応え

「すご・・・おょうっ」

良太郎がコケた。



その後ろからは変身を解いたモモタロス達もついてきて、良太郎を起こしたところで目的を再確認する。


「俺たちの目的はここを内部から攻撃することだ。実際には動力炉の占拠になる」

最年長の太牙が一通り述べ、ベルトを腰に回して二人もそれに倣う。
背後からはキャッスルドランの咆哮も聞こえるが、がんばってもらうしかない。



その瞬間


「へぇ。おにーさんたちが相手?」


声がした。

デンライナーの真正面20メートル。
そこに赤銅の分け身、「光」が立つ。



「子供?」

「子どもじゃないよもう!!・・・・はぁ、待つのも飽きちゃったからさ、おにーさんたちで我慢したげるね?」

「こいつ・・・まさか赤銅の!?」

「正解♪」



「「「変身!!!」」」



「光」が素性を明かし、その直後三人は変身した。

仮面ライダー電王ライナーフォーム、キバ、ダークキバの三人が、剣を握り、拳を固め、脚を踏みしめ、敵に突撃する。
さらにその後ろから単体変身した電王ソードフォーム、同じくロッド、アックスの三人も接敵した。



デンガッシャーソードモードを振るうライナーのそれを軽く回避し、突っ込んできたキバの腹部に拳を一発。

その一撃で地面を転がるキバに一瞥し、ダークキバの放った紋章拘束を力技で破壊し、そのフィードバックでダークキバの全身から火花が散り爆ぜた。


「え、そんな!?」


ライナーが剣を空振りしてから振り返るまでに二人がやられる。
その光景に良太郎が悲痛な声を上げるが


「ボケッとしてる暇はねェぞ良太郎!!!」


電王ソードフォームが同じくデンガッシャーソードモードを振り下ろして「光」を止める。
しかし、止められているのは一体どちらか。


「勢いだけなのも嫌いじゃないけどね。もーちょっと本気出してほしいかなっ?」

「ぁんだとォ?ぅお!?」


その剣は「光」の人差し指と中指に挟まれて止まっていた。
反対側からライナーも切りかかるが、反対の手で同じ様に抑えられる。


「か、片手!?」

「ふっふ~ん♪」


余裕そうな声を出す「光」
もちろん、この二人が本気でないわけがない。
それに、ここから打つ手がないわけでもない。

《《full charge》》

ライダーパスをセタッチし、二本のベルトから音声が発せられる。
赤く細いエネルギーがカクカクと折れ曲がりながらデンガッシャーに伸びて行き、その刀身が真っ赤になってエネルギーを発した。


「行くぜ・・・俺の必殺技!!!」

「うぁアアアアアアア!!!」


モモタロスと良太郎が声を張り上げ、その必殺剣(エクストリームスラッシュ)を振りぬこうと剣を降ろす。


しかし



バゴォッッ!!!

「んなにぃ!?」

「・・・・うそでしょ」

「光」のちょうど足の裏にそれぞれ小さなクレーターが出来ただけで、それは終わってしまったのだ。
「光」の体勢は変わっていない。
なおも二本の指でそれぞれの剣を挟み止めている。

ソードフォームで5トン、ライナーフォームで6トン。それだけのパンチを放つこの腕で、しかもフルチャージまで発動させて指で留められているこの脅威。

エネルギーを纏ってる分、剣から火花が散っているが、それでダメージを受けているようにも見えない。


二人の攻撃、そしてその剣のエネルギーを見て、「光」が呟く。



「もういい?」

「「ッ!?」」


短い一言。
だが、そこにすべてが詰まっていた。

「センパイ、良太郎!下がって!!」

言葉を失う二人の頭上に、ロッドフォームが飛び上がって現れ、デンガッシャーロッドモードにエネルギーを蓄えて投げ放つ。


その声で我に返り、ライナーとソードが飛びのいて離れ、デンガッシャーロッドが光の中に吸い込まれるようにして入り込む。
そして、展開。亀甲型エネルギーに体を縛られ、「光」の体が一瞬鈍った。


「はぁああ!!」

「キバット・・・僕たちも!!」

「ああ!!ウェイクアップだ!!!」

ロッドフォームと、立ち上がってきたキバのダブルライダーキック。
それをまるで蟻でも観察するかのようにじーっと見つめる光。

命中。


ドォオウガッッ!!!!




爆炎に三人の姿が消え、直後にその中からロッドとキバが飛び出してきた。
キックからの反転着地――――ではない。


「ぐゥッ!?」

「ウあっ!!」

地面を転がって飛び出してきたのは二人のライダー。炎の中からゆらりと出てくる「光」。その手にはデンガッシャーロッドが握られていた。


「あ、あいつ・・・・」

「おい渡!!」

「ウラタロス!!」

「おいカメ公、何があった!?」


「あいつは・・・・」

「キックの瞬間、身体からロッドを出してきたんだ・・・・・」


「な!?」


体内に押し込まれたデンガッシャーロッドをひねり出す。
それは身体を拘束するエネルギーを砕いて脱出するより、はるかに技術と難易度のある力技だ。

拘束を砕かぬよう、それでいて体内のロッドを出すなど、蒔風ですらやったことがない。
そもそも思いつかないだろう。そんなギリギリの境地で、遊ぶかのごとく試してみるようなことなど


「か~え~し~ま~す~・・・・・・よッッ!!!」


ギャォッ、ズゴンッ!!!

「光」は手に持ったデンガッシャーロッドを振りかぶり、背後から飛び掛かったアックスフォームに振り返って投げ放ち、彼を壁に打ち付ける。
ロッドは貫通してないようだが、金色の装甲が剥げている。


「な、泣ける強さやな・・・!!」

ゴフッ、と息を吐く電王アックスが、立ち上がろうとして膝をつく。
本当にもうこれ以上はいいや、と栗を歪ませ、首をかしげる「光」。

宣告される。


「その程度?」


しかし

「つまんn」

「ゥオぁあアッッ!!!!」

《ライトニングスラッシュ》

ズガォウッッ!!!

「う、な!?」


背後から飛びあがってきた仮面ライダーブレイドジャックフォームが、「光」の背中を斬り裂くように剣を振りあげながらラピュタ下から飛来してきた。

その奇襲にその一撃を食らう「光」だが、背中はチリチリと煙を上げるだけで全く切り込めていない。


「行くぞ!!」

《エボリューションキング》


「光」の真上、太陽と重なるようにして翼を開くブレイドが、さらにキングフォームへと強化変身してカードを装填していった。
そのラウズカードは、10、JACK、QUEEN、KING、ACE。

手札の名は


《ロイヤルストレートフラッシュ》

「ぇエエエエエえアアアアアアアアアアア!!!」



上空のブレイドの眼前に五枚のエネルギーカードが出現し、それをくぐっていくごとキングラウザーにエネルギーが充填されていく。

落下エネルギーと共にそれを振り下ろすブレイドが、着地と同時に「光」に向かってそれを振り下ろした。


「ッ!当たらないよッッ!!」

最初こそ不覚を取った「光」だが、急降下して振り下ろされたロイヤルストレートフラッシュをバックステップで回避した。
そしてそのステップからとんぼ返り、まっすぐに落り返して着地したてのブレイドに向かって拳を振るいに向かう。


だが


「まだだ!!!」


ブレイドの気合いと共にキングラウザーの輝きが増し、着地の姿勢からそれを「光」に向かって振り上げた。



「うああああああああアアアアアアア!?」


直後、その剣先から黄金のエネルギーが発せられ、強烈な熱線となって「光」を焼いた。
ブレイドに向かって行く「光」に回避する余裕もなく、彼女はそれに包まれる。

延長線上の瓦礫を突き破り、地盤に当たってそれを抉り飛ばし、やがて黄金の熱線は筋を引いて消えて行った。



そして、その跡には


「くっ・・・・正面からは・・・ちょっと聞いたかもね~・・・っとぉ!!」


腕をクロスさせて顔を覆い、その熱線に耐えきった「光」がいた。

言葉は少し途切れているが、様子からして効いているようではない。
確かに身体のところどころはうっすらと煤こけているが、それをパッパと払ってすらいるのだから。


「化け物かよ・・・・」

「失礼な」



それを眺めていたキバや電王も言葉がない。

ロイヤルストレートフラッシュは不死生物複製怪人のトライアルシリーズを細胞のひとつ残らず焼き尽くす技だ。
自分たちの持つ技とはまた一線を画する。

それを体一つで受け切って、損傷もなく立っているのだから、脅威という言葉以外に思いつきようがない。



「ブレイドのお兄さん!楽しく遊べそうだね!!」

「クッ、来い!!」



ブレイドがキングラウザーを握り直し、「光」と相対して腰を落とす。
それに対して「光」は腕を大きく広げて構える。


「良太郎!渡!!ほかのみんなを連れて行っててくれ!!」

「むっ、無視してる?」


ブレイドが二人に声をかけて、それと同時に走り出す。

身体に13体のアンデットの力を宿したブレイドが、その力を最大限に向上させて「光」に向かってラウザーを横薙ぎしていった。
それを上腕で受け止め、反対の腕で振った拳をブレイドの顔面に向ける「光」。

そうしている間にキバと電王は先に進もうとするが――――――



「ヴヴヴヴ・・・・」

「ア゛ァ゛ア゛・・・・」

「チッ、こんな時に!」

「模造戦士?」


彼等の周囲に、クリスタルの模造戦士が出現してきて行く手を阻んだ。
それに応戦していく彼等だが、相手の数が多い。


「全く・・・邪魔をするな!!」

「渡!!きりがないぞ!」

「うわぉ!?んんっ、ッしょぉ!!」


勝てない相手ではない。
むしろこの模造戦士たちは数で攻めることで優位に立つのだ。

一体一体はさほど強くない。しかし、周囲を瓦礫に囲まれ、しかも「光」までいるこの限られた足場では限界がある。


そんな限られた状況。
それに対し、モモタロスが耐えられるわけなく

「こ・・の・・・邪魔すんじゃ・・・ねぇよ!!(ギャァン!!)俺の見せ場だぞ!コラ!!」


むしゃくしゃして、キレていた。
早く先に行かせろと、イライラしながらデンガッシャーソードで殴るように斬りつけていく。

その時


『フン、貴様の見せ場だと?いったい誰のためのこの状況だと心得ている?雑種』

ドゴガガガガガガガゥッッ!!!



声がして、破壊の音がして、そこに残ったのは砕け散ったクリスタルの戦士と、地面に刺さった無数の宝具。

その宝具は光と消え、皆の視線は声の方向にいる、その人物に向いていた。



(オレ)の世界、(オレ)の街で・・・無粋なものを浮かせるでない。小娘!!!」



英雄王・ギルガメッシュ
その背後にゲートオブバビロンを展開させ、黄金の甲冑を身にまとう青年が腕を組んで、高く積もった瓦礫の上に立っていた。


「だがこの要塞自体は良い。喜べ、この財、我が倉に納めることを許そう」

「何言ってんですか?この空中要塞都市は私達の主の物ですよ?」

「ほう。この(オレ)を差し置いて、何者かの上に立つなどと語る輩がいるとはな。良かろうこの英雄王自らの手で処刑してやろう」

「ナマ言ってんじゃないですよこの金ピカ。あんたがどんなえらいか知らないけど、あんたの王位なんて知らないよ」


ギルガメッシュはその言葉を聞いてもまだ笑顔だった。
よほどこの要塞が気に入ったのだろう。しかし、笑顔なのは表面だけである。



「おいそこな奇天烈仮面」

「奇天烈・・・って僕らのこと?」

「この小娘にはいったいどこの、誰が、最も上位であり、使えるべき相手であるかを教えてやらねばならんようだ」

「はぁ・・・・」

「よって、要塞をお前らに預ける。とっとと居座る盗人を蹴散らしてこい」

盗人、という言葉がらしてギルガメッシュはもうラピュタを自分の物だとしているらしい。
その言葉にモモタロスは突っかかろうとするが、そんなことされては面倒にしかならないので、電王アックスとダークキバが引きずり連れて行く。


「蹴散らしたら片づけておけよ?」

「うるっせ「ほら行くよモモタロス!!」う??引っぱんなって痛ててててて!!?」


ズルズルと引きずられながら内部に消えていく電王ソード。


それでも、ブレイドだけでも残ろうとするが

「邪魔だ。その目障りなメッキの体を早く隠さんと、我が宝物の吸う血はお前のモノになるぞ?」

「・・・・・じゃあ、任せたぞ」

「ふん」


ギルガメッシュの言葉に押し出される。

ギルガメッシュの攻撃は圧倒的な宝具での蹂躙を基本とする。
確かに、ウロウロされるほうが邪魔かもしれない。


「案外丸いんだね?仲間を行かせるなんて」

「何を言うか。これも王の度量だ。そもそも、臣下に(オレ)の物を管理させることの何がおかしい?」

「誇大妄想野郎ですね♪」

「フ・・・さて小娘、準備はいいか?」

グォン

「圧倒的な王の力の前に、跪けるのだ光栄に思えフハハハハハハハ!!」



王の財宝(ゲートオブバビロン)、解放

圧倒的と圧倒的の、二つの力がぶつかり合う。



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時間が流れる。日が沈む。
太陽が、地平線に向かって流れるように落ちていく。

鋭い夕日が、目を突き刺す。




風都の街から数百キロ離れた場所で、ランサー達を乗せたジープが止まっている。

今はまた別のメンバーが地上の模造戦士を、ラピュタの飛行跡を追うように破壊していっているだろう。




ジープの上にはランサーを始め、スバルに翠が座り込んでいる。凩は犬モードになって丸くなっていた。
ザフィーラはラピュタの飛んでいった方向を見ている。



「止められるのか・・・本当にあれを・・・・・・」



小さなつぶやき。




時間が流れる。日が沈む。
太陽は地平線から先に下がりきって行く。

鋭い光が、ラピュタを照らし出す。



「EARTH」に未だ、打つ手無し。


起死回生の一手。それは、如何に。





to be continued
 
 

 
後書き

ラピュタ外壁での「王」の人たちの戦い。
セイバーはエクスカリバーできっかけを使ったということで。
ハクオロさんは次回で。
そして時間は流れていきます。


蒔風
「ちょ、時間!?」

ええ、夜まで流れます。
正直言って一日で済むはずがないですよ。

まあ「EARTH」もメンバーがいるので、交代で戦ってはいけますが・・・・

蒔風
「二日目が限界かな?」

だね。
だからここからは夜の戦いと一緒に、蒔風復活劇も推し進めないとなぁ・・・・

蒔風
「よろしく頼む」

あいわかった。


アリス
「そういえばあれから夜になりましたけど、ギルさんはそれまで戦ってるんですか?空のメンバーは?」


空のメンバーは交代しながらも止めようとしてますが、もう止めようがないので旋回して砲撃や光線を被害が最小限になるように打ちそらしたりするくらいですかね。
やっぱり目の前でヒュンヒュンされるとそっちを狙うんでしょうね、ラピュタも。

アリス
「ディーフェンス!ディーフェンス!(ヒュンヒュン)」

蒔風
「そういえばハクオロさんとかFF7メンバーはどうした」

え、えーっと・・・・・
次回書きます。


蒔風
「こいつ広げ過ぎて風呂敷畳みきれてないぞ」

うるせぇ!!
最後にまとまれば問題ないんだァ!!!





アリス
「次回、夜戦。それと久々に出さなきゃいけない今章主要人物」

蒔風
「ラピュタが広いからっていい加減フラフラしてられないだろうしな」

アリス
「あと驚異の一般人の少女」


ではまた次回

追記
ライナーフォームの剣に関して。
ライナーフォームの武器「デンカメンソード」は、レバーを引くことで回転させ、該当するフォームのイマジンから力(戦い方)を少し借りていくもの。で、そのときイマジンたちはデンライナーの中に設置された回転椅子に座ってる必要があるんですが・・・・

みんな戦闘で出てってしまってますし、それならデンガッシャーの方がいいかな、と。
重くないし

「さらば電王」でも使ってたから問題はないかなー・・・と
 
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